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2020年02月10日

所有代名詞1(二月七日)



 この題名に使った言葉が正しいのかどうか確信はないが、「私の」「私たちの」などの、人称代名詞の所有を表す形である。以前、どなたかが、人称代名詞の格変化を覚えて、「私の」は、「já」を2格にして名詞の後に持っていけばいいと思ったら……なんてコメントを残されていたが、誰しも通る道である。
 名詞であれば、名詞だけでなくて名詞に形容詞が付いたものであっても、2格にして後に持っていくことで、所有を表すことができる。しかし、代名詞、代名詞の中でも人称代名詞に限っては、2格で所有を表すことはできないのである。その代わりに、人称代名詞の所有形とでも言うべきもの、所有代名詞を使う。

 日本語の「私の」などのように、名詞の前で使うので、後からかける2格よりもわかりやすいのだが、当然後に来る名詞の性や、単複、格によって形を変えるし、三人称の場合には、所有する人の性によって形や格変化が変わる。チェコ語なので厄介なのは当然と言えば当然なのである。覚えるのは簡単でも、実際に使うのは難しいのとかいくらでもあるしね。たいていはどちらも難しいから、どちらかだけでも簡単なのは喜ぶべきことである。

 さて、この所有代名詞は、3つのグループに分けて、格変化を覚える必要がある。一つ目は、一人称単数と二人称単数、それに再帰代名詞からつくる「můj」「tvůj」「svůj」である。これは男性名詞単数の1格につける形だが、一部の例外を除いて形容詞硬変化と同じ格変化をする。二つ目は。一人称複数、二人称複数の「náš」「váš」で、人称代名詞の2格「nás」「vás」と似ているので注意が必要。格変化は形容詞的だが、ちょっと違う。最後は三人称のもので、これはもう個別に見ていくしかない。無変化のものもあるし。

 一つ目のグループで気をつけないといけないのは、単複の1格と、1格と同じ形をとる格である。単数1格は男性「můj」「tvůj」「svůj」、女性「má/moje」「tvá/tvoje」「svá/svoje」、中性が「mé/moje」「tvé/tvoje」「své/svoje」となる。二つの形のある女性と中性は、「oje」で終わる後者を使うのが一般的だが、前者を使うと格変化が形容詞とまったく同じになるという利点がある。
 すべて並べても煩雑なので、「můj」を例にして単数の格変化を上げておく。

まずは男性から。
1 můj
2 mého
3 mému
4 mého(活)/můj(不活)
5 můj
6 mém
7 mým

 4格は、活動体は2格と同じで、不活動体は1格と同じという名詞、形容詞に共通するルールがここでも適用される。5格が1格と同じなのは、性も単複も問わない形容詞型の格変化をするものに共通の特徴である。

 女性は
1 má/moje
2 mé
3 mé
4 mou/moji
5 má/moje
6 mé
7 mou

 4格に二つの形があるのが例外的。これも、女性名詞の軟変化の「e」で終わるものを思い浮かべれば、4格が「i」で終わるのは覚えやすい。

 中性は、
1 mé/moje
2 mého
3 mému
4 mé/moje
5 mé/moje
6 mém
7 mým

 1格と同じ形になる4格、5格を除けば、完全に男性の格変化と同じ。


 複数も1格がやっかいで、男性は活動体「mí/mojí」「tví/tvojí」「sví/svojí」、不活動体「mé/moje」「tvé/tvoje」「své/svoje」、女性「mé/moje」「tvé/tvoje」「své/svoje」、中性「má/moje」「tvá/tvoje」「svá/svoje」となる。

 今度は二人称を例にしてみる。

男性
1 tví/tvojí(活)tvé/tvoje(不活)
2 tvých
3 tvým
4 tvé/tvoje
5 tví/tvojí(活)tvé/tvoje(不活)
6 tvých
7 tvými

女性
1 tvé/tvoje
2 tvých
3 tvým
4 tvé/tvoje
5 tvé/tvoje
6 tvých
7 tvými

中性
1 tvá/tvoje
2 tvých
3 tvým
4 tvá/tvoje
5 tvá/tvoje
6 tvých
7 tvými

 複数は、1格、4格、5格で長い形も使える以外は、形容詞の硬変化とまったく同じ。同じなら完全に同じだと楽なのだが、部分的に違うところがあるのが、外国人に対する嫌がらせに思えなくもない。自然とそうなったものなのだろうけど、文章語としてのチェコ語の正字法が決められたときに、覚えやすさに配慮なんてことはしなかったのかなあ。今後も、標準チェコ語と呼ばれるプラハ方言の要素が入ってきてますます規則性が乱れていくんだろうなあ、なんて悲観的なことを考えてしまう。
 長くなったので、手抜きっぽいけど今日はここでおしまい。
2020年2月8日24時。
 








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