2017年07月18日
消毒・かさぶたは傷跡の元! けがをしたら保湿で綺麗に治そう
子どもの頃にできた傷痕が、今でもあちこちにある。転んで擦りむいた膝小僧の傷痕、飼い犬にかまれた手の傷痕、たんすにぶつかった痕などだ。何十年もたち、どの傷も白く小さく目立たなくなったが、痕が残るのは仕方がないと思っていた。
しかし、これからのけがは、痕を残さず治せるかもしれない。
今、傷の治療法が大転換期を迎えており、傷痕が残らない治し方が分かってきたからだ。
□「消毒液をかけて、かさぶたにして治す」が今までの常識
今でもけがをしたら消毒薬を付けて、かさぶたにして治そうと思っていないだろうか?
常識を覆す、最新の「痛くない、痕ができない、早く治る」けがの治療法をご紹介しよう。
□消毒はむしろ傷を深くし、傷跡を残りやすくする。 洗い流すことが重要
従来は「けがをしたらまず消毒」「傷痕は早く乾かす」「かさぶたを作って治す」という治療法だった。消毒をして雑菌をなくそうという考え方だ。しかしこの治療法は、消毒するときに痛みがあり、傷痕が残りやすいという欠点があった。
消毒で痛みがあるのは、周りの細胞を壊し傷が深くなるためだ。しかし、皮膚を再生するためには、周りの細胞を壊さない方が早くきれいに再生できる。
□水道水で洗えば99%の最近はなくなる 湿潤創傷治療(モイストケア)で傷を治す
そのため最新の、湿潤創傷治療(モイストケア)と呼ばれる治療法では、消毒薬は使わない。
傷口に付いた細菌は、水道水で洗い流すことで99%はなくなる。消毒は必要ないのだ。
□かさぶたは作らない方が治りが早い 傷から出る液体が傷を修復
湿潤創傷治療では、「水道で洗い流し」、「消毒はしないで」、「傷口は乾燥させず滲出(しんしゅつ)液で満たし」、「かさぶたを作らない」で治す。
傷口を乾燥させないと、傷口からは滲出液が染み出してくる。この滲出液は傷の治りを悪くすると考えられていたが、傷を修復するための大切な成分が含まれていることが分かってきた。
そのため滲出液をうまく利用するために、傷口はできるだけ乾燥させず、かさぶたを作らないで治すのだ。その方が早くきれいに治すことができる。
□傷ができてから6時間が勝負 とにかく洗い流す
湿潤創傷治療は、擦り傷、熱傷、皮膚疾患などに有効だ。家庭での手当ての仕方は、
1、すぐに水道水で洗い、砂などの異物をできるだけ除去する。とにかく徹底的に洗い、異物を残さないことが重要。やけどは15分ほど流水で冷やす。
2、傷は消毒しない(クリームも付けない、ワセリンやビタミンCジェルは付けてもよい)。
3、出血があるときは、心臓より高く上げ止血箇所を静かに圧迫する。
4、医療用被覆材(もしくは食品ラップ)やばんそうこう(通気性がないタイプ)などで覆う。
5、ラップなどを固定するためのガーゼは使用可能。
常備しておきたい材料は、白色ワセリン、医療用被覆材(もしくは食品ラップ)、ガーゼ、使い捨て手袋、固定用テープ、ビタミンC誘導体含有のジェルなど。
□けがをした日のために必要な常備品をそろえておこう
治療する際には、使い捨ての手袋を使い感染を予防する。家庭に使い捨て手袋も常備しておこう。素手で他人の傷を処置することはせず、使い捨て手袋を着けて治療する。
医療用被覆材ではなく食品用のラップも使用できるが、やけどの傷には合わない場合もある。自己判断する場合は、医療用被覆材(薬局で入手可能)を使用した方が良いだろう。
□医療機関に行くべきけが・傷とは
2〜3分圧迫しても出血が止まらないときには、医療機関に行こう。また、包丁など鋭利なもので切った傷口やぎざぎざの傷口、動物や人にかまれた傷、広範囲な傷や深いやけどなども医療機関に行くべき傷だ。
また、傷が浅くても少しでも取れないもの異物があるときは、医療機関で取ってもらう必要がある。傷痕を残さずきれいに治すためには、早期の治療が大切なのだ。