<個人的な評価:10点中8点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
過去に観た事があるかもしれないが、覚えてないので再度、観た。
こういう系統の物語が好きだから、予想通り面白かった。
グリム童話風のダークファンタジーで中世が舞台。
3つの物語からなり、それぞれ奇運な運命をたどるヒロインがいる。
3つの王国の物語は、それぞれが別々のストーリーだが、同じ地域、同じ時代でおきており、冒頭(ロングトレリスの葬式)とフィナーレ(ハイヒルズの王女の戴冠式)にだけ、3つの王国の者達の顔が揃う。
★ ロングトレリスの王妃&王子
ロングトレリスの王妃は子供が産まれないことを嘆き、彼女を愛する国王も悲観に暮れていた。
ある日の夜、王宮に現れたネクロマンサーは「入り江の底に住むモンスターの心臓を処女に調理させ、それを食べれば子供が産まれる」と告げる。愛する妻の為に、王は入り江に潜り、寝ているモンスターを襲撃。しかし、モンスターの反撃を受け死んでしまう。モンスターも致命傷をおっており、なんとか心臓を得る事ができた。夫が死んだというのに、特に悲しもせず、王妃は、とっとと心臓を手にいれ、処女の使用人に調理させ、心臓を食べた。グロ。これをみるからに、王妃は、かなり自己中な性格で、夫の事も愛してなかったのだろう。
王の国葬から16年後、女王は成長したエリアスを一方的に溺愛していた。王子エリアスは同じ日に生まれたジョナと親しくなっていた。ジョナはモンスターの心臓を調理した処女が産んだ子供であり、エリアスと双子のように瓜二つの容姿をしていた。
息子が自分の手から離れることを嫌った王妃は、ジョナに二度と会わないように言い放つ。しかし、2人は聞き入れず、エリアスが王に即位した後は交互に入れ替わり王をやろうと話し合う。その中で、ジョナはエリアスに成り済まして女王に会ったことを話すが、その話を聞いた女王は激怒してジョナを殺そうとする。
命拾いしたジョナは王宮を出ることを決意。エリアスに別れを告げる。別れを惜しむエリアスに対し、ジョナは庭園の木の根元を切り、湧き出す水を指差して「この水が綺麗な状態である限り、自分は元気だ」と語り、王宮を後にする。
ジョナが王宮を去ってしばらく後、庭園のジョナの泉が血に染まっているのを発見したエリアスは、ジョナの身に危険が迫っていることを知り王宮を飛び出す。エリアスがいなくなったことを知った女王は錯乱するが、そこにネクロマンサーが再び現れる。女王はエリアスを探す力を求め、ネクロマンサーは願いを聞き入れる。一方、エリアスはジョナが暮らしていた町で彼の家族と出会い、彼が森に入ったまま戻っていないことを聞き出し、森に助けに向かう。崖下に落ちて怪我を負ったジョナを発見したエリアスは彼を助け出すが、そこに怪物が現れ2人は洞穴に逃げ込む。怪物は2人を追って洞穴に入ってくるが、エリアスによって刺殺される。2人が洞穴を抜け出した後、怪物は崩れ去り本来の姿を取り戻す。怪物の正体は、ネクロマンサーによって姿を変えられた王妃だった。
王妃にとっては悲劇的な最後といえよう。息子を溺愛するあまりに、自分を見失っていたのではないか。
王子はあの怪物が母と気づいていたのかもしれない...
王子は、怪物を倒す事で、母の就縛、呪縛から逃れたのだろう。
エリアス王子も、そっくりのジョナも、根は純真だ。
ジョナも、エリアスになりすまして、王国を乗っ取ろうなぞ考えてなかったし、エリアス王子も、ジョナの事を親友として救い出そうとしたし、ジョナになりすまして、平和な民家で暮らそうとも思わなかった。
あの王妃は何を恐れていたのだろう。見えない敵と戦い、本当に大切なものを見失っていた。
王妃の見た目は美しても、心は既に長い間、モンスターだったんだな。
まあ、王妃の為にモンスターを殺して、それで夫が死んだ事にも悲しまなかったような王妃だし自業自得。
★ ストロングクリフの醜女の老婆姉妹
ストロングクリフの王は、大勢の売春婦を侍らせ放蕩の日々を過ごしていた。
酒に女にそんな贅沢な日々。中身が空っぽの馬鹿な国王。
そんな国王は、ある日の朝、女性の美しい歌声を耳にした。王は声の主と会おうとするが.......
その声の主が住む小屋のドラは固く閉ざされていた。
実は、声の主の正体は老婆姉妹の姉ドーラだった。
当たり前だが、声が美しいからといって、見た目も若く美しいわけじゃないし、仮に見た目が美しくても、心が美しいとは限らない。しかし、頭が悪く視野が狭い国王は、勝手に、ドーラを勝手に美女と思い込む。
声は美しいが、ドーラは醜い老婆。妹も醜かった。心は優しいのかな?と思ったが、こいつらも、強欲だった。単なる貧しく醜く強欲な老婆たちだった。
王は扉越しに宝石を贈り、彼女を城に招こうとする。最初は断ろうとするドーラだったが、欲にかられて、王宮に向かい、「一切明かりを点けない」という条件で一夜を共にする。
しかし、好奇心にかられた王は、ドーラの顔を覗きみて恐怖した。
ドーラの正体を知った王は激怒し、衛兵に命じて彼女を崖下の森に投げ落とす。
殺害する気、満々だな。強欲で欺こうとしたドーラもクズだが、自分から誘った癖に、約束もやぶり、見た目が気に入らないからって、殺すのはクズすぎる。せめて命は助けて、城の外に放り出すぐらいにすればいいのに、崖から突き落とすのは殺害する気、満々。
運よく、森の木々にからまり命拾いしたドーラは通りかかった魔女に助けられ、魔女の魔法で絶世の美女に姿を変える。
姿が変わっても、心は変わらないままだけどね。
そこで、狩りのため森に入った、例の王と出くわし、彼女の美貌に魅せられた王はドーラを王妃に迎える。
自分を殺そうとした男と結婚できるってスゴイな。
強欲パワー満載。
でも老いた時に殺されるかもしれないとは思わなかったのだろうか。
数日後、妹インマの元に「未来の王妃」からドレスと王の結婚式の招待状が届く。妹と再会したドーラは彼女の生活を一生保証すると約束するが、インマは結婚式が終わった後も王宮に留まろうとし、さらに若返りの秘密を聞き出そうとしてドーラと口論になる。まあ、妹を金銭的に援助しようとする心はあるので、クズではあるが、悪の塊ではないね。それに、ドーラも自分が若返った理由は分からなかったし。
引き下がろうとしないインマにウンザリして、ドーラは、「皮を剥いだ」と嘘を伝えてしまう。
悲劇はそこから。その言葉を真に受けたインマは、町の刃物職人に宝石を渡して全身の皮を剥いでもらう。
しかし、インマは若返ることはなく、血塗れのまま王宮に向かって歩いていく。
皮を剥いで、生きているのがスゴイが、インマは、たぶん命は長くはないだろうな。そのあと、死亡したと思う。ドーラというと、最後の最後で、魔法が解けて老化が始まる。それに気付いたドーラは周囲に気付かれないように王宮を抜け出し、そのまま姿を消した...
その後、王妃ドーラがどうなったかは不明。おそらく一人孤独に生きるのだろう。
そして、王は、何も学ばず、また新しい美女たちに囲まれて、贅沢な生活を送り続けるのだろう。
★ ハイヒルズの王女&ノミに魅了された王
ハイヒルズの王女ヴァイオレットはかなりの乙女な恋愛脳で、父王に婚約者を探すように懇願する。そんな父王はペットのノミの世話に夢中になっていた。これが、また面白いしグロい。ノミはやがて人間並みの大きさに成長する笑。どんな凶暴なモンスターになるのかなと思ったが、単にデカくなっただけのノミだった笑。戦闘能力は一切ないノミ。そして肥満が原因で死んでしまう。
ノミが死んだ後、父王はようやくヴァイオレットの婚約者を探し始めるが、鞣したノミの皮の正体を言い当てた者を婚約者に選ぼうとする。最後までノミのような脳みその父王.....失笑。
国中の若者が答えられない中、王宮に現れた凶暴なオーガが正体を言い当ててしまう。ヴァイオレットはオーガと結婚する悲しみから自殺しようとするが父王に止められ、自分の結婚に関心を持たなかった父王を責めた後、オーガの元に嫁いでいく。
ヴァイオレットは山の崖にあるオーガの住処で暮らし始めるが、過酷な生活に耐えられず、崖の反対側を通りかかった旅芸人の女性に助けを求める。翌日、女性は夫や息子を連れてヴァイオレットを助け出し、崖にかけたロープを切り、追ってきたオーガは崖下に転落する。旅芸人一家はヴァイオレットを連れて渓谷を通り抜けようとするが、追いかけてきたオーガに皆殺しにされる。旅芸人一家、可哀想だな。一番、可哀想だわ。
せっかく助かってハッピーエンドと思ったのに、みんな殺されるなんて。
旅芸人一家からしたら、助けなければよかったね....
まあ、私も自分の家族が大事だから、厄介な事には首をつっこまないし、普通に私だったら見てみぬふりを余裕でするけど。(自分と自分の家族を助けにはいかせないが、警察に通報ぐらいするかもね)
だから旅芸人一家、無念!!!
最後、ヴァイオレットは機転をきかせて、オーガを殺害。
ヴァイオレットは王宮に戻り病床の父王と再会し、オーガの首を投げつけ「あなたが選んだ夫だ」と言い放つ。父王は自分の行いを詫び、ヴァイオレットに王位を譲り泣き崩れ、それを見たヴァイオレットも涙を見せる。数日後、ヴァイオレットの戴冠式が執り行われ、エリアスやストロングクリフ王夫妻が参列する中、彼女は父王に導かれて玉座に座る。王宮の屋上では芸人たちが火を持ちながら綱渡りを行っており、参列者たちは上空を見上げるが、その時ドーラの魔法が解けて老化が始まる。それに気付いたドーラは周囲に気付かれないように王宮を抜け出し、姿を消した。
3つの物語の中で、ヴァイオレットは、さんざんな目にあったけど、なんとか最後はハッピーエンドを迎える事ができた。そして、彼女が、女王になった。まあ、自己中なロングトレリスの王妃や、強欲な老婆と違って、ヴァイオレットは、普通の純粋な乙女だったからね。さんざんな目にあって、自らも、精神的にも成長して強くなったし、女王にふさわしいだろう。ストーリーとして凄くまとまっている。
ハイヒルズの王宮は、実在するカステル・デル・モンテ。
ダークファンタジーにお似合いな舞台。