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2015年10月19日

「あゝ野麦峠」山本薩夫大竹しのぶ

山本茂実原作の「あゝ野麦峠ある製糸工女哀史」は、250万部を越えるベストセラー作品である。

明治時代の貧しい小国の日本が、富国強兵を目指し強国となる過程には、飛騨の製糸女子工員たちの

命を削る労働があったのである。この原作を山本薩夫が映画化したのである。

時は明治36年飛騨の貧しい村から、積雪の難所野麦峠を超えて信州諏訪へ向かう少女の集団があった。

凄まじい吹雪と凍てつくような寒さで川井村の14歳の少女政井みね(大竹しのぶ)は谷へ転落してしまう。

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なんとか助かったミネだったが、これからの激しい日々を暗示するような出来事だった。


しかし、生真面目で器用なミネは、製糸工場での糸取りの仕事に打ち込み高い技術を身につけていく。

繭の饐えた匂いになれず、吐き気を催すものや、不器用で仕事ができないものは罰金を課せられて給料

から惹かれる過酷さであった。

ミネと双璧を成す女工がゆき(原田美枝子)だった。ゆきは孤児だったが負けず嫌いで何か比較される

ミネにライバル心を燃やしていた。

日露戦争、ニューヨーク生糸市場の暴落と時代は流れ、女工たちも苦しさに耐えかねて自殺するもの、

工場の事務員と心中するものも出てくる。

強欲な足立社長(三國連太郎)と違い跡取り息子(森次晃嗣)は工員思いの優しい性格だったのだが、愛人の

ゆきを妊娠させて捨てて、取引先の銀行の娘と結婚しこのころか、竹刀で女工を半殺しにするようなサディス

トに変貌していく。


そして、ゆきは息子に見切りをつけて工場を後にするが、野麦峠を越えるときに流産してしまう。

野麦峠は別名野産み峠とも呼ばれていたのである。


ミネはその能力を認められれて百円工女にまで出世するが、長年の無理が祟って病魔が忍びよっていた・・


この映画は、1979年の興業収入第2位に入るほどのヒット作でありながら最近までビデオ化もDVD化も

されていなかった。

監督の山本薩夫らしい演出で、主演の大竹しのぶの演技は凄すぎてミネが憑依しているようである。

他に、原田美枝子、友里千賀子、古手川祐子と当時のトップ女優が出ているほか、極悪資本家役の

三國連太郎やウルトラセブンの森次晃嗣まで出演しているのに、なぜDVD化されなかったのか。

作品としても面白く、ウルトラセブンが鬼の形相で竹刀を振り回すのは嫌悪感を覚えるほどだ。

最後に、ミネの兄(地井武男)の背中におぶさって飛騨の街を見るときにセリフは忘れられない。

日本の近代化は、このような女性たちの犠牲で成り立ってきた。

政井みねは実在の女性で野麦峠には、銅像が立っている。

音楽は佐藤勝


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タグ:政井みね
posted by ハヤテ at 14:08| ドラマ
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