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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2021年03月06日

この道は何処へ


安全地帯VII 夢の都』十曲目、「この道は何処へ」です。

活動休止状態にあった安全地帯が再集結しこのアルバムを作成するきっかけとなった、壮大なバラードです。1991年冬季札幌ユニバーシアード大会のテーマソングとして、地元北海道出身のバンドである安全地帯に依頼のあった曲なのです。

札幌ですから、わたくし地元なのですが、ぜんぜんこの大会のことを知りませんでした。安全地帯が曲を作るというのではじめて大会の存在を知ったくらいです。ちょっと調べてみると、大学生による、もの凄い参加国数の国際大会です。うへー、こんなすごい大会があったんだ!大学生のときも、耳にかすったことすらありませんでした。まあー、そもそもスポーツ強豪って感じの大学でなかったですし、だいいちわたくし大学でスポーツやってませんでしたから、たんに無縁だっただけでしょう。

さてそんな、スポーツに青春をささげる若者たちへの熱い応援歌……なのか?なんか、ラブソングにも聴こえないこともないような気がするんですけど!

80年代には、故ちばあきお氏による『キャプテン』『プレイボール』のような、スポーツ以外は何も目に入りません的なスポーツマンガはほぼ皆無になり、あだちみつる氏『タッチ』、ちば拓氏『キックオフ』のような恋愛要素のおおいに絡むスポーツマンガが台頭、あの高橋陽一氏による『キャプテン翼』ですら中途半端なロマンス路線を導入し失笑を誘いまくった時代でしたので(正直、わざと笑わせようとしてるのかと訝ったものです)、「夢」「ときめき」「君の名前」といった要素をスポーツと恋愛の両方に重ねる若者の心情に訴える戦略だった……いや、たぶんそんなことじゃなく、単にいい歌をつくろうとしただけな気がします(笑)。実際、これからプロスポーツなり経済界なりの世界に羽ばたこうとする年頃の若者の、胸に青雲を抱く心情によく響くナイスな歌だと思います。わたくしほぼジャストな年齢層でしたから、よく胸に刻まれております。大学スポーツとは無縁でしたけども(笑)。ですから、選手への応援歌ではありつつも、若者全体の胸に訴えかけるような応援歌を意図していたんじゃないかな、なんて思うのです。

シンバルとシンセ、そしてシンセによく溶けるピアノ……たぶんエレピだとは思うんですけど、生ピアノの音を加工したという可能性もなくはない感じのピアノで曲ははじまります。

かなりリバーブの効いた玉置さんのボーカルが、シンプルなエレピをバックに朗々と響きます。そこへクリーントーンのギターがアルペジオで絡み、曲を徐々に盛り上げていきます。サビ前でドーン!とベース、ドラムを入れてサビが紡がれるという、実に王道ド直線のパワーバラードになっています。

王道なんですが、これほどドオーン!と広々と、おおらかに歌われた安全地帯のバラードがいままであったでしょうか。しいていえばTo meToo Late Too Lateくらいじゃないでしょうか。それらのバラードが恋愛なり友情なりのごく個人的な「クローズアップする」感情を歌いあげていた(それが安全地帯のも魅力だったわけなのですが)のに対し、この「この道は何処へ」はもう少し広い、わたくしの妄想がある程度的を射ていればの話ですが、若者の大きな夢、未来といった「ズームアウトする」イメージのバラードであるように思われるのです。これは、安全地帯の新時代を象徴する視点の転換といってもいいのではないでしょうか。つまり、わたくしの芸風も大転換を迫られること必至なのですが(笑)、それはこの際どうでもいいことといわなくてはなりません。

さて曲は、「夢みる〜」と、いわゆる「大サビ」をいれて、最後のサビへと向かいます。ありきたりといえばありきたりな手法ではありますが、効いてますね〜この大サビ!曲想の転換はもちろんなんですが、そこに「まだ終わらない」という詞をのせることにより、さらに急ズームアウトして上川盆地一帯を空から眺めるかのような浮揚感を得られます。あ、いや、ユニバーシアードは札幌でしたから、石狩平野ですね。でも、このアルバムジャケットから石狩平野を想起するのはムリです。上川盆地に決まっています!(謎の北海道人的こだわり)そして曲は半音アップ、最後のサビからアウトロへと続いていきます。

歌詞なんですが、何処へ何処へと繰り返すこの歌は、わたしのような北海道人が想像するようなまっすぐな道だけでなく、全国のどこにでも、いや、世界のどこにでもあるような道を、そこを歩む若者たちに思い起こさせ、人生という旅路を進む自分の姿を思わせます。若者は手に何も持ちません。いや、わたしのようなおじさんだって素寒貧だったりはしますが(笑)、「胸に秘めた思い」だけをもち、「まぶしい風」、「流れる雲」の下をどこまでも歩いてゆくのです。「ときめきを抱きしめるため」「ふりかえる想い出のため」に。

「ときめき」は異性へのそれかもしれませんし、「想い出」も異性とのそれかもしれません。その一方で、人生の夢的なものであるかもしれず、それを追いかけた日々を思い出すということかもしれません。若者にはこれから先、いくらでも、いろいろと、起こるものです。起こっていますよね?いや、起こっていてほしい!どうも、自分が若者でなくなると、そういう想像力がなくなっていけません。わたくしの世代はいわゆる氷河期世代ってやつで、ちょっと上のバブル世代から「君たちはかわいそうだねー若い時代に遊んでいろいろ経験できなくてさー」とか半笑いで哀れまれたものです。大きなお世話だよ(笑)。どうも、わたしたちは受験とか就職とかでアップアップ、ろくに若者的なアソビもできていない世代であるらしいのです。それと同じで、いまの若者も、上の世代からみると、自分たちと同じ経験のできないつまらない世界に放り込まれていて気の毒に見えることがあるのかもしれません。あ、いや、新しい音楽に関していえば、音楽業界が苦境に陥っていて活力を失ってますからほんとに気の毒だと思いますけど、それだって大きなお世話なのかもしれません。ああ、なんだか急に、自分の世代がいちばん気の毒な気がしてきて、寝込みたくなってきました(笑)。いろいろあったんですよーそれでも!そういう「ことば」で語られるものでなく、じかに経験する・したもの・こと「ふれるもの」を信じて生きるべきなのです。

この曲によって直接応援された世代は、わたしの世代、氷河期世代でした。ですが、この曲はいつでも、そう、現代にあっても、その時々の若者たちを勇気づけ、明日に向かって、何処へつづくかもわからぬ道へ一歩を踏み出す姿をみつめ続けるのだと思います。そうして送り出された世代は、いつまでも心にこの曲を留め「まだ終わらない」と歩み続けています。先を行く者は、後ろからついてくる者がいるからこそ力強く歩み続けられるのです。逆に後ろを行く者は、前に誰かが歩いていることで安心して歩むことができるのでしょう。この曲は、そんな対象レンジの極めて広い、安全地帯随一の人生応援ソングといえるかもしれません。

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感想(0件)


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この記事へのコメント
本州某所に潜伏中です。北海道、もう10年くらい帰っていません。その前も何年も帰らないことがありましたから、地下鉄が延伸されていて驚いたとか、清田区なんて初耳だとか、そういう浦島太郎になってました。次帰ったら何に驚くのか……。

おススメはですねえ、全部なんですけども、はじめてに近い時期に聴くものとして強いて絞れば『安全地帯II』『安全地帯IV』『CAFE JAPAN』です。よろしければご検討を!

Posted by トバ at 2023年01月20日 12:50
トバさんも道外なうなんですね。
昭和末期、平成初期に青春を過ごしたということは私とだいぶ年代は近いですね&#12316;。私は安全地帯の存在をしっかり認識したのはそのだいぶ後で、ベスト盤を聞いたくらいなので奥深くまでは知らないのですが、オススメ教えてください&#12316;^^
Posted by さばえ at 2023年01月20日 07:51
あの頃、案外近くにいてくださったのですね。北海道を出てからこっち、あまりにもそういう話ができてないのです。わたしにとって少年時代、昭和末期から平成初期、北海道、安全地帯は密接に関連していて、あまりにも自分だけの世界になっているものですから。わかってくださって感激モノです!
Posted by トバ at 2023年01月19日 18:35
とばさん…… 私もバリバリ日本海側でしたよ⊂&#8288;(&#8288;(&#8288;・&#8288;▽&#8288;・&#8288;)&#8288;)&#8288;⊃
意外と近くかもしれませんね☆そうだったら何となく嬉しいですね☆彡

この世が始まる、生まれた、というちょっとした奇跡が起こっている感覚…
素晴らしい表現!私の考えてたとことぴったりフィットです…&#10024;!
Posted by さばえ at 2023年01月19日 08:59
こんにちは!この曲はこのアルバムで一番人気でもおかしくない曲なんですが、あまり語られることがなかった曲であるように思います。こんなふうに、あの頃の思い出と一緒に教えてくださりありがとうございます!

ユニバーシアード結局1回も観ませんでしたので、テーマソングだと知っていただけだったのです……でも、テーマソングをきっかけにして安全地帯とめぐりあったのですね。とても感慨深いです。この曲をご紹介してよかったと思います。

北海道の真っ白い大地、そこに朝日や夕日がかかるのはえもいわれぬ美しさですよね。この世が始まる、生まれた、というちょっとした奇跡が起こっている感覚です。晴れていれば毎朝起こっているんですが……日本海側でしたから曇が多かったですけど、晴れた日の白い大地は空気の冷たさ清けさも相まって美しいものです。
Posted by トバ at 2023年01月18日 19:01
トバさん、はじめまして。
私もこの曲が大好きです。私は小学5年生で、すでに活動休止していた安全地帯というバンドは知りませんでした。
NHKの夕方18:40頃の北海道ニュースで、その日のユニバーシアードの競技の映像とともにこの歌が流れ、小5の私は「なんて壮大な透明感のある歌なんだろう…!」と心を打たれた記憶があります。
時間の都合で長く流れるときとサビだけのときがあり、ユニバーシアード閉幕とともに歌も流れなくなりました。

あの歌は誰の何という歌だったんだろう…。
ずーっとそう思い続けて中学生になった頃、民放で若者が大きなドミノを皆で作り上げるという番組があり、そのエンディング曲として再びこの歌に再会したのです。そこで初めて「この道は何処へ」安全地帯 という事を知りました。
民放のディレクターさんがこの歌を選んでくれなかったらもっともっと知るのが遅くなっていたか、忘れてしまっていたかもしれません。。

トバさんがおっしゃるとおり一つの感情や出来事にズームインするのではなく、広くズームアウトする感覚ありますね!!
あの頃へ…も、音もなく雪がしんしんと降る北の大地の情景を思い起こさせますがどちらかと言うと曇ってるイメージがあります。
この道は何処へ…は、晴れた雪の大雪原を広くズームアウトしていくようなイメージがあります。
朝になりきる直前か、陽が暮れ始める直前か。青い空白い大地に少しだけオレンジ色が刺し始める風景が浮かぶんです。

こんなにこの曲を考察してくださってる方がいて、感激しました!ブログ、少しずつ読ませていただきますね&#9584;&#8288;(&#8288;*&#8288;´&#8288;&#65078;&#8288;`&#8288;*&#8288;)&#8288;&#9583;
Posted by さばえ at 2023年01月18日 14:55
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