2017年07月13日
実はうらやましくない、生え変わるサメの歯。人間の歯は一生モノ!
虫歯の治療で歯医者に行って、何度も生え変わるサメの歯をうらやましく思ったことはないだろうか。
今回は、サメの歯と人間の歯の比較について説明しよう。
□一生で2万本も生え変わる! サメの歯はどんなもの?
鋭利なサメの歯は、獲物を捕らえるための必需品だ。
サメの歯は生え変わる性質があり、一つの歯が抜けると、待機していた次の歯がすぐに出てくる仕組みになっている。
この歯の生え変わりは2〜3日おきに起こり、一生のうちでは2万本もの歯が生え変わる。尖った歯から連想するサメの歯は、とても強いイメージを受けるが、実際にはその歯質は脆く弱いものだという。
□理にかなったサメの歯の仕組み
一方、人間の歯は、顎の骨の一部である歯槽骨と呼ばれる骨に埋もれている。また、歯の根の周りも膜で覆われているため、ちょっとやそっとでは抜けない仕組みだ。
しかし、サメの歯には、歯槽骨や歯根膜がないため、抜けやすい性質を持つ。たとえ歯質が強くても、幾度となく獲物に噛みついては、歯が刃こぼれを起こしたような状態になるに違いない。
歯質が弱くても、生え変わりのあるサメの歯は、理にかなっているのだろう。
□人間の歯はどのくらいもつのか 寿命は?
乳歯から永久歯へと、一度の生え変わりしかない人間の永久歯は、本来寿命がないとされている。つまり、ずっと”もつ”はずのものなのだ。
しかし、毎日の口腔ケアをおろそかにすれば、虫歯や歯槽膿漏などになり、歯の寿命は短くなってしまう。実質的な歯の寿命が50〜70年となり、自分が年を取ったときには、自分の歯がほとんどないという状態も十分あることだ。
□現在の日本、75歳以上の3人に1人が総入れ歯
現代の医療技術が発達したことで、たとえ歯を失っても、入れ歯にすることはできる。実際に、75歳以上の高齢者では、3人に1人が総入れ歯だ。
しかし、1本の入れ歯を入れれば、噛む力が10%減少し、総入れ歯なら70%も減少するという。
□8020運動って知っている? 歯の健康を保って活気ある老後を
厚生労働省と日本歯科医師会が推進している「8020運動」というものがある。過去に「11月8日は「いい歯」の日! 80歳でも固い酢ダコを楽しめる…睡眠と歯の健康の知られざる関係」でも紹介しているが、これは、80歳まで自分の歯を20本残すことを目指すものである。
この運動が推進されている理由は、食事をするのに、歯は欠かせないものだからだ。
食事は、単に栄養補給が目的だけでなく、食事自体を楽しむことで活力も湧く。歯を多く残している高齢者では、介護や転倒が少なく、より健康的な生活を送っているというデータもある。末永く健康に暮らしていくには、歯のケアもしっかり行うことが大切だ。
人間は、進化の過程で、一回の生え変わりで長持ちする歯を選択した。私たちの歯は一生ものだからこそ、サメの歯をうらやましがることなく、毎日のケアで歯を大切にしていきたいものだ。