<個人的な評価:10点中8.5点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
これも一つの究極の姉弟愛。
個人的にけっこう良かったし泣いた。第三者視点から楽しむのも良いけど、私の場合は、自然と、最初から最後までヒロインに感情移入してしまった。なんだかすごく共感できる自分が怖い。
理不尽な復讐なのはわかるんだけど、でも、どうしてもヒロインに共感してしまう。
どんな事をしても、最愛の弟は戻ってこない。
そんなのわかっているからこそ、桐子は、ああいう行動に出たんだと思う。
ここで、二つのタイプの人がいると思う。
1)どんな事をしても死んだ最愛の者はかえってこないから、正しい事をしよう。
2)どんな事をしても死んだ最愛の者はかえってこないから、何をしたって、もうどうでもいい。
私は後者の人間だから、桐子に共感できるのかな。しかも、その愛するものが、たった一人だったのなら尚更だ。天涯孤独になってしまった桐子。
生きる希望であった弟を失った彼女には、正義なんかどうでもいい。
「真犯人が誰かなんて、どうでもいい。」
「軽々しく愛を語るな。」
「弟は戻ってこない」
彼女がセリフを言う前から、既にそのセリフが私の脳裏にあった。
私は、桐子と一体化したかのように視聴してしまった。
なんで偽善者の不倫弁護士の愛人を助けなくちゃいけないんだ。
なんで不倫女なんか助けなくちゃいけないんだ、という想いもあっただろう。
確かに、あの不倫女は、殺人犯じゃないし、桐子が個人的な恨みをもっているわけでもない。
(ムカつくから、私も冤罪って知ってても、ざまあみろ!!!って思ったぐらいだよ。同情はしなかった。)
潔癖症な部分もあった桐子にとって、なんで、そういう奴らが生きていて、なぜ本当に純粋で綺麗な心をもった弟は死ななくちゃいけないんだ!って想いがあったんだろう。
しかし、当たり前だが、弟が死んだのは、別に、弁護士・大塚欽三のせいでもない。
確かに彼は助けられたかもしれないけど、彼の直接的なせいではない。
冷静にみれば、本当に本当に、理不尽な復讐だ。
ただ、私が想うに、弟を失った桐子にとっては、理性なんかないし、ムカつくものを全部ぶっ壊してしまいたい気分だったんだろう。強いていうなら、世間への不公平さといら立ちと恨みが、彼女をそうさせた。(銀魂で言うなら高杉晋助のような感じ)
たまたま、関わってしまった弁護士・大塚と、その愛人が、ターゲットになっただけだ。
運が悪かったとしか言いようがない。
でも、桐子は別に弁護士への復讐の為に東京にきたわけじゃないし、純粋に気分転換&弟の墓をたてる為の金を貯めにやってきただけだと思う。(弟が死んだ場所にいるのは辛いだろうし。場所を変えたかったんだよね)
あの殺人現場をみてなければ、桐子だって、別にわざわざ、殺人を隠蔽しようと思わなかったはずだ。
運がついて、たまたま、あの現場を見てしまった。
そして、魔が差した。
そして、隠蔽をするからには、とことん、最後までやった。
ターゲットにロックオンだ。
もし、大塚が、不倫なんかしてなかったら、あの日、愛人とゴルフではなく、例えば、病気の子供にお見舞いに行く予定があったらとか、本当にクリーンな人だったら、桐子は、彼をターゲットにしかなったかもしれない。それでも、彼女は、世間に復讐すると思うけどね。
だって個人的に何も恨みがなくても、相手が不倫カップル、または動物虐待、いや、単に自分の嫌いなタイプの人間だったら、私も、ぶっちゃけ、困ってきても助けてあげたくないし。
(もちろん、自分が刑罰に問われないというかバレない範囲だけど。証言しろって言われても、バレると罰せられるから嘘はつかないけど、証言も最低限しかしないか、覚えてませーんとか、しらばっくれるかもね。自分が奥さんや直接的な被害者じゃなくっても、不倫女なんか絶対に助けたくないわ。理由はシンプルにムカつくから。)
こういうのって因果応報ともいう。社会で嫌われるような事をすれば、傷つけた相手から直接でなくても、巡り巡って、別の形で不幸が返ってくるよ。
大塚弁護士&不倫女の場合は、別の形で、人にした不幸が自分に返ってきただけだ。
私は、カルマというものを信じているし、そういうのも実際に目にした事がある。
特に不倫とかする奴は、痛い想いをするよ。奥さんから直接的にじゃなくても、巡り巡って不幸になる。
まあ、この作品の中の、大塚はとことん堕ちる所まで堕ちたけど。
最後は、強姦冤罪をかけられて、愛人からも捨てられる始末だ。
あの愛人女の、河野径子も、最後は冤罪がはれて釈放されたけど、不倫女って汚名は一生つくだろうね。
あの人の、ファッションセンスは、エレガントで、好きだけど。(やってる事はエレガントじゃないけど)
大塚は、確かに可哀想だけどね。
冷静な第三者視点からみれば、かなりのトバッチリだよ。冤罪だし。
ただ、本当に、私の場合は、最初から最後までヒロインに共感できた。
悪女か...
うーん。人とは、コインのようだから、天使にも悪魔にもなれる。
特に純粋で愛が深い人ほど、鬼になる時は徹底的になる。
弟の面倒をみてた桐子は天使のように優しく良い人で誠実だった。
障害ゆえに純粋な心を持つ弟を、桐子は生き甲斐として生きてきた。
その弟を失い、彼女は、悪魔になった。いや、悪魔というより般若かな。
とっても美しく着飾っていたけど、心は泣いている般若のようだ。
最後、桐子はスッキリしたのだろうか。
いや、もう彼女の心は壊れていると思う。
だって、何をしても、弟はもう返ってこないのだから。
それでも、彼女はやってきたことを、1ミリとも後悔していないだろう。
そんな笑みで、締めくくった。
そして、「少年時代」が流れた・・・
夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれに さまよう
青空に 残された
私の心は 夏模様