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2016年10月18日

彼らはどこに行ったのか2(十月十五日)


DF
 当時のU21の代表のディフェンスの選手で、A代表に定着して主力になったのは、マレク・スヒーしかいない。U21代表で活躍している間に、召集して経験を積ませることで、更なる成長を図るなんてことは、当時の余裕のなかった監督には無理だったんだろうなあ。サイドハーフの位置にサイドバックの選手を置く、サイドバック縦並べをよくやっていたのだから、レツヤクス、チェルーストカあたりは、呼ばれてもおかしくなかったと思うのだけど。

2:Jan Lecjaks ヤン・レツヤクス
 レツヤクスは、U21のヨーロッパ選手権でとんでもない反則を受けて、腕の骨を折る大怪我をした選手だったはず。退場すべき相手選手にはイエローも出なかったもんで、怒りまくった記憶がある。当時すでにベルギーのアンデルレヒトで主力として活躍していたから、A代表から声がかかってもおかしくないと思っていたのだが……。
 その後、スイスのヤング・ボーイズ・ベルンに移籍してヨーロッパリーグの試合で、たまに見かけることはあるけれども、忘れられた実力者の一人である。ヤロリームなら調子のいい時期に代表に呼んでくれそうな期待はある。


3:Radim Řezník ラディム・ジェズニーク
 このU21代表では、チェルーストカの陰に隠れてあまり目立たなかったような気がする。というか、この選手がこのチームにいたとは思わなかった。実力は当時から高く評価されていたようで、大会後にバニーク・オストラバからプルゼニュに移籍している。ライトラルがドイツに移籍した後にレギュラーに定着して、戻ってきた後も、ポジションを明け渡さなかった結果A代表に召集されるまでになったのかな。ただ、この二年ほど怪我で欠場が続いている間に、若手のマテユーが台頭して、怪我から復帰後もベンチに座ることが多い。

 
4:Ondřej Mazuch オンドジェイ・マズフ
 何だかんだであまり失点はしなかったけれども、不安定だったディフェンスの中心選手の一人。ブルノからドイツやイタリアに移籍したこともあるみたい。ヨーロッパ選手権当時はすでにレツヤクス同様、アンデルレヒトで活躍していた。その後ウクライナを経てスパルタに復帰した。ただ、もったいないことに控えでベンチを暖めることが多い。
 U21代表では、反則すれすれというか、運よくPKにならなかったというようなシーンを連発していたから、あんまりA代表に呼べという気はないのだけど、シボクとかカドレツなんかのベテランよりは、マズフを試してもいいかなとは思う。
 

5:Ondřej Čelůstka オンドジェイ・チェルーストカ
 現在はトルコで活躍しているらしい。スラビアやU21代表でのプレーを見ていると、これからどんな選手に成長していくのだろうかという大きな期待があったのだが、A代表にはほとんど呼ばれていない。スラビアからトルコ、そのあとイングランドやドイツでもプレーしていたようである。この選手も忘れられた才能の一人である。今のチェコ代表のサイドバックには、カデジャーベク、ゲブレセラシエというドイツで活躍している連中がいるから競争が激しいんだよなあ。


17:Marek Suchý マレク・スヒー
 若き中心選手としてスラビアのリーグ連覇、チャンピオンズリーグ出場に貢献した後、ロシアに変われて行き、大会当時はスパルタク・モスクワの選手だった。あの頃は、ロシアブームだったから、いやロシアでチェコ選手ブームが起こっていたからなあ。
 正直、これまでスヒーより、フブニークやカドレツなんかが優先されてきた理由が理解できないのだけど、今後は代表の主力のセンターバックとしてキャプテンも務めることになりそうだ。スヒーとカラス、バラネク、ブラベツあたりの若手を育てる方向に行ってくれると、将来に向けて希望が持てるのだけど。



MF
 中盤の選手も本当に主力になっているのはドチカルただ一人。U21代表の中盤はそれぞれ自分の役割がよくわかっていて、ここの技術では格上の相手とも堂々と互角以上に渡り合えていたので、当時の自分の役割もわからないままに右往左往しているだけのA代表よりは、強豪相手に勝負できると思っていたんだけどねえ。その後の選手たちの様子を見ていると、召集しなかった監督だけの責任とはいえないような気もする。

21:Jan Hošek ヤン・ホシェク
 あれ、この選手のこと、ほとんど記憶にない。スパルタの控え選手だったかな、いや、それは今プルゼニュにいるヘイダだ。
 ということでちょっと調べてみたら、当時のU21代表に多かったスラビア育ちの選手だった。ホシェクの場合は、スラビアからテプリツェに移籍し、ポーランドにレンタルで移籍した後、今年の春から二部のカルビナーでプレーしていて、一部昇格に貢献したようだ。そのカルビナー、降格候補だと思われていたのに、なかなかいいサッカーをしていて、現在順位では中位につけている。唯一のシレジアのチームとしてがんばって欲しいところだ。


6:Lukáš Vácha ルカーシュ・ヴァーハ
 スラビアで育って、リベレツで活躍して、現在スパルタにいる選手の一人。バーハが、スパルタの中心選手であることに満足しているのも現在のチェコサッカー界の問題を反映していると言えるかもしれない。まあ、軽率すぎるプレーを、大事な試合でやらかすのを見ていたら、西ヨーロッパのチームからは声はかからないだろうなあ。


7:Tomáš Hořava トマーシュ・ホジャヴァ
 いやあ、予定では、こいつがロシツキーの後釜候補というか、ロシツキーの負担を軽減する役を担うはずだったのだけど、小ぢんまりとまとまって普通のいい選手で終ってしまいそうである。代表にも呼ばれるけど、定着しているわけではないし。
 当時、オロモウツに続々と生まれた攻撃的な好選手たちは、ポスピシール、ナブラーティル、プシクリル、ドレジャルと、みんな動詞の過去形が名字になっている中、ホジャバだけ違ったから、跳びぬけた選手になるんじゃないかと期待したんだけど、他と同じでチェコリーグで中心選手レベルで止まってしまった。ダリダには完全においていかれたもんなあ。


8:Bořek Dočkal ボジェク・ドチカル
 ドチカルはスパルタの中心選手で終ってもらっては困る選手なんだけどねえ。スラビアで育ってリベレツで活躍して、現在はスパルタという点ではバーハと同じだけど、スパルタの前には、ノルウェーのローゼンボリで中心選手として活躍していた。そこから、ドイツとかイングランドに行って活躍してくれれば理想的だったのだが、チャンピオンズリーグ出場権獲得のための戦力としてスパルタがかなりの金を積んで移籍させたんじゃなかったかな。
 何だかんだで、この世代では一番代表で活躍しているのだが、ドチカルがもう一つ上のレベルに行ってくれないと代表としてはつらい。


10:Jan Morávek ヤン・モラーヴェク
 ボヘミアンズが生んだ天才の一人。一部リーグに復帰したボヘミアンズで彗星のようにデビュー勅語から大活躍し、二十歳前でドイツに買われていった。よりにもよってマガトのチームだったというのが運のつき、怪我で欠場を繰り返して、かつての輝きは消えてしまったように見える。比較的早い時期にA代表に呼ばれたのに定着できなかったのも怪我のせいである。後にイラーチェクがドイツ移籍濃厚と言われていた時期に、チェコテレビのボサークが、頼むからマガトのチームにだけは行かないでくれとコメントしたのは、モラベークの件が一因となっている。二人目の犠牲者はピラシュだったかな。
 現在はアウグスブルクに所属しているようだが、ほとんど話題になることがないから、そんなに活躍していないのかなあ。一人では無理でも、ホジャバとモラーベク二人でロシツキーの代役という青写真を、素人なりに描いていたこともあるのだけどねえ。ドイツ移籍が早すぎた選手の一人と言っていいのかな。

以下次回。
10月16日23時。

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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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