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『安全地帯V Harmony』三曲目、「今夜ふたりで」です。
この曲はですねー、可愛らしい子猫の装いをした獰猛な虎です。散歩のときに見かけるだけなら「可愛いなー」で済むんですが、いざ家に連れて帰るとその正体に度肝をぬかれるわけです。連れて帰る前にはほとんどその正体がわからないという点で、非常にタチが悪いといえるでしょう。お姫様抱っこしながらルパン跳びでベッドインしたら「首を絞めて……」とか言われるようなものです。連れて帰るまでが色恋事なのではありません。本当に艱難辛苦を極めるのはその後なのだということを痛感させる、人生の教材のような曲といえるでしょう(笑)。
何せこの曲、転調しまくりなんです。ホーンの人たちがブチギレしそうで、書けないです、こんな曲。怖くて。あ、いや、ホーンの人たちって、けっこうヘンな調でも「大丈夫だよー」って吹いてくれるんで本当のところはわからないんですが、書くほうは気を遣うんですよ。リコーダーだって半音ばっかりだったら嫌じゃないですか(笑)。金管ってやつは運指だけでなくて吹く力でも音程を調整できると聞いたことがありますから、リコーダーの半音みたいなことにはならないのかもしれませんが、それにしたって楽器ごとに適した調ってものがあるんでしょうから、なるべく変な調にならないよう気をつけてアレンジするのが礼儀ってもんでしょう。
ところが玉置さんはぜんぜんそんなことお構いなしなんですね。さすが玉置さん!というか、アレンジのことなど後のことですから、あとでホーンを入れる入れないなんて作曲の時点で気にするはずがないんですけど。
えーと、最初はEですね、ホ長調ってやつです。オルガンのやさしい音で、夜のとばりが降りてゆきます。エレピ、ベース、ドラムのシンバルが早くも鳴り響き、玉置さんの歌をほんの数小節、しっとりと聴かせます。ただ、しっとりしているのは一瞬で、すぐに田中さんのスネアを合図に、めくるめく転調の嵐に巻き込まれていきます。Kissだのくちびるが咲き乱れるだの、高校では安全地帯のCDは持ち込み禁止になるんじゃないかという乱れっぷりになるところは……えーと、ロ長調です。あ、いや、わたくし普段はBとかEとか言ってますから、ナントカ長調とかいう言い方は非常にむず痒い、というかすぐには頭の中で変換できないくらい疎いんですが(笑)、「転調」と言ってしまった手前、そういう言い方をしないとカッコつかないかなーなんて、謎の見栄を張っております。
ところでこの箇所の、六土さんのベース、音色のカッコいいことったらないです。若干歪ませてグキ、グキ、って短く切る箇所ったらもう……ベースアンプについているゲインって何のためにあるんだろうなどと無知なことを思っていたわたくし、大反省です。ベースの音色ってものに無頓着だったんですねーベーシストが抜けてしまったからという理由でベースを弾いていたわたくし、気づくのが二十年くらい遅かったです。
さあー次はヘ長調ですよ! 背中でゆびさきがたわむれるところです。この曲はブレイクがあって田中さんのライドがチンチン静かに鳴っていたら、転調の合図だと思ったほうがいいです。その転調が忙しくて歌詞のエロさに頭がついていかないのが惜しまれます(笑)。それなのに余談ですが、わたくしこの箇所で、この曲が転調しまくりのとんでもない曲だと気が付きました。ギターでこうかな?こうかな?といろいろ弾いていて、この箇所だけわりとすぐわかったんです。で、同じように弾いても他の箇所では音程が合わないので少しずつずらして弾いてみて、戦慄した、というわけなのでした。
さて、もうハ長調です。イヤリングを勝手にとるところです。ククク……俺色に染めてやるぜ……とか、そんな強引な感じじゃないんですね。これから好きになれるか、ちょっとお試ししよう、だから今だけはちょっと昔のことは忘れてね……という意味の歌詞です。あれ、そっちのほうがタチが悪いじゃん(笑)。
さてまたもや転調、今度は、うーん、イ長調、ですかね。ホーンによる間奏部分です。この曲は四小節やったらすぐつなぎの一小節があってすぐに転調というのが基調になっているんですが、それもハッキリそうなっているわけではなく、つなぎが二小節でそのうち一小節には前の歌が食い込んでいて、まるで五小節プラスつなぎ一小節のようになっていたり、八小節プラスつなぎ一小節なんだろうけど七小節プラスつなぎ二小節と区別がつかなかったりと、一定していないのです。これではホーンの人はたまりません。よくよく曲を覚えて、かつ油断せずに曲展開にあわせて素早く運指なり吹く力なりを調節する必要があるでしょう。これがすべてわたくしの楽器に対する無知による妄想で、実は楽々なのかもしれませんが、玉置さんがキャッキャと天衣無縫で自由に遊んでいる周りでプロの集団が必死こいて収拾をつけているという図が好きなので、どうしてもそういう見方になってしまいます。
さて曲はもう一度ハ長調に戻りまして、こんなに気にさせられる人はいないと、まだ好きとは言ってないよの箇所です。ふう、と一息ついたのも束の間、本艦は転調の嵐の中へと突入してゆきます。
Night Tonightと玉置さんがファルセットで叫ぶたびに調は変わります。なんと四小節ごとです。まあ、半音ずつ上がってゆくだけといえばそうですから、順番にやっていけばいいんですけど、それでも大変でしょう。「面舵いっぱいーハードアスターボードー」「了解スターボード!」「もっと面舵いっぱいースターボードー!」「了解もっといっぱいスターボード!」「まだまだ面舵一杯スターボードー」「了解まだまだいっぱいスターボードー!」「もいっちょ一杯スターボードー」「いい加減にしなさい!船がぐるぐる回っちゃってるじゃないか、どうすんだよこれ!」といかりや長介にメガホンで殴られるかのような遊びっぷりです。
ところでこの曲、転調が忙しかったといういいわけを抜きにしても、ギターの音がほとんど聴こえません。サビの箇所で裏拍を刻む音がとても武沢さんらしいリズムなんですが、ピアノの音とほとんど区別できないのです。ほかにも、ごくたまにこれはギター弦の音色では?という音が響くのがわかるんですが、それも前後の音が聴き取れないまま、曲は過ぎてゆきます。ギター聴き取りは完敗です。くそ……転調さえなければ……とかではなく、これはわたくしの耳のヘボさと、曲の組み立て、アレンジの妙が重なった結果とといえるでしょう。
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そして、来年はぜひそれを動画にアップしてくださいーー!!
あー、カメラワークですね、たまにグラングランくるやつがありますね。80年代はそんなことめったになかった気がしますが……スタッフと、映像監督の考え方と、あとは聴衆の好みによって決まるのでしょう。たしかに安全地帯は基本的に安心して観ていられます。
わたくし、本日でやっと来年初頭の仕事ストックを作り終わりました。若い人たちがまたライブやりたそうなので、ちょっと余裕を作らないといけないのです。元気で何よりですが、年末の狂熱ライブのあとで、心も体も寒々しいライブはさせたくないので、またいろいろ動き回ることになります(笑)。年末年始は、その仕掛けづくりです。おたがい、体に気をつけて乗り切りましょう!来年もまた妄想ばかりにはなりますが、どうぞよろしくお願いします!
あ、安全地帯のDVDとか、TVでのライブとか観ていて、ちょっと感じたのですが、日本のそういうカメラワークとか上手いですよね。(昔のTVとかは酷いのありますが)海外のライブ映像とか観てると、カメラワーク酷くて…あまりの目紛るしさに気分が悪くなって吐きそうになったことあります(笑)。
トバさんのこのサイトを発見してから数か月。本当にたくさんの事を教えて頂き、感謝しています。来年もよろしくお願いいたします。明日からは怒涛の年末→お正月です。
ああ、お正月過ぎにワープしたいですー(笑)。
戦争といえば私たちは外国との戦争をイメージしますが、内戦を想像できないという点では、恵まれているのかもしれません。
玉置さんがあの時代にあの歌を歌っていた、それだけでバブル前後の雰囲気がああいうものだったことの十分な説明になるかもわかりませんね。時代が安全地帯を要求したのは確かですが、それだけなら彼らは時代とともに消えていたはずなんです。彼らがいまなお活動しているのは、彼らが時代をつくる大きな力となっていた可能性を示すものといえるかもしれません。
pukupukuさんくらい安全地帯でサウンドの聴き込みをすると、ほかのバンドサウンドもよーく聴こえると思います。お試しあれ!
『英雄たちの選択 長州vs会津』はとても良かったです。どうしてあの様な最後になってしまったのか、今ひとつ分からないところがあったのですが、それがとてもよく理解できました。姉妹都市は無理だとしても、会津では長年、長州の戦死者を祀っていますし、萩市には白虎隊の供養の絵が掲げられています。
たくさん戦死者が出たのに、憎しみや恨みが強く残る事なく、お互いに敵だった人達を敬っている心に感動しました。
あー、バブル期の頃ですよね。世間は浮かれていたみたいですが、自分には関係なかったです…。
玉置さん、こういう歌(役どころ)が似合い過ぎて、誤解どころかもの凄い人気でしたもんね♪
最近、YouTubeでカバーしてる人のを聴いて、「ムフフ、まだまだだーー!!」とか言って突っ込んでいるブラックな私です(笑)。
恋のお試しをしてみよう、なんて、普通に考えれば不謹慎というか、はしたないことです。バブル前後の頃で、何が何でも恋愛しよう、という空気がみなぎっていたんだと考えれば説明はつくんですが……うーん、そんなんだったかなー、ちょうど生物学的にお盛んな時期でしたから、時代の空気のせいなのか、遺伝子のイタズラなのか、どうにも判別つきかねます。あの頃はテレビも映画も漫画も恋愛せよビーム満載だった、とか、それらしいことを言ったとしても、あの頃以外の時代にはテレビや映画や漫画の恋愛モノにたいして興味がなかったから、わからないんですね。ですから、恋愛のお試しをしようという不届き者は、いつの時代にも一定数いるのかもしれません。玉置さんがまた、そういう役どころが似合うんですよまた。本人はきっと真剣なんですけどね。
pukupukuさんもギター聴こえませんか……これはもう、ごくさり気なくしか録音されていないとみるべきかもしれません。リマスター盤が出て、ひっくり返るかもわかりませんが、それはそれで楽しみです。
あー、スネアとかライドとか、そういやぜんぜん一般的な言葉じゃないですね。わざわざ説明すると話が進まないから説明しないですけど、それは不親切な態度かもわかりません。なんだか、とても申し訳ないです。よもやお調べになっていたとは……pukupukuさん、もうスタジオに入っても大丈夫なくらいバンドに詳しくなっているかもしれませんね。
安全地帯の威力というか玉置さんの威力というか、はものすごいですね……30年前の音声なり映像なりに、多くの人が魅せられるんですから。リアルタイムでは共感者を得られなかったわたくしですが、自分の感性はおかしくなかったのだと、今になってうれしく思う次第であります。
まあ、でも女性だって、どんな人なのかって探りを入れてることもあるでしょうけど。
ただ、松井さんの詩だけど玉置さんがエロく歌うと、玉置さんがそういう人だと誤解する人だっていますよね。うーーん、ビジュアルで損をする・・・。(誰かみたいに)
転調の曲、好きです♪ 段々と盛り上がっていく感じが大好き。
でも演奏する方にとっては、大トラなんですね(笑)。
私は何度聴いても、ギターの音、分からないです・・・。うう、クヤシイ
ベースのフレーズと音、かっこ良すぎてたまらないです!
トバさんのおかげて、「ライド」とか「スネア」とか、今まで縁の無かった言葉の意味が段々と分かるようになって、初心者の私も日々勉強させて貰ってます♪
また一人、玉置さんの声に魅せられて、そしてこのサイトにたどり着いて下さったこと、もの凄く嬉しいです。
「今夜ふたりで」のアップに気が付いたのは、ちょうどTVでNHKの『英雄たちの選択スペシャル 長州vs会津』を観ていた時だったのですが……
<面舵いっぱいーハードアスターボードー〜〜いい加減にしなさい!船がぐるぐる回っちゃってるじゃないか、どうすんだよこれ!>
で大笑い!!
TV観たい! 記事読みたい! TV観たい! 記事読みたい! ってぐるぐる回っちゃいました(笑)。
どうかお体を大事にお楽しみください。むかしは動画なんてVHSしかありませんでしたから、夜通し見続けるにも限度がありましたけれども(カセットを取り替える気力がなくなったときが寝どき)、いまはもっと手軽ですもんね。そして無限かというくらいの動画コンテンツが蓄積されているのでしょう。ですからわたくし、Youtubeにはあまり近づかないようにしております(笑)。
ROMでもなんでも、お楽しみいただけたら幸いです。このようにご挨拶いただけたこと、嬉しく思っております。ありがとうございました。またいつでもどうぞ!
秋頃偶然YouTubeで楽屋からのキ・ツ・イと劇中のいっそセレナーデの動画を見て、玉置さんの歌声に大袈裟ではなく衝撃を受けました。その時は朝まで関連動画を見続け、翌日からも毎晩明け方まで見続けてこのままでは体調を崩してしまう・・と思うほどでした。
その後はアルバムとDVDをまとめて10数枚購入して毎日聴いています。
ライブなどあまり行くことはありませんでしたが、どうしても生歌が聴いてみたくなり先月武道館に行ってきました。
普段こういったブログやサイトも所謂ROM専なのですが、とても内容が濃く私のような初心者にとっては本当に有り難いブログだと思い、コメント書かせて頂きました。
内容についてコメントできるほど知識が無いので今後はROM専に徹すると思いますが楽しみに読ませて頂きます。
数ヶ月前YouTubeでたまたま玉置さんの歌声に触れてすっかり魅入られてしまいました。こちらのブログ初心者には大変勉強になります。時間をかけて全部読ませて頂きます。