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2016年01月24日

森雅裕の新刊が読みたい(一月廿一日)


 2003年から2005年ぐらいにかけてだっただろうか、復刊ドットコムに、日参とは行かないが、頻繁に通っていた時期がある。国外からできるのかどうか不明だったので、会員登録も投票もしなかったのだが、ある作家の復刊リクエストページに復刊決定の文字が出るのを今か今かと待っていたのだ。しかしたまに交渉の進展が追加されることあっても、実際に復刊されることはなく、やがて復刊ドットコムの存在も忘れてしまっていた。

 その作家が、表題の森雅裕である。1980年代の後半から90年代の初めにかけて、推理小説を熱心に読んでいた人以外は知らない名前であろう。今回ブログを始めて、復刊ドットコムがリストにあるのを見て、久しぶりに森雅裕のリクエストページを覗いてみたら、乱歩賞受賞作の『モーツァルトは子守唄を歌わない』と続編の短編集『ベートーベンな憂鬱症』の二冊が復刊されていた。
 その瞬間、心の底から欲しいと思ったのだが、よくよく考えてみれば『モーツァルトは子守唄を歌わない』は、講談社から出たハードカバーの親本も、文庫本も、そして後にワニの本から出た森雅裕幻コレクションバージョンも持っているのだ。『ベートーベンな憂鬱症』だって最低でもハードカバーは持っているのだ(文庫があったかどうかは記憶が……)。無理して購入に踏み切る必要はない。こういうときに、国外に住んでいてよかったと思う。日本に住んでいたら衝動的に購入してしまっていたに違いない。
『モーツァルトは子守唄を歌わない』は、両親が乱歩賞や、直木賞などの受賞作品が面白そうだったら買うという人だったおかげで、高校生のころ出版直後に読むことができた。それまでは特にベートーベンに思い入れがあったわけではないが、以後ベートーベンは我が心のよりどころとなる。いや、クラシック音楽を聴き始めたこと自体がこの作品の影響なのである。しかし、高校生の小遣いでそうそう本が買えるわけもなく、田舎のことで本屋の品揃えも大したものはなく、せいぜいノベルズ版で安かった『感傷戦士』と『漂泊戦士』が買えたにとどまる。
 本格的な森雅裕との出会いは大学に入って上京してからのことである。アルバイトも始めて多少自由に使えるお金ができて、高校時代よりもはるかに本が買いやすくなっていたところに、神保町の書泉グランテだったか、東京堂書店だったか、三省堂かもしれないけれども、で森雅裕のコーナーを発見してしまったのである。とまれ、『椿姫を見ませんか』『マン島物語』『歩くと星がこわれる』などの作品を買いあさって読み耽り、立派な森雅裕フリークになっていたのだった。それにしても当時はいい時代だった。何せ毎年一冊は新作が読めたのだから。
 ただ、角川ノベルズから出ていた、乱歩賞受賞前のデビュー作『画狂人ラプソディ』と乱歩賞後に刊行された『サーキットメモリー』の二作だけは、絶版で入手することができず、それが我が悪癖の一つであった古本屋めぐりを始める一因となるのである。森雅裕関係のもう一つの悪癖は、誰彼かまわず森雅裕の作品を薦めて回ることで、三つ目は『歩くと星がこわれる』をプレゼントにすることだった。
 森雅裕の作品のどこにあんなに惹かれたのだろうか。鮎村尋深や森泉音彦に代表される主人公たちの造形と言ってしまえば簡単なのだが、具体的にはなかなか言葉にしづらい。高い専門性を供えつつ、周囲に迎合することなく、孤立も孤独も恐れずに自らの意思(意地のほうがいいかな)を貫き通そうとする姿、そのために最後の最後まで諦めずにあがく姿に、理想の自分を投影していたのかもれない。周囲に、状況に押し流されそうになって、自分自身を見失いかけていた私にとって、森雅裕の作品を読むことは、一種の精神安定剤のようなもので、これがあったから周囲の人間関係を保っていられたのだ。森雅裕の新刊が読めなくなったから、全てを投げ打ってチェコに来たと言うわけではないのだが、ある意味で我が人生を変えてくれた作家なのである。
 作風でいえば、音楽、美術、刀剣など専門知識の作品への生かし方は見事だった。クリムトの絵を最初に見たのもこの人の作品だったかもしれない。おかげでウィーンの分離派会館にベートーベン・フリーズを見に行くことになってしまった。
 かなりあからさまに実在の歌手をモデルにした小説も書いているが、よく許可が出たなあと思ってしまう。私の場合にはモデルになった人物の名前ぐらいしか知らないので、他の小説と同じようにしか読めず、イメージが壊れるも何もないのだが、熱狂的なファンとか事務所とかからクレームとかありそうである。
 これまでに二度、所有する本をすべて処分して、アパートを引き払って国外に出たことがあるけれども、森雅裕の本だけは、処分することができず、布教の結果森雅裕読者になっていた友人にあずけることにしたのである。今回チェコに来るに当たっても、当然事前に送りつけた書物の山の中に全冊いれてあったのだが、『平成兜割り』だけは、郵便事故なのか何なのか行方不明になってしまった。他のと同じように何冊か確保して送るべきだったと思っても後の祭りなのである。
 数年前に、大学時代の友人と久しぶりに連絡が取れて、ソニーのリーダーを買ってもらったりしたときに、友人が日本からゆうパック一箱分本を送ってくれたのだが、その中にファン達の活動で予約出版されたという『トスカのキス』と『雙』が入っていたときには、本当に嬉しかった。あれからかなり時間も経つころだし、そろそろどこかの出版社が、出版社が駄目でもどこかの誰かが、新作を出版してくれないものだろうか。そんな贅沢が無理なら、私家版で出されたという鮎村尋深シリーズ第四弾の『愛の妙薬もう少し』と、どこぞの大学の推理研の掲示版でテキストで流されたといううわさの『雪の炎』の発売でもいいので、実現してほしいものだ。そうすればまた友人に連絡を取る理由ができるのだけれど。

1月22日0時30分

 思い入れが強すぎて言葉がなかなか出てこなくて苦労した。苦労したわりには、森雅裕のことを知らない人にも読める文章にはなっていないような気がして残念。森作品の魅力は読んでみないとわからないし、今の時代に合っているかどうかもわからない。しかし私にとっては永遠の価値のあるものなのだ。なお文中敬称は省略した。お目にかかったこともないのに「森雅裕さん」と書くのも、なれなれしい気がして、できなかったのだ。1月23日追記。





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 こんな本が出版されているとは知らなかった。いや、どこかでこれについて記事を読んだことがあるような気もする。欲しくはあるけれども、小説ではないので友人の手を煩わす気にはなれなかったのかも。1月23日追記。

posted by olomoučan at 04:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 森雅裕
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