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2016年01月22日

クジム事件、あるいは不思議の国チェコ(一月十九日)


 このブルノから少し北にある小さな町クジムで起こった驚愕の怪事件の全貌は解明されていないし、解明されたとしても被害者の人権に対する配慮から全てが公開されることはないだろう。しかし、現在までにニュースなどの報道から私が理解した範囲だけでも、とんでもない事件なのである。

 発端は、よくある母親による子供の虐待に過ぎないように見えた。ニュースによれば、児童虐待の容疑で、母親が警察に逮捕され、十歳未満だった二人の息子と、なぜか一緒に住んでいた十代半ばの少女が、カンガルーと呼ばれる児童養護施設に保護されたということだった。
 警察がその家に踏み込んだ理由は、隣家で使っていた子供監視用の装置――幼児を子供部屋で寝かせている間に仕事をするために、カメラやマイクなどがついた小さな機械を子供部屋に置き、仕事部屋の小さなモニターで監視できるといううものらしい――に、なぜか子供たちが虐待されているさまが映り、それを見た家人が警察に通報し、警察で調べたところたまたま両家で同じ装置を使っており、たまたま電波が混線して子供たちが虐待される様子が隣家のモニターに映し出されたものだろうと判断したからだと言うことだった。しかし、そんなに都合よくたまたまが重なるものだろうか。件の装置が一軒家で使われることを想定していることを考えると隣の家まで電波が飛んでいくと言うのもなんだか変である。
 後から考えると、実際は後に出てくるこの母親がのめりこんでいた新興宗教的なセクトの内偵を進めていた警察が、児童虐待が行われていることを察知し、踏み込むための口実として隣家の人を利用したのではないかとも思わるのである。しかし、とにかくこの時点では、どこにでもいくらでも転がっている児童虐待事件がたまたまニュースに取り上げられたのだろうとしか思っていなかった。
 子供たちと少女が保護された当日の夜だったか、翌日の夜だったか、施設から少女が姿を消したというニュースが飛び込んできた。この時点では、十代の少女はアニチカ(アナの指小形)と呼ばれており、子供たちの祖母がどこからか引き取って一緒に住んでいたのだが、祖母が亡くなった後、子供たちの家に一緒に住むようになったのだと説明されていた。
 しかしである。その後、まず、このアニチカが実はアニチカではなくバルボラという名前で、十代の少女ではなく二十代半ばの女性であることが判明する。そして子供たちの母親の姉が、このバルボラの名前でブルノの大学に通っていたというニュースを聞いたときには、何かの冗談だろうと思った。身分証明書の携帯が義務付けられており、出生番号と訳せる日本でも始まったマイナンバーのような番号が使われているチェコで身分を偽るのはかなり難しい。他人の名前で国立の大学に入学できるだなんて、冗談でなければ、よほどの大物が黒幕として事件の裏側にいるに違いない。そもそも他人の名前で大学に通おうという発想がいかれているけれども。
 そして、母親とその姉がある新興宗教のセクトに関わっていることがわかったときには、創設者だというかなり有名なブルノの俳優(名前はプライバシーの保護のためか報道されなかったはずである)が、出てきて説明をするのではないかともいわれたが、この人物は結局最後まで表に出てこなかった。しかし、母親とその姉を含めたセクトぐるみで子供たちを虐待していたのではないかという疑いは強まっていった。
 アニチカ=バルボラが国外に逃走したのではないかという話はわりと早い段階から出ており、実際にデンマークでチェコ大使館に連絡を取って、すぐにまた行方をくらましたというニュースもあった。その後、逃走から半年ぐらいたったころだろうか、ノルウェーからとんでもないニュースが飛び込んできた。アニチカが小学校に通っていたというのだ。しかも男の子として通っていたというのだ。女は化けるとか何とか言うけれども、これはそんなレベルの話じゃない。
 子供の意に反してでも、問題のあるとみなした親からは子供を引き離して保護する過激なノルウェーの社会保障制度だが、意外と間抜けなのかもしれない。いや、ここでも裏側にいる黒幕の持つ力を意識するべきなのだろうか。
 チェコに戻ってきたアニチカ=バルボラは、最初の事件のときに公表された写真ではやせたはかなげな少女だったのに、ふっくらとした女性になっていた。これで小学生の男として学校に通うのは無理があると思ったのだが、着替えが必要な体育の授業などは病気と称して見学することでごまかしたのだという。うーん。
 とまれ、彼女の証言で、児童虐待の実態が明るみに出、予想通りセクトぐるみの虐待であることが明らかになった。最初は単なる被害者だとみなされていたアニチカ=バルボラも、強制されてのことかもしれないが、虐待に加わっていたらしい。その虐待の実態は、口にするのもおぞましいものがあり(具体的に書きたくない)、普通なら母親が自ら生んだ子供たちにできるようなことではなかった。
 セクトのメンバーで虐待の容疑で逮捕され裁判を受けた人たちはそれほど数が多かったわけではないが、母親姉妹以外は、みな見た目も立派でそれなりの地位についている男性だった。裁判では一様に容疑を否定していたため、セクトの実態も大して明らかにならないままに終わってしまった。

 恐らく今後新たな事実が出てきたとしても、子供たちの人権を考えて、ニュースなどで報道されることはないだろう。人権に対する配慮と言えば、この事件の主役の一人のアニチカ=バルボラも、名前の最初の文字が、それぞれA、Bで始まることを考えると、最初から仮名での報道だったのかもしれない。そうだとすると、チェコの警察とメディアの仕事には侮れないものがあるということになる。

1月20日0時30分




 記事には関係ないけど、この本には、オロモウツがちょっとだけ登場する。1月21日追記。


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タグ:犯罪
posted by olomoučan at 05:10| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



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