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2020年03月04日
チェコでも新型ウイルス感染者(三月一日)
ついに、というか予想通りというか、チェコでも新型コロナウイルスの感染者がでた。ただし一度に三例というのは、こちらの予想を上回っていた。三人とも感染したのは来たイタリアで、現在はプラハの病院の感染症病棟に隔離されており、入院はしているものの命にかかわるような重態にはなっていないという。
一つ目のケースはチェコの感染対策がほぼ完璧にうまく行った。この人はイタリアのウーディネの大学で行なわれた学会に出席して帰国して、しばらくしてから発熱などの症状が出て、さらにイタリアから出席した学会参加者の中から感染者が出たという知らせを受けて、医者だったか保健所だったかにコンタクトを取ったらしい。
その結果、救急車が派遣され、そのまま受け入れ態勢の整っている病院に運び込まれて隔離され、検査の結果陽性が確認できたということのようだ。イタリアからウィーンの空港を経てプラハに戻ったという話もあって、その帰りの経路ではともかく、帰国して以後は他者との接触はほぼなかったようなので、感染の拡大は最小限に収まりそうだ。
二つ目もプラハなのだが、こちらは外国人の旅行者という厄介なケースだった。イタリアのミラノの大学に留学しているアメリカ人の学生が、旅行に来たプラハで具合が悪くなって、病院に行ったら、検査で陽性の反応が出たというのである。幸いなのは外国人なので、普通の開業医ではなく、外国人に英語で対応できる大きな病院に行ったことだった。一つ目のケースで患者が救急車で運び込まれた病院だったかもしれない。
保健所の人の話では、最初から自分はイタリアから来た人間だということを病院の関係者に告げていたため、普通の待合室には入れられず、すぐに特別な対応が取られて隔離入院することになったという。留学先の大学がこの件で閉鎖になったので旅行に出たとかだったらたちが悪いけど、現時点ではそんな情報はない。もしかしたらこちらがウィーン経由でチェコに入ったという話だったかもしれない。
三つ目はウースティー・ナド・ラベムのケースなのだが、こちらは対策があまりうまくいかなかった例になる。北イタリアのスキー場で滞在中に感染したようなのだが、どういう経緯で入院に至ったのかはよくわからなかった。問題は病院に付き添ったという人の情報によると、ウースティーの病院では何人かの他の患者と同じ病室に入れられていたらしいこと。この病院で感染が広がっていなければいいのだけど。その後、このウースティーで陽性が確認された患者も、プラハの他の二人が入院している病院に移送されて隔離されている。
見事に三者三様に分かれたわけだが、感染の拡大が一番心配されるのは、二番目の旅行者のケースだろうか。観光旅行ということで、あちこち巡り歩いているだろうし、レストランや飲み屋などの人が集まる場所にも足を向けたに違いない。プラハだけでなく他の町に立ち寄っている可能性もあるし、今後調査が行われるのだろう。
三つ目のウースティーのケースは、患者が医者か保健所に連絡をして、その指示で病院に向かったのなら問題はないのだが、付き添いの人と一緒にいきなり病院に行ったのであれば、大きな問題である。あれだけ医者に行く前に相談をしろと繰り返しているのに、それを聞き入れない人がいるということになる。新型ウイルスだとは思わなかったという言い訳はできそうだけど、問題になっている北イタリアのスキー場から帰ってきたのに、軽率だという批判は免れ得まい。
チェコでは、子供たちは感染率も、発症率も高くないことから、学校の閉鎖は考えていないようである。ただ、最初のケースで学会参加者から患者が出たことで、大学が独自の判断で大学の閉鎖を行う可能性はある。大学関係者の中に他にも同じ学会に参加した人がいる可能性は高く、それが明らかになり、その中から感染者が出た場合には確実に閉鎖されるだろう。
これからはチェコでも患者の数が増えていくのだろうけど、毎年のインフルエンザのデータがほしい。年ごとにどのくらいの数の人が感染して、どのぐらいの割合で重症化したり肺炎を起こしたりしたのかという数値がないと、今回のウイルスをどのぐらい恐れるのがいいのか判断できない。今はとにかく恐ろしいが先に立ってしまっている。
2020年3月2日11時。
その後、月曜日の夜までに判明したことを追加しておく。三つ目のウースティーのケースを中心に、いくつか誤解があったが、上の記述はそのままにする。昨日の夜のニュースでは、上に書いたように理解できるような報道だったのである。
一つ目のケースの感染者は、大学の先生で、帰国後も自宅待機の指示がなかったので、普通に大学に出勤していたらしい。その後具合が悪くなって先週の水曜日からは医者とコンタクトをとっており、週末に救急車で運ばれたということのようだ。その結果、勤務先の大学が、確か所属する学部の休校を決めた。
二つ目のケースの旅行者は、イタリアから留学生4人組で旅行に出、先ず飛行機でウィーンに行き、そこからバスでハンガリーのブタペストに向かった。1人はブダペストに残ることを選び、3人でブルノにバスで移動。ブルノでいくつかのレストランや飲み屋に行ったことが明らかになっており、ブルノの人たちはちょっとしたパニックになっているようだ。その後、またバスでプラハに移動し、宿を取ってすぐに夕食に出かけ、出かけた先で感染者となった1人が具合が悪くなったために、タクシーを呼んで全員でモトルの病院に向かったらしい。これは現在収容されているのとは違う病院である。
よくわからないのが、同行者2人が病院に収容されて隔離されているかどうかということである。一応、出国しないようにという指示は出されており、病院の管理下にあるような報道だったのだけど、感染者と同じところには隔離できないだろうから、どうなっているのかねえ。症状が出ていなかったら、そのまま収容はされなかいだろうし、検査ぐらいはしたと考えておこう。
三つ目のケースでは、すでに帰国の途中で体調の不良が現れており、保健所と連絡を取った上で、病院に向かったようだ。その後よくわからない理由でプラハに移送されている。上に書いた他の患者と同室だったというのは、ウースティーの病院ではなく、プラハの初日のことのようで、隔離するための病棟の準備が終わっていなかったために、一部屋に入れられていたが、現在ではそれぞれが個室を与えられ、すでに回復して熱すらない状態になっているのだとか。
3月2日追記。