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2016年02月28日

「幻の湖」南條玲子、橋本忍

東宝80周年記念として企画され、日本屈指の脚本家橋本忍が、渾身の思いで作った作品が「幻の湖」だ。

橋本忍は、黒沢作品の脚本を多く手がけこの映画公開当時は、「砂の器」や「八甲田山」「八つ墓村」の脚本も

担当し次々にヒットし飛ぶ鳥を落とす勢いだったのだ。

その勢いで脚本から監督まで手がけた「幻の湖」は橋本の代表作になるはずだったのだが・・・

主人公のトルコ嬢尾坂道子、源氏名お市は雄琴で働いていたが、マラソンが趣味で毎日愛犬シロと琵琶湖周辺を

走るのが趣味だった。

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お市(南條玲子)はトルコで働いたお金をこつこつと貯金して東洋銀行に預け数千万円の大金を持っていた。道子の夢


はトルコを引退して普通の奥さんになるという平凡なものだった。勤務先のトルコ「湖の城」では同僚の淀君(かたせ梨乃)

と対立しながら、また東洋銀行の倉田(長谷川初範)の淡い恋愛などを織り込みながら物語は進んでいくが、

ある日、愛犬シロが何者かに殺害され、琵琶湖のほとりに遺棄されていると道子のもとへ警察から連絡が入る。

道子は嘆き悲しみ犯人を突き止めようと奮闘する。犯人はあっさりと特定され琵琶湖に遊びにきていた芸能プロの


一行だということがわかる。そして実行犯は売れっ子の作曲家日夏圭介であることを知り東京の日夏の事務所へと


張り込む。しかし日夏は出てこず警備員に道子は追い返される。しかし東京でトルコ嬢を辞めたローザと再開し

ローザの尽力で日夏の顔と住所がわかった。ローザは実はCIAで雄琴へは工作のために潜入していたのだ。

日夏は毎日ジョギングの習慣があり、道子は日夏の家の前で出てくるのを待った。日夏の走りに合わせて搬送

する道子、シロの仇討が始まった・・・

マラソンとトルコ嬢という相反するものをテーマにしたのは斬新だったが、途中から戦国へシフトしたり最後は


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宇宙空間へ移動したりとだんだん整合性が取れなくなったのは痛かった。しかし世間の評判ほど駄作とは思わない。

それなりに楽しめるが時代が早すぎたのか。上映は2週間ほどで打ち切りとなり、橋本忍は事実上業界を追放された。

私は偶然にも劇場で鑑賞することができ、見終わったあとは奇妙な気持ちになったのを覚えている。

謎の笛吹男長尾に最近台湾で事件を起こした隆大介が扮し、主演の南條玲子はこの作品がデビュー作である。

とにかく走るシーンが多く、コーチにマラソンの宇佐美選手がついてトレーニングしたようだ。南條にとって相当負担

だったと思うがよく頑張った。しかし美形で品もあり努力家の南條が大成しなかったのはなぜだろう。

音楽に芥川也寸志は壮大なスコアを書いて本作を盛り上げている。よくも悪くもカルトの記念碑的作品だろう。



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タグ:橋本忍、
posted by ハヤテ at 17:01| SF映画
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