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2017年01月09日

寒い2(正月六日)



 今年の冬は、十一月十一日の聖マルティンの日に、チェコ全土ではなかったけれども、雪が降ったせいか、去年より寒く、雪が多いような気がする。いや、過去最高に寒かった冬よりはましだが、ここ数年では一番寒いんじゃなかろうか。
 すでにクリスマス前に雪が積もり、雪が多そうな予感はあった。幸いその後気温が上がって、うちのの実家に出かけるころには、オロモウツ市内からは雪は消え、道路も完全に除雪されて特に走行に問題のある状態ではなくなっていた。ただ、オロモウツを出てプシェロフに向かう途中の道路では、道端の木が凍りついて、いや木の表面に氷がついて真っ白い枝を伸ばしていたのが幻想的だった。樹氷というやつなのかな? と南国育ちの人間には判別がつかず、?をつけてしまう。
 なぜか、南にいくほど融け残った雪の量が多く、南モラビアにあるうちのの実家の辺りでは、周囲の畑は真っ白く雪に覆われていた。その雪も雨が降ったおかげで完全に融けてしまい、今年の冬の雪はこれで店じまいかもと期待したのだが、はかない期待だった。

 年末には、チェコに来てその存在を知ったチェコ語でインベルゼという気象現象が起こり、オロモウツのような平地の方が、山の上よりも気温が低くなるという現象が起こった。この現象が起こる年って寒かったような気がする。インベルゼが起こると平地では空気が動かなくなるため、排気ガスなどが拡散することなく滞留してしまう。その結果、町がスモッグに覆われることになる。風邪がなかなかよくならないのもこの時期に汚い空気を吸い込んでしまったせいかも知れない。換気のために窓を開けると部屋が臭くなるってのは、やめてほしい。

 インベルゼが終わると危惧していたとおり、さらに気温が下がって雪までちらつくようになってしまった。風邪が治りきらないまま復活したところにこの仕打ちはないだろうと思うのだけど、天に物申してみても詮無きことである。かくて本日は雪の舞い散る中、仕事に向かうことになってしまった。昨日までは、降っても積もってもいなかったのだけど。
 傘を差しても仕方がないので、時々上着に降りかかった雪を叩き落としながら歩いていく。不快なのは、マフラーの口の周囲が濡れてしまって冷たく感じられることだ。呼気に含まれる水蒸気が、急速に冷却されることでマフラーで結露するということか。そのまま凍りついてマフラーがシャリシャリにならないだけましだと思ってしまうのは、チェコの冬になれてしまった証拠だろうか。

 実のことをいえば、降り積もった白い雪の上をシャリシャリ踏み込みながら歩くのは嫌いではない。ただし距離が短ければというのと、石畳の上でなければという条件がつく。市内の石畳の道を雪の中歩くのは、なかなか慣れない。それで歩道を歩くことも多いのだけど、歩道も石畳だったりするのが厄介である。
 今日は歩道を歩いていたら足を滑らせてこけてしまった。体調もよくないのでゆっくり歩いていたから、気を抜いていたのがいけなかったのかもしれない。ついた足がつうっと前に滑っていくのを立て直せずに、体の右側を下にして地面に落ちてしまった。以前知り合いが同じような状況で倒れないように踏ん張った結果、倒れただけでなく足を傷めて立ち上がれなくなり通行人に救急車を呼ばれたことがあると言っていたが、素直に倒れたおかげか、特に怪我などはなかった。親切な通行人に、「大丈夫? 立てる」と聞かれて、立ち上がりながら「何の問題も在りません。ありがとうございます」と言えるぐらいだった。

 寒い寒いと思っていたら、本当にこの冬一番の、いや久しぶりの大寒波だったようで、六日の夜には、正確には七日の未明と言ったほうがいいのかもしれないが、雲が途切れ放射冷却現象が起こったために、シュマバの山の中を中心に何箇所かでマイナス三十度を超える寒さを記録したらしい。オロモウツでもマイナス二十度近くまで下がったようである。
 うげっ、これは過去最高の冬に近いではないか。あのときはオロモウツでもマイナス二十度を超えたから、今年よりも寒かったのは確かだけど。これ以上、寒さが厳しくならないことを、天に祈って本稿を終わることにする。
1月7日22時。


 カテゴリーももう少し増やして整理したほうがいいなあ。1月8日追記。

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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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