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『安全地帯V Harmony』四曲目、「いますぐに恋」です。
ズシーンとしたベース、田中さんのハイハットをバックに、キラキラ音のシンセが消え入りそうになるところでクリーントーンのギターがアルペジオで入る……これだけで悶絶ものの定番安全地帯ですが、それだけでは済まないのがこの時期の安全地帯です。
フルートのような、謎の笛の音がメイン旋律を貼っています。ご存知のように、わたくし笛やラッパの聴き取りがヘボでまるきり自信がございませんもので、あっさりクレジットを見るのですが、なんとフルートはありません。オーボエには坂宏之さんがクレジットされているのですが……オーボエってこんな音だったかしらとあわててYoutubeでいろんな人の演奏を聴くも、なんか違う……いや違うとも言いきれない……という耳のヘボさです。うーむ。笛の音としては似てるのですが、このイントロのフレーズには、オーボエ特有のあの耳の裏にペタッと貼りつく感じが希薄な気がします。曲中にはオーボエ感のある音色のフレーズもあるんですが……このイントロは謎です。坂さんが、そのペタッとした感じを出さずに吹くことのできる曲芸名人だったか、編集の段階で電気的にその音を取り去ったか、あるいはCDにきちんと収録されているのにわたくしの耳がヘボで聴こえてないか、もしくは単にシンセで出した音だったか、ノンクレジットの笛吹きが一人混じっていたか、どれかでしょう。なんの解答にもなっていません。数学の問題を解く高校生でいえば、まだ参考書を買いに本屋に行こうとする段階です(笑)。
そして、武沢トーンの、アルペジオ混じりのリズムギターをバックに、揺れる音色で、おそらく矢萩さんによるリフがはじまります。これは……フランジャーを使ったのではないでしょうか。わたくし、こんな派手なエフェクターはここぞというときの飛び道具としてド派手にしか使いませんから、こんな控えめな使い方、思いもよりません。BON JOVIの”Livin' on A Prayer”でのトーキング・モジュレーターみたいですね。
あれはジョンのボーカルも派手ですから、リッチーのフレーズと対等な感じだったんです。安全地帯だと、玉置さん(と松井さん)が前に出すぎといえなくもないのです。なんせ、「蜂」「蛇」「蜥蜴」ですからね。どれも危険か不気味な動物ですから、動物的本能を刺激してドキリとさせるには十分です。「蜂蜜」「カクテル」は食品、「皮の靴」は服飾品にすぎないのですが、そのどれもが、一枚めくれば獰猛な自然界に住むわれわれがそこに見えるという仕掛けで、野口五郎さんの名曲「少女よ」を思わせる演出です。それを、都会的ダンディーを装う玉置さんが猛獣のようにささやくのですから、これはたまりません。
リズム隊も、この一種不気味な深淵をガツガツと演出します。ズッ!ズズッ!と、足元に何かがにじり迫るかのようなベースラインのリズムに乗せ、田中さんの、やけに固い音(おそらくシンセパッド)がスネアの代わりに打たれて、低木の茂みで枝を折りながら進む危険生物を思わせます。
調が変わり、Bメロではシンセ・リードの効果音を頭拍にして、あとはギターのカッティングがかすかな音色で伴奏を引き継ぐという構成になっています。このけだるい歌詞と曲全体の雰囲気の中、安全地帯はものすごい緊迫感あるアレンジの演奏を続けます。音色の切り替えや音量の調節が細かすぎて、わたくしライブでやれといわれたらもちろん断ります(笑)。PRISMのみなさんでも一瞬気構えるのではないでしょうか。
さらに転調してサビ、なんと変ト長調です。イヤーンです。ハローマイガールとか軽薄なセリフを、こんな風変わりな音階に載せておいて「いますぐにほしい」「いますぐに恋(来い)」とか言われても……鍵盤の人、冷や汗かいちゃってるじゃない!いいのあの人?「いいのいいの、さ、行こうかマイラブ」みたいな、得体の知れない恐怖を拭い去れない誘い方です。左右に振られるギターのカッティングが、また幻惑的です。ダンスホールのストロボのように、一瞬で左右する心情を見事に表現しています。ほとんど同じ音色に聴こえますので、電気的に左右に振ったんだと思いますけど、これを二人のギタリストがコーラスを入れながらやるとしたら、人間業じゃない正確さです。コーラスは玉置さんの重ね取りでしょうし、カッティングも左右に振ったんでしょうけど、矢萩さん武沢さんなら、実際に再現しかねないのが恐ろしいところです。
さて、この曲、前曲「今夜ふたりで」ほどではないにしろ転調を繰り返す曲ですので、とても難解な曲になってもおかしくないはずなんです。しかし、玉置さんがあまりにあっさり歌っているので、転調したと気づきにくい曲でもあります。弾いてみてアレ?です。わたくしレベルでは、CDに合わせて口ずさもうとすると、サビの「Hello」で必ずつまづきます(笑)。調が変わるたびにピアノで弾いてもらいながら「あああああああああー」と発声練習させてくれないと、とてもついていけない調の変化です。つまり、バンドを組む時にわたくしにボーカルをさせてはいけないわけです(笑)。
さてすでに少し触れましたが、この曲も、とんでもないスケコマシソングです。夫婦が夜の街に出て「いますぐに恋」ごっこをしたら、途中で二人とも吹き出さずにはいられないでしょう。この曲は、またお互いのことをよく知らない男女でなければ到底つとまらない物語を描いています。それなのに「マイガール」ですからね。どんだけ強引なんだよとツッこまずにはいられません。たかが五秒の頬杖で誘われたのでは、油断も隙もあったものじゃないです。
ただ、こういう物語には似つかわしく、ずいぶん脇の甘い女性のようで、靴をぶらぶらさせていたり、たいした用もないのにハンドバックを開け、リップスティックを取り出したりしているわけです。これはオオカミの群に、それと知らずに放り込まれた仔ウサギといってもいいでしょう。あ、知ってて来たのか。遊びにいらしたんですね、それはそれはもう……救いようがありません。まちがいだらけの愛の時間をお楽しみください。男のほうは「何もまちがいなんてないさ……」とか、歯の浮くようなことをご期待通りに口走りますので(笑)。
あー、昨年の年末には、来年一年かけて『安全地帯V』を書こうと思っていたんですが、一年経ってみると、書き終わりませんでした。ちょっと振り返ってみると、昨年末はまだ『安全地帯IV』の途中だったんですね。で、次に『プルシアンブルーの肖像』を書いたんで、『安全地帯V』に取り掛かったのが四月だったようです。うん、じゃあ、三月末までには『安全地帯V』を書き終えられるよう頑張る所存であります。今年も一年ありがとうございました。2018年が皆様にとってナイスな一年になりますことを祈念しております。よいお年を。
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ちなみに私がプリンスにハマったきっかけは「Kiss」という曲です。
今まで聴いたことがない音、リズム、ミニマルさに大きな衝撃を受けました。初聴はベストヒットUSAだったかな。
それから過去のアルバムをすべてレンタル(レンタルレコード!お小遣いに限界ありました)したことを覚えています。
ベスト盤、お楽しみください!
プリンス実はほとんど聴いたことなかったのに気がつきましたよ!そんなわけで早速ベスト盤的なものを注文しました。プリンス本人はベストなど作る気はなかったでしようけども……まずは手習いです。なんかすごく楽しみです。
ちなみに、「yのテンション」「エクスタシー」「乱反射」はセクシー系の同系列とのこと。(以上、GB掲載の玉置さんの解説より)
当時中学生だった私は「デリカシー」を筆頭にこういう妖しい雰囲気が大好物でして、そのとき妖しい曲を書けたのは玉置浩二とプリンスだったと記憶しています(単なる思い込み)。
なので、私は安全地帯とプリンスにどっぷり浸かって、とても幸せな思春期だったことを覚えています。
チョコレートはよくわかりませんが(もともと札幌の人間なのに!)、名前から察するに、ウイスキーに合わせることを意図してるような気がします。つまみは美味しければなんでもいいとは思いますが……あ、わたくし、ハードボイルド好きらしく、カミュとかレミーマルタンとか、ブランデーにハマった時期がありましたよ。似合わないというか性に合わなくて、日本酒に逆戻りですが(笑)。ふだんぜんぜん飲まないんですが、酒は好きなのでした。
ワインのお共に好きなのが、ロイズの生チョコ『山崎』です。邪道だと言われそうですね(笑)。
お酒の専門店店長とは、なんと頼もしい甥ごさんなのでしょう!きっと各種ルートから、ナイスなお酒を見つけてくれるに違いありません。ああー、こういうとき、日本酒の銘柄が浮かんでしまうわたくし、ワインレッドの心からは程遠い心の持ち主のようです(笑)。
南アフリカワインを飲みながら、『ワインレッドの心』を聴こうと思っていたのですが、ポカリ酎飲みながら聴いてます(笑)。5%ぐらいの薄ーいポカリ酎ですが(ほぼポカリ笑)、飲みやすくて美味しいです♪
うーむ、この映画は見たことがありませんが、南の島の景色には興味がありますねー。そもそも暖かいほうが生物にとっては暮らしやすいのは道理ですから、そりゃトカゲも可愛くなろうというものです(笑)。『ヘイフラワーとキルトシュー』をみたら寒いところに住みたくなって、南の島の映画を見たら南の島に住みたくなる・・・・・・いやー、映像って罪ですねえ。知らなきゃよかった美しさを知ってしまいます。
ああー、ポカリスウェット酎、けっこう危険ですよ!おっしゃるとおり、あっさり吸収されますので、わたくしのような貧乏人にはある意味で有難かったのですが、立派な大人が何もわざわざそんなことをなさる道理はないでしょう。味は・・・・・・もう記憶のかなたですね。焼酎の臭みが消えていたような気がします。だからこそ危険でもありました。
そういや玉置さん、ヒゲ面でしたね。『プルシアンブルーの肖像』のときにバッサリ髪を切ったので、その後しばらく伸ばしていたように思います。ヒゲはなぜ剃らなかったのか、ちょっとわかりませんけども。
よく預かっていたウサギさんは、うさんぽ(お散歩)以外の時は大きめのゲージの中なんです。で、ゲージの横を通り過ぎる度に足ダンです。『私を撫でずに通り過ぎるとは何事ぞ!』の足ダン(笑)。仕方ないからナデナデすると『そこと違う!』とブチ切れる(涙)。 撫でて欲しいところを手に押し付けて来ますから、「ああ、ここね」とナデナデ…ゲージの前を通る度にこれの繰り返しでした。家の中でうさんぽ中は、好きなぬいぐるみを私が触ろうものなら『ああ?誰が触っていいって言った?』って足ダン→ブチ切れる。最後には『もうこれいらんわ!』って破壊する…。
うさぎさん、見た目の可愛さとのギャップが・・・。いや、可愛いですよ。可愛いけど・・・(笑)。
もし人間に化けたら、どんな女性でしょうね。(もちろん、個体差はありますが)
同僚がトカゲをペットにしています♪ 餌の話を聞くと「うきゃ〜〜」となりますが、面白いです。
私がトカゲさん可愛いなーと思ったのは、この映画からです(笑)
https://www.amazon.co.jp/%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%81%AE1%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8-DVD-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/B001KKR5LQ
チューハイの飲みやすさに気が付いたのは、数年前で、まだ初心者なんです(笑)。あまりお酒強くないので、3%とか5%の缶チューハイ1缶で気分良く酔えます。 焼酎+ポカリだと、吸収早くて即酔いそうですよね。カルピスサワーとかは居酒屋でよく飲みますが、ポカリのは見たこと無いですね。ポカリ多目で一度作ってみます♪ 美味しそうだし。
チューダー!! 時々、サイダーに少し焼酎入れて飲んでましたが、チューダーって言うのですね。知らなかったですー(笑)。色々あって奥が深くて面白い。
昨夜、動画サイトで観た玉置さんが、ちょうどこの『安全地帯X』を作っている頃で、そのことを話していました。髭を伸ばしていた頃だったのですね。
チリのワインも安くていいそうですね。ヨーロッパ人は世界中に住み着いてそこでワインをつくりますから、いろいろな気候や土壌の条件下でつくられたワインが存在するのでしょうね。イヤハヤ、日本人がそんな気質の民族だったら、いろいろな日本酒が飲めたのだと思いますが、いまいち想像つかないですね。インディカ米の本醸造とか。剣菱と灘だってだいぶ違うのに、そんなワールドワイドな違いは目がくらんでしまいます。
チューハイは衰えないですねー。わたくしが若いころ、「純」とかの安焼酎にポカリスウェット混ぜて一撃撃沈のチューハイを作っていたころにはすでに、居酒屋には十を超える色どりどりのチューハイが並んでいました。かのビートきよしも、浅草時代にメチル焼酎のチューハイを飲んで倒れたとか、トキワ荘の面々がチューダーなるチューハイを愛飲していたとか、チューハイに関するエピソードは昔から数多くありますから、チューハイはよくよく愛される飲み物なのだと思います。
トカゲはみるとドキッとしますが、よくよく見ると可愛いようで、室内飼いのペットにしてる人もいますね。客を呼ぶときに爬虫類大丈夫かといちいち確認する気苦労はあるようですが(笑)。その絶妙な感覚を、玉置さんの歌うアバンチュール的な歌詞に取り入れる松井さん、天才なんですねー。
ウサギ、飼っていたわけではないのですが、しょっちゅう預かっていたのもですから、意外な生態を知っているのです(笑)。撫でろ要求がすごくて…(笑)。でも手触りはもう極上のモフモフなんです。触り心地の良さに惑わされるのですよ〜〜。若いオオカミさんなら、なおさらです(笑)。
この曲、詩がちょっとツボです……トカゲも何気に好きなんです。正面から見た顔がかわいいから(笑)。
要求が通るまで足ダンって怖いですね。きっと、いや、もしかするとなんですけども、いっぺんやにへん撥ねつけても、忘れたころにまた要求し始めるのかもしれません。さらに、その執念深さに恐怖して、うっかり要求を通すなんてことがあるのかもわかりません。オオカミさんも、このころの玉置さんと同じくらいの年頃には、だからウサギちゃんって可愛いんだよなーとかノンキに思っている・・・・・・あ、いや、あくまですべて、そういうことも世の中にはあるのかもしれません、という話です。
貴重な自由時間、ごゆっくりお楽しみください!聞いたところによると、南アフリカのワインが安くておいしいそうですよ!わたくしワインはほとんど飲みませんもので、「ワインレッドの心」の世界をじつはぜんぜんわかってないのです。「純米大吟醸の心」では台無しです(笑)。ワインを好む人がうらやましい限りです。
どうぞ今年もよろしくお願いいたします!
確かに、オーボエ独特の丸っこい感じの音じゃないような…です。
何だか怪しい感じを醸し出す演奏、トバさんの分析結果を読むと凝りに凝って作ってるのがよく分かります。それに比べて詩は、あはは! 確かにスケコマシソングですね(笑)。めっちゃ強引! 玉置さんじゃなかったら蹴飛ばされそうです。
オオカミの群に仔ウサギが放り込まれたら、間違いなく食べられちゃいますね。
ところが、大人のウサギ様は、意外とワガママです。お世話がお気に召さないとブチ切れたりするんです(笑)。ブチ切れてる時の眼は怖いですよ…。そして自分の要望がとおるまで『足ダン』を続け、暴れたりするんです。気弱な心優しいオオカミならば手を焼きますよ、きっと(笑)。
慌ただしくてダメージを受けた心と身体を回復させるために、久しぶりの自由時間と安全地帯タイムです!!
今年もよろしくお願いいたします♪