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2021年06月06日
アイスホッケー世界選手権異変グループA(六月二日)
チェコが入っていたグループAは、さらに大きな驚きが待っていた。こちらのグループに入っていたのは、ロシア、スウェーデン、チェコの準々決勝常連国に、最近安定して結果を出してい印象のあるスイス、不安定だけど強いときには強いスロバキア、さらにはデンマークと元開催国のベラルーシ、イギリスという組み合わせだった。
そもそも、イギリスがアイスホッケーの世界選手権に出場しているというのが大きな驚きなのだが、大健闘を見せていた。イギリスにもアイスホッケーリーグがあるのは、サッカーのペトル・チェフが引退後にアイスホッケーの試合にGKとして出場していたから知っていたけれども、世界選手権に出て試合に勝てるレベルにあるとは思ってもいなかった。
初戦のロシア相手には、1−7と完敗だったが、次のスロバキアとの試合で1−2と善戦すると、デンマークを相手に延長戦に持ち込み負けたものの勝ち点1を獲得。次のチェコが延長でやっと勝ったベラルーシとの試合では4−3で勝利を挙げた。この時点で勝ち点4で、チェコとスウェーデンよりも順位が上だったのである。その後は勝ち点を増やせなかったけれども、完封負けは一試合もなく、最終順位も勝ち点で並んだベラルーシに直接対決で勝っていたおかげで、7位となった。これはもう驚き以外の何物でもない。
最下位に終わったとはいえ、ベラルーシも驚きの結果をもたらしグループの波乱の結果に貢献した。二試合目でスウェーデンと対戦して、1−0で勝ってしまったのである。これでスウェーデンは、デンマークに3−4で負けた初戦に続いて二試合連続で番狂わせの敗戦となった。次のスイスとの試合には7−0で勝ったものの、同じくスタートに失敗したチェコとの直接対戦で2−4で負けて、準々決勝進出の望みが小さくなった。
チェコとの試合も、第二ピリオドが終わった時点で2−0でスウェーデンがリードしていたから、これはチェコの敗退は決定的だと思っていたら、テレビを見ていない間に逆転されていた。最後の望みをかけたロシアとの試合も終了間際に追いついて延長に持ち込んだものの負けてしまい、この時点で勝ち点10で敗退が最終的に決定した。スウェーデンが準々決勝に進出できないのは、史上初めてのことらしい。
我等がチェコはと言うと、出だしは二連敗と最悪だった。そもそもロシアとスイスといきなり連戦というスケジュールがついていなかったと言えなくもないのだが、それにしても負け方が、特に失点のしかたがひどく批判されていた。確か、選手交代にもたついている間に、攻撃を受けて守備の人数が足りなくなって失点というシーンがあったのかな。それでロシア戦は、せっかく同点に追いついたのに延長に持ち込めずに負けた。スイスに負けたのを番狂わせと言う人もいたけれども、最近スイスは安定して強くなっているのでそこまで驚きはなかった。
三試合目のベラルーシとの試合も延長に持ち込まれずに勝てるはずだったのに、終了間際に同点に追いつかれて勝ち点を失った。とにかく逆転勝ちした四戦目のスウェーデンとの試合の第二ピリオドまでは、チェコチームは低調で、あちこちから監督に対して批判が飛んでいた。スウェーデンに負けていたら、スロバキアやデンマークにも負けてグループ六位に沈むなんてこともあったかもしれない。
スロバキアは大体予想通りの結果だったのだが、一試合だけロシアに3−1で勝ったのには驚かされた。チェコ、スイス、スウェーデンという上位を争う3チームに負けていながら準々決勝に進出できたのは、このロシアとの試合での勝利のおかげである。相変わらずいいときと悪いときの差のあるチームで、ロシアに勝っていながら、スイスには1−8、チェコには3−7と多くの失点で負けてしまうのだからよくわからない。
とまれ、最終順位は、ロシア、スイス、チェコ、スロバキア、スウェーデン、デンマーク、イギリス、ベラルーシの順。やはりロシアは強い。準々決勝の対戦は、ロシア―カナダ、スイス―ドイツ、スロバキア―アメリカの対戦となった。この時点では、こちらのグループから準決勝に進出するチームが多くなると思っていたのだけど……。スロバキアの試合を除いて、大接戦だったとはいえ、4チームとも敗退するとは思っても見なかった。うーん残念。
残念といえば、国を挙げてのドーピングに対する制裁で、ロシアがロシアの国としては出場できないけれども、オリンピック委員会の名の下でなら参加できるという茶番が続いているのが残念でならない。最初はテレビでもロシアではなくてという説明をしていたが、面倒になったのかみんなロシアで済ませるようになっている。東京オリンピックが大失敗に終わるのは確実だから、この手の組織の存在意義とか再検討されないかな。利権まみれで腐り果てているから無理か。
2021年6月3日24時。
2021年06月05日
アイスホッケー世界選手権の異変グループB(六月朔日)
ラトビアで開催されているアイスホッケーの世界選手権で、自分の目を疑ってしまうような異例の結果が相次いでいる。そもそもベラルーシとラトビアで共同開催だったのが、政治的な圧力でベラルーシの開催権が剥奪されてラトビア単独開催になったこと自体が異例だし、観客なしでの開催も異例なので、異例の結果が出るのも当然なのかもしれない。
アイスホッケーの世界選手権には、以前は世界に向けた普及のためにアジア枠なんてのがあって、アジアのチームも、大抵は日本だったけど、出場していたのだが、廃止されて以降、日本は出場さえしたことがないはずだ。今回はアジアと呼んでいいのかどうかわからないけれども、旧ソ連のアイスホッケー圏であるカザフスタンが出場している。
そのカザフスタンも、今大会の衝撃の一翼をになっている。グループBに入ったカザフスタンは、初戦で開催国のラトビアに、延長でも決着がつかずシュートアウトの末に2−3で勝利した。ここまではまだたいした驚きではなかったのだが、続くフィンランドとの試合でも同様の経過で2−1で勝ったのである。その後アメリカとカナダには負けたものの、ドイツとイタリアに勝って、最終戦を前に勝ち点10で、グループ8チームのうち3位につけていた。
グループ下位に沈むノルウェーに勝っていれば文句なく準々決勝進出だったのだが、最終戦で体力の限界だったのか、1−3で負けてしまう。そして、フィンランドがカナダに勝ちはしたものの延長までもつれ込んだことで、カナダが勝ち点1を獲得して、10で並んでしまった。直接対決で負けているカザフスタンの望みは消えたのである。この時点では、グループ4位だったけど、勝ち点9でならぶドイツとラトビアの試合が控えていたので、敗退が決定してしまった。
二つ目のグループBの驚きは、カザフスタンと最後まで準々決勝進出を争ったカナダである。正確にはカナダの不調である。初戦で開催国のラトビアに0−2で負けたのは、いやラトビアがカナダに勝ったのは、今大会の衝撃の中でも一番大きいものの一つだった。二試合目もアメリカに負けたのはともかく、1−5という大差がついたのには驚かされた。解説者たちもこの二試合全然いいところがなかったと言っていた。さらに三試合目にドイツに1−3で三連敗となったときには、準々決勝進出の可能性はほぼなくなったように見えた。
その後、カザフスタンに勝ってカザフスタンがノルウェーに負けてくれたおかげで、可能性が復活したのだが、フィンランドとの最終戦が終わった時点で勝ち点10。その下に勝ち点9でドイツとラトビアというカナダが負けたチームが並んでいて、準々決勝進出をかけて直接対決することになっていた。つまり、試合が60分で終了すればカナダの準々決勝進出が決まり、延長に入った時点で敗退が決まるという状況だったのである。残念ながらドイツが延長なしで2−1で勝利したためカナダのグループ4位が決まった。
グループBの順位は結局上から、アメリカ、フィンランド、ドイツ、カナダ、カザフスタン、ラトビア、ノルウェー、イタリアの順番となった。番狂わせと言いたくなるような試合をしなかったのは、フィンランドに負けた以外は全勝のアメリカと、全敗のイタリアぐらいだろうか。アメリカも予想外の接戦に持ち込まれることは多かったけれども、きっちり勝ちきっていた。反対にイタリアは善戦はしてもそれを勝ち点にはつなげられなかった。
毎回毎回上位に進出するチームが同じではつまらないので、カナダが落ちて、カザフスタンかラトビアが進出することを期待していたのだが、残念ながらそうはならなかった。準々決勝の常連とはいえないドイツが、しかも3位で進出したのだからよしとするか。よく考えると、こちらのグループでは、ラトビアとドイツが最後の4つめの席を占めると予想されていたのだから、経過はともかく結果に関しては番狂わせはなかったと言ってもいいのかもしれない。
2021年6月2日24時30分。
木曜日の準々決勝でグループBの4チームがすべて準決勝進出を決めた。これもまた驚きの結果である。
2021年06月04日
フォルトルナリガも終了1(五月卅一日)
昨シーズンが完了しなかった関係で、降格するチームがなく昇格するチームを受け入れて全18チームで行われたチェコサッカーの一部リーグ、フォルトナリガも土曜日に最終節が行われて全日程を終了した。最終の2節は全試合同時開催になっていて、以前はチェコテレビで一試合中継しながら、大会上でスコアが変化するたびに割り込みでその様子が伝えられたのだけど、今年の最終節の中継ではそんなことはしていなかった。順位がほぼ確定していたのが理由だろうか。
とまれ、優勝したのはスラビア・プラハ。無敗での優勝である。昨シーズンからの通算だと、国内の公式戦での無敗記録は50試合に近づきつつある。去年のほとんど最後まで終了したシーズンを含めばこれで三連覇で、チェコリーグになってからでは7回目の優勝となる。今シーズンの様子を見ているとしばらくはスラビアの時代が続きそうである。
最近のスラビアは移籍期間のたびに国外のチームに中心選手を引き抜かれているが、トロピショフスキー監督の育成手段が優れているのか、代役の選手が成長して穴を埋めている。ここ2年ほどでも、クラール、ソウチェク、ツォウファル、ヌガデウ、デリなど数人の中心選手が移籍して行ったが、プロボット、ジマ、シマなどの若手選手が次々に登場してきた。ジマなんて、去年の冬に移籍したときには、オロモウツでリーグデビューしたばかりだったのに、今やA代表でヨーロッパ選手権に呼ばれるまでになっている。
二位に入ったのは、スパルタ・プラハ。最近はスラビア、プルゼニュの後塵を拝することが多く、2010年代に入ってからは優勝は2013/14シーズンの一回だけ、二位も2015/16以来となる。このチームは監督選びで迷走して、厚生大臣と比較されるぐらい頻繁に監督を代えるのが一番の問題なのだが、この冬に就任して、攻撃だけは建て直したブルバ監督にどれだけ時間が与えられるかに注目である。オーナーのクシェティンスキーの悲願とも言うべきチャンピオンズリーグの本戦出場は、今年も予選には出られるとは言え、非優勝チーム部門だし、難しそうである。
スパルタは、最近、フロジェクを初めとして自前で育てた十代の選手をリーグ戦に起用して経験を積ませている。以前は自前の選手が台頭しかけても、次々に同じポジションの選手を取ってきて、出場できないまま他所のチームに移籍して行くということが多かった。今や代表のエースとなったシクもスパルタではほとんど試合に出られず、レンタルで出たボヘミアンズで活躍したことがイタリア移籍につながったのだった。プルゼニュではベテランに頼ることが多かったブルバ監督がどこまで若手に機会を与えるかにも注目である。
三位は教育相のスポーツ関係の助成金にまつわる汚職疑惑で逮捕されて協会長を引退することになったペルタ氏がオーナーのヤブロネツである。代表では全く結果を出せなかったラダ監督だが、クラブチームの監督になると安定して上位の成績を残すのだから不思議である。向き不向きというのがあるのだろうなあ。うちのブリュックネル爺さまは代表でもクラブでも結果を出しているけどさ。
ヤブロネツは三位に入ったことでヨーロッパリーグの予選の出場権を獲得したのだが、このチームヨーロッパリーグの予選で勝てないのである。以前一度だけ予選なしてヨーロッパリーグの本戦に出場したことが一度あるだけで、大抵は予選の初戦で敗退するので、ペルタ氏がヨーロッパリーグに出ることを目標に補強して十分に戦力を揃えてもなぜか勝てないと愚痴っていたことがある。今年も駄目だろうなあ。せめて初戦ぐらいは勝ちぬけてほしいとは思うけど。
四位は過去最高の順位となるスロバーツコ。かつて前身のシノット時代に一度五位に入ったことがあるが、その後審判買収のスキャンダルで、オーナ企業のシノットが撤退して二部に落ちるなどぱっとしなかったのだが、今シーズンは強かった。中心になるのは元スパルタのカドレツや元プルゼニュのペトルジェラなど全盛期を過ぎたベテラン選手だが、若手でもクリメントなど一度国外に出てチェコに戻ってきた選手たちが活躍していた。新しく始まるヨーロッパのカップ戦の予選から出場できるようだけど、どうかな。そういえば、今年は勝てなかったけど、昨シーズン最後にスラビアに勝ったのもこのチームじゃなかったかな。
五位に入ってなんとかヨーロッパのカップ戦の予選出場権を獲得したのがプルゼニュである。2010/11のシーズンに初優勝して以来、最悪の結果となった。一時はスパルタの監督に招聘されるという噂もあったスロバキア人のグリャ監督も、監督が連れてきたスロバキア人の選手たちも、期待はずれと言うほどひどくはなかったけれども、期待に応えたとも言いづらい。結局監督交代と言うことになって後任にはチェコ代表の監督を務めたこともあるビーレク監督が選ばれた。カザフスタンの代表監督を務めていたはずだけど、やめたのかな。監督交代後も劇的に状態がよくなったわけではないが、リベレツがお付き合いで失速してくれたおかげで五位に入れたという印象である。
予定よりも長くなったので、この辺で一度切ることにする。
2021年5月1日24時30分。
2021年04月19日
レンジャーズの呪い(四月十六日)
本当はスラビアとアーセナルのヨーロッパリーグの試合についてでも書くつもりだったのだが、UEFAが胸糞悪くなるような最低な裁定を試合の前に発表するという嫌がらせをしやがったせいで見る気が完全に失せてしまって、0−4で負けたという結果を確認しただけである。
レンジャーズのとの試合で、「人種差別」発言をしたとされたクーデラには、10試合の出場停止、クーデラを襲撃して暴行を加えたレンジャーズの選手は3試合、コラーシュに命に関りかねない殺人的ファウルをおこなった選手は4試合の出場停止となった。最悪なのは、事前にUEFAの事件調査団が、クーデラが差別発言を行ったという客観的な証拠はないと発表したにもかかわらず、レンジャーズ側の証言だけを基に制裁が決められたことである。
本来ならば、疑わしきは罰せずというのが正しいはずなのに、疑わしきは罰せよになっているのが問題である。客観的な証拠があるならまだしも、当事者の証言だけで処罰するというのは、冤罪の山を築くだけで、差別解消の役には立つまい。その点では、アメリカで頻発する黒人差別反対のデモが暴動に変わるとの大差ない。
クーデラの挑発行為を処罰するなと言うつもりはない。ただ、その原因となったレンジャーズの過剰なまでのラフプレー、暴力サッカーも同等以上に処罰されるべきだろうと言いたいのである。それが、コラーシュを破壊しようとした選手と、クーデラに物理的な報復を加えた選手の処罰を合わせてもクーデラ一人の処罰より少ないと言うのでは、怪我させられ損で、笑い話にしかならない。
チェコの人は声を言わないから、第三者として言っておくと、これは旧共産圏に対する差別である。ヨーロッパの中でも遅れた国の連中なら人権意識も遅れているから差別発言をするに違いないとか、見せしめに処罰するにはちょうどいいとおもわれているに違いない。自転車のロードレースのクロツィグルが言われなきドーピングの嫌疑を掛けられ続けたのと構図は変わらない。
スラビアのトルピショフスキー監督は、クーデラに対する処罰が試合に影響を与えたとは思わないと語っていたが、強がりであろう。格下のチームが、格上のチームに勝つためには、精神状態が重要になる。それをぶち壊しにしてスラビアの勝ち目をなくしたのが、レンジャーズに配慮するUEFAの決定だったわけだ。配慮したのはアーセナルに対してだったのかもしれないけど、西の進んだ国のサッカーチームに最大限の配慮がされるつけは、東に対する蔑視として現れる。
EUでも表面上は平等の振りをしているけれども、実際の運営を見れば、旧共産圏諸国は、格下の二流国、三流国扱いである。チェコの政治が三流以下なのはそのとおりなんだけどさ。差別の無いヨーロッパという幻想を維持するために、差別に対する見せしめが厳しくなっているのだろう。最近のアメリカの例も含めて、黄色人種に対する差別は放置されがちだけど、それは、いわゆる黒人が差別されることに関しては特権的な地位を築いていて、他の差別される人たちを差別しているというところか。
そして、差別に対する片膝をつく抗議の姿勢を強要するのも気持ち悪い。こういうのは、それぞれがそれぞれの自由意志で参加するかどうかを決めるものなのに、参加しないことに決めた人間を差別主義者として差別するのだから、何のための抗議をしているのだか意味不明である。結局、自分は差別主義者ではないというアピールにしかなっていないように思われる。日本人は同調圧力が強くて云々としばしば批判されるけれども、欧米も変わらないじゃないか。これもまた日本人に対する差別的な言説である。
2021年4月17日24時。
2021年04月12日
弱きを助け、強きを挫く(四月九日)
何週間か前、スラビア・プラハが、ヨーロッパリーグの試合でレンジャーズと対戦したとき、レンジャーズが無敗でスコットランドリーグの優勝を決めたというのが話題になっていたが、それをいうなら、スラビアだって、今シーズンは無敗なのである。それどころか、昨シーズンの最後も12試合負けなしで終えているから、現時点でチェコリーグでは、37試合負けなしという記録を更新中で、2位のスパルタには勝ち点14もの差をつけていて、優勝はほぼ間違いなさそうである。
ヨーロッパリーグを入れても、12月半ばに行われたグループステージの最終節、レバークーゼンでの試合に負けて以来負けていないから、20試合以上も公式戦無敗を続けている。そもそも今シーズンスラビアが負けたのは、チャンピオンズリーグの予選の第二戦(コラーシュがPKを止めたのにやり直しにされた)と、ヨーロッパリーグの初戦も含めて、3試合だけなのである。負けた相手がレバークーゼンを除けば、あまりぱっとしないチームであるのが今季のスラビアを象徴している。
そのぱっとしない相手に、負けはしないけれども勝ち点を献上してしまうのが今年のチェコリーグのスラビアプラハで、上位チーム相手にはきっちり勝つくせに、下位の残留争いをしているチーム相手に引き分けてしまうことが多いのである。だから、週末の現在2位のスパルタとの試合は、スラビアの勝ちで間違いないとは思うのだけど、何が起こるかわからない、ときに予想外の結果が出るのがプラハ・ダービーというものである。
それはともかく、スラビアの「弱きを助く」ぶりを見ていくと、まず、第3節で昇格したばかりで圧倒的な降格候補と見られていたパルドゥビツェ相手に1−1の引き分け。一部リーグの規定を満たすための本拠地スタジアムの改修工事のせいで、ボヘミアンズの本拠地ドリーチェクに間借りしているパルドゥビツェは、今シーズン最大の驚きといっていいぐらいの好成績を残していて、降格争いとは無縁なのだが、この時点では誰もそんなことは予想していなかった。
続いて第9節でこちらも昇格したばかりのブルノと1−1の引き分け。ブルノは確か昨シーズン二部で2位に終わっており、一部リーグが最後まで開催できず、入れ替え戦がなかったおかげで昇格できたチームである。今シーズンが始まってからも成績は低迷しており、第25節まで終わった時点で勝ち点は17しか獲得していないが、先週の二回目の対戦も引き分けで、そのうちの2点はスラビアから獲得しているのである。順位は降格圏内の16位。
第18節では、プシーブラムと点の取り合いの末に、3−3で引き分け。第2節の対戦では3−0で、ホームのスラビアの勝ちだったが、プシーブラムでの雪の中行われた試合は大接戦となった。プシーブラムは、昨シーズンほぼ降格が決まっていたところ、残留争いリーグが最後まで行われなかったおかげで残留できたチームである。今シーズンも成績は上がらず、勝ち点14で最下位となっている。
最後のスラビアと引き分けたチームは、予想外の低迷が続いているテプリツェで、第20節で1−1の結果を残している。現在勝ち点23で14位となっているが、13位のズリーンとは勝ち点6の差があるので、テプリツェまでが残留争いの対象だと考えていい。優勝争いすることはなかったが、つねに上位で安定していたテプリツェが低迷しているのは残念である。日系企業がオーナーだし、オロモウツ出身のクチェラが監督しているし、応援はしてるのだけど、最近以前と違って若手が出てこないんだよなあ。
それはともかく、下位で残留争いをしているチームで、スラビアから勝ち点をえられなかったのは、勝ち点15で17位のオパバと、勝ち点21で15位のムラダー・ボレスラフの2チームということになる。上位ではすでに現在3位のスロバーツコと、7位のオストラバがスラビアとの対戦を2試合とも終えて2敗している。
これで、残留争い中の5チームのうち、スラビアと引き分けた3チームが降格となると面白いのだけど、実際はブルノ、オパバ、プシーブラムだろうなあ。
2021年4月10日24時。
プラハダービーは、ホームのスラビアが2−0で予想通り勝利した。
2021年04月11日
スラビアぼろぼろ(四月八日)
ヨーロッパリーグの準々決勝、アーセナルとの連戦を控えて、スラビアのディフェンスはぼろぼろの状態になっていた。まず、レンジャーズの殺人サッカーの犠牲になったキーパーのコラーシュが治療とリハビリに入り、アーセナルとの試合には間に合わないだろうと見られていた。
そして、ディフェンスラインの要であるクーデラが、チェコ代表のウェールズとの試合でベイルに明らかに意図的な肘うちを食らって鼻を骨折、発熱が続いて試合に出られる状態にはない。クーデラはレンジャーズとの試合での挑発行為で暫定的な出場停止処分を受けているから、怪我がなくてもアーセナルとの試合には出られなかったのだが、ウェールズ戦でベイルの肘うちに、レッドカードが出なかったどころか、ファイルにさえならなかった事実にヨーロッパのサッカー界にはびこる旧共産圏のチームを下に見る病理が反映されているのだが、それについてはまたいずれ。
この冬にレンタルでチームに復帰したデリが、定期検査で陽性の結果が出たために自宅隔離状態に置かれた。それらの結果、先週末にブルノで行われた試合は、レンジャーズ戦で負傷退場したコラーシュに代わって出場した18歳のバーグネルがキーパーで、その前に代表レベルまで成長したとは言え、まだまだ経験の足りないジマと、これまでほとんど出場していないカチャラバがセンターバックでコンビを組んだ。
これがうまく行けば、アーセナルとの試合でもということになったのだろうが、バーグネルがエリア外でブルノの選手を倒して一発退場。ショックのあまり本人は涙を流していたというから、プレッシャーも大きく、相手のレベルも高くなるアーセナルとの試合で使うのは難しくなった。ジマとカチャラバのコンビも機能しているとはいえず、ジマの隣りに誰を使うかというのも議論の対象となっていた。
最終的には、キーパーはまだ完全に快復していないコラーシュが無理をおして、頭を守るための防具をつけて出場し、ジマの隣りには、普段は一つ前でプレーしているホレシュが起用された。コラーシュは練習でプレーできることを確認してから試合に臨んだとは言うけれども、あちこちに怪我の後遺症による不安定なプレー、とくパスが定まらずに相手にボールを与えてしまう場面が目立った。ホレシュとジマの急増コンビも、安定していたとは言い難く、前半から何度かヒヤッとするシーンを作り出してた。
前半は、一言で言えばどちらも慎重になりすぎて、ほとんどチャンスもなかったのだが、後半に入って、怪我から復帰したシェフチークがスラビアの攻撃を活性化したことで、オープンな打ち合いに近い試合になってしまった。自力に勝るアーセナルのほうがチャンスを、決定的なチャンスを作ることが多かったのだが、なぜといいたくなるぐらいシュートの精度を欠き、外してくれたおかげで、試合の終盤まで0−0だった。スラビアも惜しいシュートはあったのだけど、アーセナルの選手がキーパーとの1対1を外したのほどは、決定的なチャンスは作れなかった。あれはもう、駄目だと頭を抱えたのだけど……ふう。
そしてこのまま引き分けに終わるかと思われた85分過ぎに、スラビアは守備のコンビネーションの乱れから、あっさり失点してしまう。ヨーロッパリーグの春の部が始まってからは初めて先制を許したということになる。時間から言ってこのまま、久しぶりの敗戦となってもおかしくなかったのだが、スラビアの選手たち攻勢に出て、最後の最後90分過ぎに、同点に追いついた。
最初のプロボトの強烈なシュートは、キーパーがはじいてポストに当たって決まらなかったのだが、その後のコーナーキックから、ゴール前でアーセナルの選手が触ったボールを逆サイドでつめていたホレシュが頭で押し込んだのである。一瞬我が目を疑ってしまった。そして、そのまま引き分け。いやあ、スラビア強いわ。相手が決定的なチャンスで失敗するという運にも恵まれていはいたけど、これは運だけでなしえることでもなさそうである。
この日のスラビアは、守備だけでなく全体的に低調な感じだった。これについては解説者が、代表三連戦で三試合とも出場していた選手もいて疲れがあったのかもしれないとか、スラビアは大抵体表の試合のあとはちょっと調子を落とすから、来週はまたいつものスラビアに戻っているのではないかなんてことを言っていた。ただ、心配が一つ、今週末のチェコリーグは、スパルタ対スラビアのプラハダービーなのである。この一年で最も大事な試合が、来週のプラハでのアーセナルとの試合に影響を及ぼす可能性はある。いい影響であることを願っておこう。
ここまでは二年前も到達したのだ、あのときは、同じイングランドのチェルシー相手に敗退したのだった。準決勝までは、前身の大会であるUAFAカップで1990年代半ばに進出したことがある。となえれば、目標は決勝進出である。今のトルピショフスキー監督に率いられたスラビアなら実現してしまいそうなきもする。まあ見てる側としては期待を持って応援するだけである。
2021年4月9日18時30分。
2021年03月28日
ワールドカップ予選開始(三月廿五日)
来年、なぜか灼熱のカタールで行われることになったサッカーのワールドカップに向けた予選が始まった。今回は水曜、土曜、火曜と、中二日で三試合行うというスケジュールである。対戦相手は順に、エストニア、ベルギー、ウェールズとなっていて、真ん中のベルギー戦だけがチェコで行われることになっている。
各国の感染症対策が代表の活動にも大きな影響を与えていて、チェコとの国境を封鎖している独逸のチームで活動する選手たちに関しては、最初のエストニアでの試合にしか出場できないことになっていた。チェコとウェールズは、イギリス型の変異ウイルスが蔓延していることで、ドイツによって危険レベルが最高の国に指定されている。そのため、チェコやイギリスからドイツに入国した場合には、検査と2週間の隔離が義務付けられており、リーグ戦も終盤を迎えた所属チームが出場を許可しなかったのである。
当初、ドイツから代表に呼ばれたダリダ、カデジャーベク、パブレンカ、シクの四人は、エストニアで現地集合、現地解散の予定だったのだが、直前になって試合会場がポーランドに変更された。エストニアでの試合開催が不可能になった理由はよくわからないが、エストニア代表の選手、スタッフから多くの感染者が出て、急遽チームを再編しなければならなかったことと関係しているはずである。
監督と10人ほどの選手がチェコとの試合に出場できなくなり、急遽コーチが代理監督をつとめ、追加で選手を招集してチェコとの試合に臨んだようだ。去年の秋、チェコ代表は、選手からスタッフまで総入れ替えでB代表を結成しだが、その辺の対応の仕方は、国によって違うのだろう。とにもかくにもポーランドが試合をさせてくれたことには感謝するべきなのだろう。
試合中だったか、試合後だったかは忘れたけれども、ドイツがウェールズ(イギリス全体かも)の危険レベルを下げるから、ドイツでプレーする選手がウェールズでの試合に出場できるかもしれないなんて話が出てきた。関係者は金曜日の公式発表までは決定ではないと繰り返していたが、出場が可能になれば言うことない。解説者は、ダリダはどうせ出場停止期間中だから、チームと交渉してプラハでの試合に出られるようにしたらどうだなんてことを言っていた。流石に無理だろうけど。
A代表だけではなく、U21代表のヨーロッパ選手権も開幕した。いや、正確にはグループステージが始まった。今回だけなのか、今回からなのかは知らないが、グループステージとプレイオフステージを別々に開催するようだ。開催国はスロベニアとハンガリーである。チェコ代表が入ったグループはスロベニアでの開催で、イタリア、スロベニア、スペインと、こちらも中二日で対戦する。上位2位に入って勝ち抜ければ、5月下旬に行われる準々決勝に進むことになる。
このU21代表は、予選で一度は勝ちぬけ不可能と思われるようなところまで追い詰められていて、出場は無理だと思っていたのだけど、何とかぎりぎりで予選を勝ち抜くことに成功した。ただ、その予選の中心だった選手のうち、スパルタのフロジェクは怪我から復帰したばかりで辞退し、守備の中心だったスラビアのジマは、A代表に招集されて、この大会には出場していない。イタリア、スペンと同組と、組み合わせも運がないし、グループステージ勝ち抜けは難しそうだ。勝ち抜ければ
それにしても、何で、開催期間を二つに分けるなんてややこしいことをしたのだろうか。今回だけの感染症対策となのか、今後はこのフォーマットで行うことになっているのかよくわからない。以前はシーズン終了後に行われていたんだったかな。今年はA代表のヨーロッパ選手権もあるし、国によってはオリンピックにも出場するしで、日程の調整が難しくなることから、今年だけの特例として導入されたと考えていいのだろうか。
最後に、水曜日の試合の結果を報告しておくと、A代表はソウチェクのハットトリックもあって、6−2で大勝。U21は、イタリアのオウンゴールのおかげで、1−1で引き分けた。どちらも、感染者を出さずに試合が行われることを願っている。
2021年3月26日24時
2021年03月22日
愚者どもの宴その2(三月十九日)
試合中に醜態をさらしたレンジャーズだが、試合後にはさらにひどかった。もうこのチーム迷惑以外の何物でもない。圧倒的な人気に胡坐をかいて何をやっても許されると甘やかされたガキのような選手、チームになってしまったのだろう。
試合後の記者会見で、監督のジェラルドが、差別的な発言があったと聞いていると言い、自分は選手を信じていると言ったところまではいい。しかし、その後に続けた、言われた本人だけでなく複数の選手が聞いたといっているというのは大嘘である。嘘をついているのは監督ではなく、選手たちだろうけど、ビデオを見ると、クーデラは開いて本人にしか聞こえないように、手で口元を囲むようにして、直接相手の耳にささやいているのである。他の選手たちがそちらを見ていないことを考えても、クーデラの発言が聞こえたとは思えない。
何を言ったのかは知らないが、試合を見ていると、いわれなき暴力に対して、言葉で抵抗したなんて弁護したくもなる。それにあのときのレンジャーズの選手たちの精神状態なら、「ちゅうちゅうたこかいな」とか意味のない言葉を言われたとしても、差別用語に聞こえてしまうだろうという気もする。勝って当然と、スラビアを見下していたのに、敗戦間際まで追い詰められて精神的にパニックになっているようだったし。クーデラのキャリアを考えると、とっさに英語で適切な差別用語が出てくるかというのも疑問である。実は英語に堪能だったという可能性もあるけど、この手の話は、言った言わないの水掛け論になりがちである。
それにしても、ニュースでは取り上げられなかったけど、レンジャーズ側からコラーシュを負傷させたことに対する謝罪の言葉はあったのだろうか。他にもラグビーでも退場になりそうな、プレーが終わった後のショルダーチャージをくらったバフも心配である。とにかくそれを許したらサッカーじゃなくなるだろうと言いたくなるプレーが最初から最後まで多かったのだけど、それが当然というスポーツ文化なのだろうか。ならば、チェコの選手たちにはスコットランドには移籍してほしくない。
それにしてもクーデラが余計なことをしなければ、レンジャーズの暴力サッカーに注目が集まり糾弾される可能性もあったのに、差別的な発言を受けたという言い訳を与えてしまった。いや非難の矛先ができたことで、そもそもの原因であるレンジャーズの暴力プレーが看過されてしまう可能性がある。
そして、選手だけではなくチーム全体が反省をしていないことも明らかになった。試合後スラビアの選手たちが、控え室から外に出られないように監禁されたとか、その後ホテルに向かうバスや、宿泊しているホテルにまで、押しかけてきてスラビアの選手、とくにクーデラを襲おうとしたという話もある。お前ら、それでもスポーツチームなのか。やり口がヤクザまがいじゃねえかよ。日本もそんな感じのチームが以前は結構あったものだけど、ヨーロッパにも存在するとは。
怒りが大きいことを示して、クーデラの差別発言を既成事実化しようとしている可能性もあるのか。クーデラのささやき戦術もせこかったけど、レンジャーズのやり口も感心できたものではない。これがスコットランドのスポーツ文化なんだろうなあ。大きな声でごねたほうが勝ちというやり口は、ラグビーのワールドカップでもそうだった。
今日のニュースでは、クーデラに差別的なことを言われたと主張している選手が、無理やり控え室に入りこんできて、クーデラを殴り倒したという話を伝えていた。それに対してスラビアでは、傷害罪でスコットランドの警察に告発したというけれども、処分なしで終わるんだろうなあ。何せ差別を受けたという免罪符をかざしているわけだから。差別差別と騒ぐ連中が、自らの暴力を差別的扱いを受けたということで正当化しがちなのも、それを認めなければ差別主義者だという風潮があるのも、大きな問題で、差別反対を叫ぶデモにうんざりとしか思えない理由である。その手のデモはえてして暴動と化すものだし。
それにしても、ひでえ試合だった。二度とこんな試合は見たくない。無観客試合だったのが唯一の救いか。
2021年3月20日12時30分。
2021年03月21日
ひっでえ試合(三月十八日)
いやあ、ひでえ試合だった。昔、日本のサッカーファンが、韓国や中国との試合があると、テコンドーサッカーとかカンフーサッカーなんて言って、試合前には日本選手に怪我人が出ることを恐れるような発言をし、試合の後には怪我人が出たこと嘆く発言をしていたのを思い出すぐらいひどい試合だった。誰だ、レンジャーズのことを称賛していたのは。ラフプレーどころか、暴力サッカー、殺人サッカーと評されても不思議はないレベルでひどかった。よかったのはスラビアがまたまた2―0で勝って準々決勝に進出を決めたことだけ。いやそれを入れても近年見たことのない最悪の試合だった。
それでも、怪我人が出なくてよかったと言えればよかったのだけど、後半に入って強烈な顔面キックを食らったキーパーのコラーシュが脳震盪に加えて流血で顔面血まみれの状態で、立ち上がることもできずに担架で搬送された。正直この時点で、没収試合にして試合を終わらせてくれんかなと思ってしまうほど衝撃的なプレーで、レンジャーズの選手たちのプレー振りを見ていると次なる惨劇が起こるのは時間の問題にしか思えなかった。
次の惨劇は幸いにして負傷退場なんてことにはならなかったけど、その内容はコラーシュがやられたのよりもはるかに悪質で、後味も悪いものになってしまった。ボールを持ったクフタを明らかなファウルで倒したレンジャーズの選手が、明らかに意図的に、倒れているクフタに蹴りを入れようとしたのだ。幸い足があたったのが頭ではなく、偶然ボールが間に入るような形になったから、大事には至らなかったが、やらかした選手は悪びれる様子もなく、倒れたほうが悪いというそぶりを見せてスラビアの選手を激高させ乱闘になりかけた。
その激高したスラビアの選手の中で、前半から暴力ファウルにさらされてきたクーデラが、下手すりゃ命に関るような暴力的なプレーを仲間が受けたことにぶちきれて、相手選手の耳元に差別的な(とレンジャーズの選手が主張する)言葉をささやいて、収まりかけていた乱闘が再び起こりそうになった。クーデラとレンジャーズの犯人がイエローカードをもらっていたけど、これをイエローで済ますような判定をするから、こんな糞試合になってしまうのだ。
それにしても、特にスラビアが2点目を取ったあとのレンジャーズの選手たちは、スラビアの選手たちに怪我をさせるのが目的のようなファウルを繰り返し、審判がイエロー出さないどころファウルすらとらないこともあって、クーデラがぶちきれたのもわからなくはない。相手の耳にささやくなんてせこいことしないで、面と向かって大声で罵ってやればよかったのにとさえ思う。クーデラがなんと言ったのかは知らないが、明らかに自分がファウルで倒した選手に蹴り入れて、倒れるほうが悪いなんて態度を取られたら、お前らなんざ人間じゃねえぐらいのことは言ってもしかたなかろう。
しかし、この試合がここまでひどいものになった最大の原因は、審判がスコットランドのサッカーに配慮して、イエローカードをあまり出さなかったことにある。明らかなイエローレベルのファウルがノーファウルで流されることも多かったし、前半の笛がレンジャーズの選手たちにここまでやっても大丈夫だという意識を持たせ、負けていて焦りが募る中でその大丈夫のラインがどんどん上がっていって、殺人サッカーのレベルにまで至ったわけだ。
レンジャーズのファウルは前半だけで12だったというけれども、見逃されたのを入れれば実際の数は20に近かったし、少なくともそのうちの半分はイエロー、まともな判定なら一発退場物のファウルも一つ二つはあった。それなのに、出されたカードはイエロー2枚だけ。ビデオ審判は何やってたんだという話である、これがスコットランドのサッカーだというなら、そんなものは国内リーグでだけやればいいのであって、ヨーロッパの舞台ではそれにふさわしい判定をしてほしいものである。あれが許容されたら、選手が次々に壊されてサッカーにならなくなる。負傷退場がコラーシュ一人で済んだのは、運がよかったとしか思えない。
レンジャーズの選手たちの悪質なファウルには、どうせファウルするなら相手を痛めつけなきゃ損だと考えているような印象を受けたし、明らかなファウルなのに倒れたほうが悪いといちゃもんを付け、自分がファウルされる場合には、大してあたってもいないのに大げさに声を上げて審判に訴えるというみっともないプレーが多くて、正直幻滅しか感じられなかった。そういえば、去年のネイションズリーグで当たったスコットランド代表も、ここまでひどくはなかったけど似たような印象だったなあ。
そういえば、2019年のラグビーのワールドカップで、品性のなさをさらして世界中の笑いものになったのもスコットランドのチームだったか。この国、明らかに実際よりもはるかに高く評価されているよなあ。
2021年3月19日9時。
2021年03月14日
チェコサッカー界の状況(三月十一日)
去年の秋の、規制の再強化の時期に、せっかく定期的な検査がうまく行って、アイスホッケーと比べたら選手関係者の集団感染がはるかに少なかったサッカーリーグも、自分は規制を守らないプリムラ厚生大臣によって開催を禁止されたため、今シーズンは例年になく過密日程になっている。秋のシーズンが長引いて十二月下旬まで試合が行われたのは、暖冬だったからまだよかったにしても、規制の再緩和と重なったことで、感染状況の悪化につながった可能性もある。
ハンドボールの男子リーグも、試合前の定期的な検査を取り入れたことで、活動停止に追い込まれるチームは最低限で済み、現在プラハのドゥクラが活動停止中だけど、リーグ戦は順調に、秋に無駄な開催禁止で延期になった分も含めて開催が進み、プレーオフ進出チームも決まりつつあるようだ。それにしても、秋のプロリーグの開催禁止は、チームが活動を停止したことで、感染対策が徹底できなくなり、そのせいで感染する選手が出るという結果をもたらした。これもまた、スポーツ界に政府の感染対策、ひいては疫学の専門家の規制強化の意見を信じられない、受け入れられないという人が多い理由になっている。
ただ、国全体の感染状況の悪化は、サッカーリーグにも大きな影響を与えていて、ブルバを監督に迎えてチームの建て直しが進む、スパルタが活動停止に追い込まれたと思ったら、現在絶好調でスラビアの次に強いんじゃないかと思われるスロバーツコが陽性者が複数出たことで、隔離状態におかれチームとしての活動を停止することになった。これで、チームの調子と成績が悪化するなんてことになったらやってられない。
そして、スパルタが二週間の活動停止から復帰して延期になって、平日に行われたプシーブラムとの試合に完勝したとおもったら、今度は週末のスパルタの対戦相手であるプルゼニュが、二週間の活動停止になってしまい、楽しみにしていた試合が延期されてしまった。スパルタの監督になったブルが、自分が最強チームに育て上げたプルゼニュと対戦するのだから、ブルバ時代のベテラン選手も残っていることだし、大きな注目を集めるのは当然である。その試合が延期で平日開催になるのはどちらのチームにとってもありがたいことではあるまい。
さて、この日は、エデンでヨーロッパリーグの、スラビアとレンジャーズの試合が行われたのだが、またまた観客が、少数だったとは言え入っており、テレビの中継でも声が聞こえてきた。今回は政財界の大物が選ばれてと言う事ではなかったようだが、レスター戦の時期よりも、感染症対策の規制がはるかに強化され、余暇のための外出は自分の住む市町村の外に出てはいけなくなっている中、観客を入れたのは、許可した厚生省に何の目的があったのか。リーグ戦でも観客を入れるための実験なんて話は、現状ではありえないのだから、通用しない。
試合のほうは、前半開始早々からスラビアが一方的に優勢で、1点しか取れていなかったけれども、今日は勝てそうだと思ってみていたたら、30分過ぎにセットプレーから失点。最近スラビアは、以前と比べるとセットプレーから、ミスで失点するシーンが増えているという話なのだが、非常に残念なもったいない失点だった。以後はスラビアの攻撃が正確性を欠いて、チャンスもなかなか作れなくなった。それでも終了間際にコーナーキックからマソプストが放ったヘディングシュートはほぼ完璧で、アナウンサーもゴールと叫んだのだけど、相手キーパーが片手で信じられないようなセーブを見せて得点にならず引き分けに終わった。レスターともプラハでは引き分けたわけだし、グラスゴーで買ってくれることを祈ろう。
サッカー協会では、影の権力者だったベルブル氏が逮捕されたのだが、以後おそらく警察のリークで、審判とベルブル氏の電話での会話や、審判の控え室でハーフタイムに金銭のやり取りが行われているビデオなどがニュースで取り上げられてきた。それによって、どのような方法で審判に圧力をかけ、もしくは審判の担当を決めて試合結果に影響を与えていたかが明らかになりつつある。
そんな状況に見ていられなくなったのか、サッカー協会の会長に立候補すると言い出したのが、ブリュックネル監督時代の中心選手の一人ポボルスキーである。この件に関してはシュミツルもサッカー界の改革を訴えて運動を起しているから、会長船に立候補する可能性もある。自分たちの支援する候補が協会の地方支部の会長選挙で勝ったなんて自慢もしていたし、場合によってはシュミツルとポボルスキーが一騎打ちなんてことになるのかもしれない。見たいような見たくないような……。
2021年3月12日24時。