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2018年07月22日

オロモウツのサマースクールに来る人へ4(七月廿日)



 レストラン以外で紹介しておいたほうがよさそうなのは、普通ではないビールが飲めるところであろう。最近たまたまオロモウツで現時点では一番新しいホテルのテレジアンホテルのレストランに入った。正確には地下のレストランではなくてザフラートカだったけれども、このレストランでは、チェヒ・ポット・コシージェムのビールを飲むことができた。少なくともレストランの人はそう言っていた。

 チェヒ・ポット・コシージェムは、オロモウツからは、それほど遠くないのだけれども、鉄道が通っていないせいで、ちょっと行きにくいところにある小さな町である。オロモウツから西、プロスチェヨフから北やや西に延ばした線が交わる辺りにある、コシーシュという山のふもとにあるので、ポット・コシージェムという名前がついている。チェヒは、チェコ語でボヘミア地方を指す言葉なので、コシーシュのふもとのボヘミアとでも訳せる地名である。コシーシュ山、もしくは丘がボヘミアのジープ山になぞらえられたのだろうか。とまれ、モラビアの中にあるチェヒ=ボヘミアというちょっと変な地名なのである。
 この町には、もともとは14世紀に建てられたという城館が残っていて博物館として一般に公開されている。昔結構遠いところから歩いていったのは覚えているのだが、どこからだったか覚えていない。展示物としてはこの城にしばしば滞在したチェコ的には有名な画家のマーネスの作品があるとか、この博物館と近くのナームニェスティ・ナ・ハネーの博物館とが共同で二つの博物館を結ぶ馬車のパレードみたいなのをやったとかいう話もあるのだけど、現在の一番の見ものは、チェコ映画に関心のない人には見ものにならないけど、ズデニェク・スビェラークと息子のヤンの映画に関する展示である。でも、何でこんなところに展示を持ってきたんだろう。ちょっと不思議である。

 とここまで書いて、コシーシュ醸造所を探してみたら、醸造所があるのは、チェヒではなく、近くのルホタ・ポット・コシージェムのほうだった。ルホタは古い言葉で小さな集落みたいなものを表すので、チェコ各地にルホタのつく小さな村や、村の中の集落が存在している。このルホタは、チェヒとは反対側にあるドラハノビツェという町の一部になっているようである。ここにもチェヒに行くのと同じバスでオロモウツから一本で行けるけれども、ビール飲みにバスで行くのもなあ。ここに行く前に、プロスチェヨフのミニ醸造所に行かなきゃなあ。

 オロモウツに戻って、ドルニー広場からホルニー広場に出て右に曲がって二軒目か三軒目かに最近新しくできたのが、ビアバー・ナ・ストヤーカである。名前から立ち飲みのお店かと思ったのだけど、みなサフラートカも含めて座って飲んでいる。店の前に出ている看板を見る限り、大手醸造所のビールではなく、地方の小さな醸造所のビールを取り寄せて飲ませているのかな。ホモウトの名前をよく見かけたような気がする。

 喫茶店マーレルの角から広場を出ていく通りには、あれこれ珍しい瓶ビールを売っているお店がある。オロモウツのビール、モリツとか、リーグロフカとか、聖バーツラフとか、ホモウトとかの小瓶があれば、オロモウツ土産としていいかもしれない。ホモウトではパラツキー大学のビールを造っていたなあ。これはビールバーの隣の大学のアンテナショップでしか買えないかもしれない。

 さらにその通りを進んで、トラム通りに出る手前のところには、これも最近オープンしたグッド・ビール・クラブというお店がある。店の中までは通りから見えないので、どんなお店なのかはわからないが、ここもたくさんの醸造所のビールが飲めるようである。入り口の両側の黒板や店の前に出された看板にその日飲めるビールの名前が書かれているので、飲んだことのないビールが書かれている日に入ってみるのもいいかもしれない。これはビールバーのほうも同じね。ホモウトはサマースクールで二回工場見学が予定されていて、その一環として試飲もできるから、ほかを優先しよう。
 この通りには、しばしば行列がとおりにまではみ出しているジャガイモ屋もある。お持ち帰りのフライドポテトの専門店なのかな。店の名前は読み方がわからない。朝早くから営業していれば、学校に行く途中に買って、授業の間の休憩時間に食べられるのだけど、営業開始は10時か11時だったかな。昼食にするには軽そうなのでちょっと残念。

 この手のお持ち帰り用のお店としては、トラム通りに出て共和国広場を抜けた先のシュパゲタールナもある。ここも営業開始はそれほど早くなかった気がする。目印は隣かそのまた隣の潜水艦から取ってきたような鉄のドアが入り口になっている飲み屋のポノルカ。この店、正式にはウ・ムゼアというらしいけれども、みんなポノルカと呼んでいる。
 喫煙者のたまり場で、もうもうと立ちこめる煙と次から次にビールを運んでくるウェーターが名物だったポノルカは、昨年飲食店での全面禁煙が法律で定められ施行された際に、会員制のクラブに変わってしまった。会員の喫煙者しか入れない店になってしまったのだ。誰でも入れるレストランや飲み屋は禁煙法の対象となるけれども、会員制のクラブであれば、喫煙者だけが会員で、会員以外は入ることができないようになっていて、受動喫煙やら二次喫煙が起こらない、より正確にはみんな加害者で被害者がでないということで、禁煙法の対象とはなっていないのだ。法律のアナをついた見事なやり口というべきか、そこまでして酒飲みながらタバコ吸いたいののかとあきれるべきか。

 この辺りには、ゴリーアシュとか、ウ・フベルタとかのレストランもあるので、お昼御飯を求めてさまようことになるかもしれない。フベルタの入っている建物は、軍の建物になっていて、軍の合唱団やら、民間の民族舞踊の団体やらが練習をしていることがあって、歌声が聞こえてくることがある。昔は典型的なチェコの薄汚れた飲み屋だったのだけど、改装されてからは小奇麗な店になったよとは、我が畏友の言葉である。

 となると、朝、休み時間用の軽食を買うとなると、パラツキー大学の図書館が入っているテレジアの武器庫のカフェ・ライブラリーでサンドイッチを買うのが一番かな。ここは確か朝8時から営業していて、サンドイッチなんかをお持ち帰り用に買えるはずである。ここまで来て食べるのは休み時間の30分ではきつそうだし。チェコ人的にスーパーマーケットでロフリークとポマザンカを買ってくるという手もあるけどさ。ロフリークだけかじっていると、スヒー・ロフリーク? と言ってチェコ人にへんな顔をされることがある。
2018年7月21日23時25分。







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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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