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2020年03月12日
田才益夫訳のチャペク1(三月九日)
小説、エッセイを問わずカレル・チャペクが書いたものはすべて翻訳したのではないかと言いたくなるような様子で、チャペク作品の翻訳刊行を進めている田才益夫氏だが、最初に出版されたのは、すでに紹介した『クラカチット』(楡出版、1992)である。再刊された青土社版が現在でも手に入る。
@『クラカチット』(青土社、2008)
続いて1990年代半ばのチャペクブームの最中に、社会思想社から二冊のエッセイ集の翻訳が刊行されている。『コラムの闘争 : ジャーナリストカレル・チャペックの仕事』(1995)と『カレル・チャペックの闘争』(1996)である。前者は国会図書館のオンライン目録では、チェコ語の原典が『Na břehu dnů』(1966)とされているが、原題とはかけ離れた邦題である。本国でも没後に出版されたもので、チャペク本人がつけた題名ではないからそこまでこだわることはないか。この二冊はどちらもすでに絶版で手に入らないが、前者はhontoに書影がなかったので、後者の書影だけ上げておく。
A『カレル・チャペックの闘争』(社会思想社、1996)絶版
1998年には『マクロプロス事件』(八月舎)が刊行されているが、すでに絶版。後に『チャペック戯曲全集』(八月舎、2006)に収録された。この『戯曲全集』には、兄ヨゼフとの共作も含めすべてのチャペクの戯曲、全八作が収められている。
B『チャペック戯曲全集』(八月舎、2006)
2001年に刊行された『ポケットから出てきたミステリー』(晶文社)も残念ながら絶版で手に入らない。前編にあたる『ひとつのポケットから出た話』(栗栖継訳、晶文社、1997)は現在でも手に入るようなのが不思議である。昔から読み継がれている本の強みということだろうか。ただし、個々の短編が、後で取り上げる『短編集』に収録されている可能性は高い。
C『ポケットから出てきたミステリー』(晶文社、2001)絶版
2004年から2007年にかけては、青土社から次々にエッセイ集の翻訳が刊行される。中にはチェコ語の原題が付されているものもあるが、大半は訳者によって取りまとめられた作品集のようである。いずれも「カレル・チャペックの」という枕のついた題名に統一されているのが特徴で、装丁においてもある程度統一感が考えられている。
D『カレル・チャペックのごあいさつ』(青土社、2004)
E『カレル・チャペックの日曜日』(青土社、2004)
F『カレル・チャペックの新聞讃歌』(青土社、2005)
G『カレル・チャペックの映画術』(青土社、2005)
H『カレル・チャペックの童話の作り方』(青土社、2005)絶版
I『カレル・チャペックの愛の手紙』(青土社、2006)
J『カレル・チャペックの警告』(青土社、2007)
長くなった、いや書影が多くなったので以下次号。
2020年3月10日10時。