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2020年02月17日

チェコ語の疑問詞2(二月十四日)



 次も格変化のあるモノにしようということで、「kolik」。この言葉、文法上は副詞扱いにされる。副詞が格変化をするのかという疑問に対しては、するものもあるというしかない。副詞とは言っても実際には数詞と、5以上の数詞と同じ使い方をするし、数を質問するための疑問詞なので数詞扱いしてもいいような気もする。格変化は同じ副詞で数詞的に使う「mnoho(たくさん)」と同様、1格と4格が同じで、変化する2格、3格、6格、7格も同じ形になる。

 この「kolik」はチェコ語の勉強を始めて最初に習う表現の一つ、「Kolik to stojí?」から、「いくら」という意味だと思われがちだが、本来の意味は「いくつ」で、「いくら」の意味になるのは、通貨であるコルナがいくつというところから来ている。5以上の数詞と同様、1格で使う場合には、後ろに来る名詞が複数2格になって、全体として中性単数扱いになるので、過去にすると「Kolik to stálo?」となる。いくつかの通貨が意識される場合には、通貨を省略せずに「kolik korun(何コルナ)」「kolik jenů(何円)」としなければならない。

 もう一つ例を挙げておけば、時間を尋ねる「Kolik je hodin?」も「Kolik」のせいで、時間が複数2格「hodin」になり、動詞は三人称単数「je」が使われている。これも過去にすると、「Kolik to bylo hodin?」と中性の語尾が出てくる。数詞と名詞は、しばしば泣き別れになって、離れたところに置かれることがあるので、ちょっと長い文になると名詞を複数2格にして、動詞を三人称単数にするのを忘れがちである。

 さらに厄介なことに、5以上の数詞のところでも説明をしたが、名詞が複数2格になるのは、1格、2格、4格の場合だけで、それ以外は、複数の該当する格を使用しなければならない。複数2格の意識が強すぎて、いつでもどこでも複数2格にしてしまうのが困りものである。間違いを避ける方法は、1格、2格、4格以外では使わないことぐらいしかない。チェコに住んでいるとそんなことも言っていられないので、頑張って使えるようにはしたけど、今でもたまに間違えている。

 では簡単な格変化を。

1 kolik
2 kolika
3 kolika
4 kolik
6 kolika
7 kolika


 この「kolik」と対応する言葉に「tolik」があって、意味が違うだけで、格変化も使い方も全く同じである。「そんなに」という意味なのだが、数えられるものが大抵は「そんなにたくさん」あるときに使う。物の値段を質問して、予想よりも高かったときに、驚きの気持ちを込めて「tolik」なんて言うこともできる。

 また例文を。

・Kolik k vám přišlo hostů? Žádný nepřišel.
(何人のお客さんが来ましたか?/一人も来ませんでした)

・Od kolika a do kolika hodin pracujete? Od jedné do dvou.
(何時から何時まで仕事するんですか?/1時から2時までです)

・Kolika lidem jste poslal pozvánku? Padesáti. Tolik?
(招待状を何人の人に送ったんですか?/50人です。/そんなに?)

・Za kolik let se vrátíte do Japonska? Nikdy se nebudu vracet.
(何年後に日本に帰ってきますか?/二度と戻らないつもりです)

・Po kolika dnech jste vyšel ven? Po dvou týdnech.
(何日ぶりに外に出ましたか?/二週間ぶりです)

・S kolika Čechy jste už mluvil česky? S mnoha.
(何人のチェコ人とチェコ語で話したことがありますか?/たくさんです)


 それから「kolik」と「tolik」を組み合わせると次のような文もできる。

・Dám ti tolik, kolik potřebuješ.
(お前が必要とする分だけ、くれてやろう)


 ところで、チェコ語には数えられない名詞と言うものがあって、たとえばビールや水などは、直接「ビールを二つ」なんて言い方はできず、入れ物である瓶やグラスを数える形で表現しなければいけないと、初学のころに、もしくはチェコ語の会話集なんかで勉強したはずだ。だから注文するときにも「dvě sklenice piva」とか「dvě láhvi piva」と言わなければいけない。コーヒーも「jeden šálek kávy」というのが正しいことになっている。ということは、いくつと質問するときも、「Kolik láhví piva(何本のビール)」、「Kolik šálků kávy(何杯のコーヒー)」になる。気をつけなければならないのは、ビールもコーヒーも単数2格で後ろからつけることである。
 それから、どんな名詞を使うかわからないときには、2以上の数詞に「krát」を付けることで、同じものがいくつなのかを表現できるというのも勉強したはずだ。この場合は名詞は2格にする必要ななく4格を使えばいい。こちらの方が使いやすいので、同じものをいくつか注文するときには、よく使うのだけど、こちらが、ビールを2杯たのむのに「Dvakrát pivo prosím」と言っても、お店の人から「Dvě piva」と返ってくることがあってびっくりする。本来複数はないはずなのに、「Kolik piv」なんて質問されることもあるし。

 それはともかく、数詞と同様「kolik」に「krát」をつけた「kolikrát」という疑問詞が存在する。「k」が一つになっているのに注意。これはビールなどを何杯というのにも使えるが、「krát」は回数を表す、チェコ語には珍しい助数詞なので、何回という意味で使うことが多い。「Kolikrát jste byl v Japonsku?(日本には何回行きましたか)」なんてね。
 このことからも「kolik」は数詞に近いといえるのである。数詞といえば形容詞型の順序数詞というのもあるのだけど、その疑問表現についてはまた次回。
2020年2月15日23時。










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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



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