■分配金利回り7%Overが普通に売っているインヴィンシブル投資法人が7/17に2期ぶりの公募増資が行われた。これにより発行後の投資口数は20%増の5,748,181口となる予定。
併せて発表したないよいうによると、新たに国内のホテル4物件と、SPCを通じて海外のホテルを取得する。
8/3現在の投資口価格は48,000円で、単純計算の分配金利回りは7.01%(第31期の分配金1,683円x2 / 48,000円)となり全REAT中トップレベルの利回りとなる。仮に、公募増資直後のため、取得税などの費用のカウントが1期ずれたとして考えて、巡行配当金を第29期の1,564円をベースとしたとしても6.51%である。これでもまだ配当金利回り全REATトップ5以内であることは確実といえる。
増資によってREATの規模が大きくなり、収益性が安定することはよいことである。しかも、今回は配当金もアップできる物件を追加獲得している。それにもかかわらず投資口価格が下落するということはどういう要因か。
どうも、BlogやYahoo掲示板を見ると、新たに取得した海外のホテルが何者かわからないということが不信感を招いているらしい。対象となるホテルは租税回避地で有名な、ケイマン諸島グランドケイマン島にあるリゾートホテル2物件。
「俺たちの金を変なところに投資しやがって」といったようなコメントが見受けられたが、では、1件1件の投資目論見書に載っているホテルとビルについてどの程度理解できているのかと聞いてみたい。
仮に、このような投資口案件が出ていたらどのように判断するだろうか。
・募集会社はソフトバンクと投資子会社のフォートレス・インベストメント・グループ
・ケイマン諸島のホテル
・利回りは9.2%
・運用報告は半年に1回監査付きで行う
・小口販売で1口5万円。販売手数料は100円/口
さていかがでしょうか。
10万円くらいなら買ってもよいとか思いませんか。これでどこの誰が売っているかわからないという話であれば近寄りたくないですが、上場商品で、売買が自由にできる流動性があります。
ある程度きちっと目利きをしてくれるなら、素人としては何でもよいのが本音ではないでしょうか。
■分配金利回りの落とし穴とりあえず買っとけば、では乱暴なので分配金利回りだけを注目した場合の落とし穴について確認しておきたい。
これは純粋に「減配による投資口価格の変動(=下落)リスク」に尽きる。
仮にインヴィンシブル投資法人の分配金が30期並みの1,450円で7%を維持するためには、
・1,450x2/0.07=41,428円
となります。8/3の価格から約▲6,500円となり、約▲13.5%です。
この下落を分配金で回収するためには2年半かかります。
個人的な記憶で、過去最悪だったのは
・いちごホテルリート投資法人(3463)
で、2016年9月に公募増資を行い、一般向けには約151,000円,第3者割当で149,068円でした。その際の下落はすさまじく、
【公募増資発表前】(6/30参考)179,000円
【公募増資発表時】(7/26参考)150,800円
【公募増資発表後】(8/5参考)162,400円
【第3者割当時】(9/2参考)132,100円・・・利回り4,19%
【公募増資後最安値】(2017/4/14参考)104,500円・・・利回り5.84%
【直近】(8/3参考)139,900円・・・利回り4.67%(注:当期の売却益を無視した場合)
公募増資時の下落した市場価格を約15.1万円としてもさらにその後約30%下落しています。分配金はその後平均して約3,000円なので、下落分の▲46,000円を取り戻すためには、
・46,000円 / 3,000円 = 15.33
となり「7年半」の塩漬けが必要となりました。ただ、2018/8/3終値の価格からすると、
・約2年の分配金
にて投資口価格に到達します。
以上の計算式からおおむね「2年半の塩漬けに耐えきれるか」を許容できるのであれば、公募増資後のREITを買ってもよい言うことになります。
今回のインヴィンシブル投資法人については、最初から分配金利回りがリスク込みに近いところまで上昇しているのでその点でもGoでよいかなと判断します。
しかし、、、、いちごホテルは最悪だったな。公募増資時に価格を吊り上げていたのではないかと疑いたくなるような内容でした。
お決まりですが、最後に投資のご判断は皆さまにお任せします!