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2021年11月11日

父の思い出 その1

「両親への反省と感謝」を考える機会があり、父親のことを思い出しだ。
父には、「申し訳ない」という気持ちと、「育ててくれてありがとう」、「父親になってくれてありがとう」という思いが強くなった。

私は父とは余り仲がよくなかった。
幼い頃から、祖母との対立が激しく、時に、殴る蹴ることもあり、そのたびに私はわなわな震えていたのだ。

小学生中学年だった頃、祖母と父親がけんかしている中、私は勇気を出してそれを止めに入った。

びっくりした二人は、そこでけんかをやめた。

お婆ちゃん子だった私は、その後も折に触れて、父と祖母の対立に胸を痛めた。

父は、酒を飲むと暴れることが多かった。
家にいて飲まないことはないから、毎日暴れる可能性もあった。

父がぶつかるのは、祖母だけではない。
母とも対立し、夫婦げんかも耐えなかった。

「ぼくは、どうしてこの家に生まれてきたのだろうか。どうしてこの家は地獄なんだろう…。」

幼かった私の心は、次第にすさんでいってしまった。

そして、団地の五階に住んでいたこともあり、
「ぼくがここから飛び降りれば、けんかが止まるのではないか…。」
と、真剣に考えたことは、一度や二度ではなかった。

食事中も、ひやひやしながら、何もしゃべらずに食べた。
何かを言うと、そこから父親が介入し、あっという間に言い争いになる。

そんな食事は嫌だった。
だから、ほとんど噛まずにさっと食べ、すぐに食卓を離れた。
楽しく美味しかったという思い出は、ほとんどなかった。

そんな風だから、父親を敵視するように、嫌ってしまうのも自然な流れであったのだ。

だが、今なら分かる。

大黒柱として家族を支えようと、日中、必死に仕事をしてきて、唯一の安らぎであるはずの家庭が、父親にとって唯一の城であったのだ。

私は、もっと「よく分かる」子どもであるべきだったのだろう。

この父と母のもとに私は生まれてきたのだ。

学ぶべきことはたくさんあったはずだ。

当時は不平不満だらけだったが、父親も苦しかったのだろう…。
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