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2016年02月26日

「関の弥太っぺ」中村錦之助、山下耕作

長谷川伸原作の戯曲で、中村錦之助主演で映画化された「関の弥太っぺ」は股旅映画の名作である。

常陸の国、関本に生を受けた弥太郎こと弥太っぺは、若くして親と死に別れ唯一の肉親である妹と祭りの夜に

生き分かれて以来旅から旅への流浪の生活を送っていた。

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ある日弥太っぺが、甲州街道の茶屋で一服していたところ幼い娘が川へ落ちて溺れかけていたのを見る。

弥太郎は自分の命も顧みずに川へ飛び込み娘を助け娘はなんとか命が助かったのだった。娘の名は小夜といい

手々親の和吉と親子ずれで旅をしいていたのだ。しかしほっとしたのも束の間、弥太郎が妹と再開したときに

婚礼の支度金に用意していた50両が跡形もなく消えていた。実は娘の手々親和吉は、胡麻の蝿で盗賊だったのであ

る。

そのころ和吉の虎の子の金を奪われた箱田の森介(木村功)が、和吉から金を取り返そうと追ってきた。

弥太郎は50両が戻れば命まで取る気はなかったのだが、怒り心頭の森介は和吉を惨殺してしまう。

今際のきわに和吉は小夜のことを弥太郎に託して息絶えた。


和吉が死ぬ前に小夜を届けるように言った先は、澤井屋という旅籠だった。澤井屋のおかみたちは縁もゆかりも

ない娘を押し付けられて迷惑がったが、実は深い因縁があったのである。


10年の時が流れ弥太郎は切った張ったの荒んだ生活をしていたのだが、運命のいたずらで美しく成長した

小夜と再開するが・・・

長谷川伸の名作を山下耕作が丁寧に演出し、錦之助が名演技を見せる。単なる股旅ものではなく、人間愛は根底


に流れている。「言わぬが花」という一昔前の日本人の美学を体現した作品である。木村功のチンピラ演技も


光っているが錦之助の演技の幅の広さには驚く。日本時代劇最後のスタアと言えよう。

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posted by ハヤテ at 21:06| 時代劇
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