『Er ist wieder da
(帰ってきたヒトラー) (2016)』
(帰ってきたヒトラー) (2016)』
<個人的な評価:10点中7点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
Caution SPOILER
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
Caution SPOILER
『帰ってきたヒトラー』(原題:Er ist wieder da )は、ティムール・ヴェルメシュが2012年に発表した風刺小説。それを基にして作られたのが、この映画だ。
2010年代のドイツに蘇ったアドルフ・ヒトラーが巻き起こす騒動を描く。
ヒトラーに対する数々の肯定的な描写から物議を醸したが、ヴェルメシュ自身は、ヒトラーを単純に悪魔化するだけではその危険性を十分に指摘できないとし、リアルなヒトラー像を表現するためにあえてその優れた面も描き出したと述べた。
ギャグも入っていたが、単純なギャグ映画ではなかった。
ヒトラーは現在では悪魔といわれているが、その悪魔を選んだのは、当時のドイツ人たちだ。
同じように、現在、とんでもない大統領のトランプだが、その大統領を選んだのはアメリカ国民だ。
(アメリカ人とはいえ、私は彼に投票した事なんかないし、選んでないけど。)
その時代その時代に、人々が求めるトップは違うのだろう。
この映画を通して、おもったのは、“ヒトラーそっくりで笑えるww”とか、“犬殺すとか残酷!!!”とか、そういう感想より、ヒトラーのヤバさは、そのカリスマ性、おそろしい演説、表現の方法などだ。
おそろしいというのは、別にホラーとかそういうのではない。
彼のおそろしさは、その演説力、表現力が、人を惹きつけてしまうからだ。
ある意味、催眠にかかったかのような感覚になるのかもしれないが、ちゃんと聞いても、彼の言っている事は、納得いく事もあるから、こわいのだ。
人間の本質をわかっているから、こういう演説ができるのか。
そして、彼は熱心だ。熱心に政治と国と国民と向き合っている。(今の日本政府にはないものだ!)
その狂人ともいえるような熱心さに、人々は釘付けになるのではないか。
国民は、政府から無視されるのを嫌う。
自分たちの声が無視されていると感じると、絶望する人もいれば、もうどうにかすることを諦めて選挙にもいかなくなるだろう。
ヒトラーは独裁者だが、だが、彼はドイツ国民の声を熱心に聞いた。このような描写が映画にはあった。
ヒトラーは、色んな場所を回って、人々の国に対する不満を聴きまわっているのを。
平和な時代に、このようなトップは見向きもされないかもしれない。
けど、人々が不安で不満な時代に、こういう人がいたら⁇
例えば、今のようなコロナで混乱している時代に、こんな人が現れたら⁇
中々面白い映画だった。
そして、想像外の終わり方。
ヒトラーが最後ころされるか、自分のいた場所に戻るかで終わりかなと思ったら、違った。
日本ではそうでもないが、欧米諸国では、ヒトラーは悪魔で、いまだに人によっては禁句という場合もある。特にユダヤ系がいる場所では。
ただ、単純に悪魔化して叩くだけではその危険性を十分に指摘できないのも事実。
そもそも、ヒトラーを選んだのは当時の人々だ。
その時、何故、彼が選ばれたのか。なぜ、彼は人々の目に魅力にうつったのか。
そのリアルなヒトラー像を、おもしろおかしく、でもリアルに表した映画だと思う。
私はオリジナル言語のドイツ語で観た。もちろんドイツ語はさっぱりだが。
(英語字幕がなかったから、日本語字幕つきで観た)
ドイツ語はわからないが、そんな私でも、ヒトラーの言葉には迫力があった。
高校の歴史の授業には最適かもしれない。
(私がいた学校では、たまに歴史映画やドキュメンタリーを観ることがあった)
とにかく、不謹慎!という前に、一度観てほしいと思う。