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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2022年12月28日

NO GAME


玉置浩二『JUNK LAND』三曲目、「NO GAME」です。

のっけからなにやら通販番組のような男女の声が流れてきます。これっていまでもTVで放送されているんでしょうかね?すっかり地上波を観なくなってしまったわたくしわからないんですが、90年代はこの手の番組はよく放送されていました。昼のマダム向け番組の合間に流されるようなものもありましたが、97年当時もっともホットだったのは深夜のテレコンワールドでした。深夜は観るものがなかったので、ただなんとなく流しておき、カップ焼きそばでもすすりながら横目で観るというライフスタイルが当時の若者にはあったのです。アメリカのバラエティー番組のようなテンションでひとつの商品を30分もかけて紹介し、しかもそれが二つも三つも流れるので、一時間以上やっていた気がします。はっきりいって愚にもつかぬ怪しげな商品ばかりなんですが、とにかくあの手この手で念入りに紹介するのでそのムリヤリ感が面白かったんですね。90年代の空気感をよく表している番組でした。

そんな番組をバックに、誰かが玉置さんを起こしに来ます。そうそう、こういう番組観ながら眠ってしまって、朝には水割り用に用意した氷が全部溶けて床がビチャビチャということがよくあったものです。90年代の夜には通販番組!もっとも、この曲は玉置さんが楽屋でテレビをつけたまま仮眠していて画面には昼のマダム向け通販番組が流れていた、で、実はそれに生出演予定で待機していたら眠り込んでいたところをADが起こしに来た、って設定だとは思うんですが、当時のリスナーには強烈に90年代の夜を思い出させる演出なのです。

「そろそろ起きる時間なんですけど」に答える玉置さんの「どして」、「だめです玉置さん」に答える「なんで」ですでに歌が始まっています。

で、歌の内容は、めちゃくちゃヘビーな性的内容なわけです。なんだこりゃ、ぜんぜん整合性がないじゃないか!さっきまで通販番組だったのに!強引にこじつけるとそういう濃厚濃密な性的生活の合間にムリしてオールバックでTVに出てやりたくもない仕事をやっている、仕事が終わったらさっさとバイクに乗って恋人のもとに舞い戻りまた性的な時空にどっぷりダイブインの「スーパーマン」であるところの玉置さんを描いたものだということはできます。ただねえ、いくらなんでもこんな生活しているわけないじゃないですか。だからかなりマンガ化してますよね。

曲は、「デューンデューンデューン!デュッデュッ!デュデュデュッ!(パララン)」とボーカル重ね録りで作った大コーラスがあって、その後なにやら神楽で使われるようなシンバル(サルがもっているような小さいやつ)にカツカツとしたパーカションで始まり、ベースの高音部で少しずつリズムにリフのメロディーを混ぜてゆき、玉置さんの「えばるんじゃないぞ」を合図にピアノが入り一気にリズムからメロディーの世界へと突入します。ピアノ「ジャッ!ジャッ!ジャジャジャッジャジャッジャッ!」二小節に一回「ブイー!」と音程の上がるベース、クランチトーンでミューミューキュイーいってるギターと、おそろしくキャッチーです。うおーこれはメロディアスでリズミックな感動的ナンバーに違いない!と期待させますが、その期待を裏切り玉置さんはなにやらしゃべり始めます。うっ!これはおれの嫌いなラップだ!玉置さんはわたくしなんぞよりも遥かにいろいろな音楽を楽しむ方ですのでラップを歌っても何の不思議もないのですが、わたくし勝手にガッカリ(笑)。ガッカリしつつももちろん聴き続けます。それは、玉置さんのラップはラップですがラップでないというか、歌心があふれるラップなのです。いま思えば90年代はラップの時代でした。いまもってわたくし違いがわかっておりませんが、90年代後半からはヒップホップなるジャンルがラップと呼ばれるものと混ざってゆき、いつのまにかとってかわっていったように思います。わたしからみればラップだろうがヒップホップだろうがグライムだろうが、全部同じです。モーニング娘とAKBとナントカ坂、ぜんぶ見分けがつかない自信があるわたくし、そんな細かい違いを理解するなど不可能です。数学の苦手な人に微分や積分の区別がつかないのと似たようなものですかね、ぜんぶ謎の記号と数式にしか見えないわけです。

そして何やら卑猥なことを喋り切った玉置さん、「じゃあねえ〜その子を鍛え直して〜」でいつのまにかベリースムーズに歌の世界に移行してゆきます。歌詞カードでは「そこから」ですが「そっから」と歌い、「どっかで」「せっかく」「びっしょり」と韻を踏み、「どうやって」も「どやって」と歌うことで「習って」「やって」「かいて」と韻を踏みます。玉置さん一流の超メロディアスでリズミックなサビにこういうリズムを引き立てるような歌詞を合わせ、『LOVE SONG BLUE』から生まれてきた曲と歌詞の一体感ここに極まれり、一回で全部覚えてしまうとんでもない融合爆弾を脳髄に叩き込んできます。

さらにサビは終わりません。前曲「闇をロマンスにして」で確認されたばかりのサビ二段重ね戦法に、為すすべなくノックアウトされます。大砲を打ち込まれて大破したトーチカにマシンガンを念入りに掃射され、生存者確実にゼロの酷い状況です。イントロからすでに示唆されていたギターのカッティングが合いの手のように響き渡りベースも二小節に一回「ブイー」と音程を上げ続けます。それをバックに「そんなん無理〜」「絶対無理〜」と、ルーズな心情の吐露がメロディアスに歌われ、その合間にまた卑猥な喋りが挟まれるというハイブリッド構成になっています。歌詞的には情けない内容なんですが、このハイブリッド構成のおかげか非常にテンションは高い、性格にはルーズ→ハイテンション→ルーズ→ハイテンションのミルフィーユになっていて心身を上下左右に引き裂かれんばかり、もうそそそんなの無理!そして「お池に「はまって」」と何故か「」の書かれたよく趣向のわからない記述なのに歌としてはスルッと心に入ってくるとんでもない一節!どんぐりじゃあるまいしスーパーマンが池にハマるわけはありません。つまりスーパーマンが湖沼めぐりの趣味にどっぷりハマったか、何か卑猥なことの比喩なのかでしょう、たぶん後者です(笑)。

曲は、間奏というのか?ギターとピアノが不規則っぽく慣らされ、玉置さんがいろいろ笑ったり喋ったり、AD?の「そろそろ起きる時間なんですけど」もサンプラーで「そろそろ起き・そろそろ」のように重ねるように挿入され、実にカオスです。このカオスな感じは『カリント工場の煙突の上に』以来でしょうか。演奏的には『CAFE JAPAN』中「Honeybee」のノリが最も近いのですが、そこに『カリント工場』発のカオスをミックスさせるという手法を採ってきました。これは天才すぎます。玉置さんの音楽をずっと聴き続けてきたからこそ経過がわかるだけで、こんなこと聴いたあとじゃないと思いつきませんよ!一聴して信じがたい手法のミックスに圧倒されます。

そして歌は二番、また卑猥な喋りなんですが、「ずっとそうやってやってれ(n-)ひとりで!」のように、北海道弁を交えながらもの凄いリズム感覚で一気に歌います。喋るように歌っているのか歌うように喋っているのかいずれとも判じかねるのですが、ともあれラップ嫌いのわたしが聴いていて苦痛でないどころか耳を奪われて聴き入ってしまいます。

ちなみに、北海道弁は命令形が「やってろ」でなく「やってれ」なんですよ。仮定形・已然形と命令形が同じなわけです。これは東北〜チバラギにも共通する方言文法なんですが、もう当時でさえ口にしなくなって久しい故郷の言葉でしたから、ちょっと道産子魂を刺激されました。

さてしゃべりはまだまだ続きます。ちゅ、注射?糖尿病でインシュリンとか打ってるわけじゃないでしょうから、やはり非合法的な……?何やら犯罪のニオイがしますが、90年代というのは第三次薬物乱用ブームでたいへん乱れた時代でもありました。「アッパー系・ダウナー系」「スピード」などの隠語が少年少女の読むマンガ誌にまで散見される有様で、それがまた世紀末感やバブル崩壊後のデカダンス感をリアルに表現していたのです。けっして当時の若者がみんなクスリ漬けだったわけではなく、また性行為に「バイブレーション」などの道具を使うことに大ハマりしていたとかそういうこともなく、これは一種の退廃的な雰囲気を演出しているものだと解釈すべきでしょう。

曲はサビに突入、うーむ、これも韻を踏みながら卑猥なことを……これが卑猥なこととわかるのは90年代の若者だからでなく、普遍的にみんな分かると信じたいところですが(笑)、まあ、試行錯誤というか、夢中になっている感が非常に高く表現されていますよね。

そして二段重ねサビ、困難なGAME、人間のGAME、人生のGAME……ゲーム感覚でやっていいことと悪いことがあるというのはもちろんみなさんご了解いただけるものと思うのですが、若いやつってのはパー、少なくとも当時の若者であったわたしたちは……いやわたしの周辺は……いやわたしは(笑)パーと言われても仕方がなかったかもしれません。性行為は「攻略」するようなRPGのダンジョンではありません。性行為だけでなく人づきあい、男女交際、人間、人生……ゲームだとしたら攻略難易度高すぎなんですが、どこか地に足がついていなかったというか、真剣でなかったように思います。当時はスーパーファミコンからプレイステーション、セガサターンに主役が変わった時代で、アーケードゲームだけでなく家庭用ゲームも一気にリアルになりました。リアルったって現代のゲーム機からみたら笑っちゃうようなカクカクポリゴンなんですけど、ともかくゲームのほうからリアルに近づいてくるような感覚があった時代なのです。ゲームセンターからは「あなたにはクンフーが足りないわ」などとひっきりなしにリアルな声が響いていました。ですから、玉置さん世代からみたら、わたしたちの世代というのはゲームと人生の区別があいまいなアホ世代にさえ見えたかもしれません。中学生が進路調査票に「第一希望 勇者、第二希望 賢者」と書いたとか書かなかったとか激烈バカなウワサが流れはしたものの、そこまでアホだったのは一部で、みんなちゃんとゲームとリアルの区別はついていたとは思います。そして玉置さんが「じーん、じーん、じーん、じーん生NO GAME!」(人生はゲームじゃないんだぜ)と連呼し、最後に「いつものリズムで陽気なスーパーマン」と歌い上げます。曲はここに間奏らしき重厚なギターソロが挟まれていたんですけども、言及のタイミングを逃すほどシームレスに組み込まれていたので、あとからになってしまいました。そして歌が終わりまた間奏のようなカオス、そのカオスのまま次曲「さよならにGOOD BYE」へと流れ込んでいきます。この二曲は一体のものとしてつくられていたのでしょう。

さて、この記事はもう十日前から書き始めていて、もうすこしで書き上げてアップせんばかりだったんですが、突然飛び込んできたニュース、田中さんの訃報に打ちのめされて、書き上げることができずにいました……ほんとうに……言葉になりません。わたしみたいに安全地帯の曲を面白おかしく書いていていいのかと悩みました。でも田中さんがくれたたくさんのものを、ほんの少しでも世に残すことになるのかもしれないと考えて、このブログを再開させることにしました。

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posted by toba2016 at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | JUNK LAND
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