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2016年01月15日

ビール(一月十一日)


 チェコと言えばビールである。これに異論のある人はいないだろう。モラビアではビールよりもワインだと言う人がいるかもしれないが、モラビアでもビールが一番たくさん飲まれているのだから。もっとも、チェコといえばガラスだとか、チェコフィルだとかいう人もいるだろうし、その気持ちはわかるが、これはカテゴリーが違うことにしておこう。
 では、ビールと言えばチェコである、と言ったらどうだろうか。これだとあちこちから異論が出そうな気もするが、チェコ人は世界で一番ビールを飲む国民なので、これで正しいのである。実際どのようにして出された統計かはわからないのだが、新生児も含めたチェコ人が、一人当たり一年間に消費するビールの量は、150リットル前後で、以前に比べると減少傾向にあるものの、世界でダントツに多い数字だという。
 ちなみにチェコのビール業界では、ビールの生産量など液体の量を示すのに、ヘクトリットルという単位が使われている。ヘクタールからの類推で、100リットルを指すというのはすぐに想定できるのだが、ビール工場の見学などで通訳をしていると、日本では大きな数字を四桁ごとに分けていくのに対して、こちらでは三桁ごとに基準となる数の単位が変わるとのと、ヘクトリットルをキロリットルに直さなければならないのとが相まってものすごく大変である。一度など、案内の人が同情してキロリットルに直そうとしてくれたのだが、慣れていないものだから変な数字が出て来て、こちらもさらに混乱してしまって、収拾がつかなくなったことがある。

 現在のチェコのビール市場を、簡単に、ちょっとカッコつけてまとめると、多様化と寡占化が進んでいると言える。共産主義時代には、ちょっとした大きな町には存在したと言われる地元のビール工場だが、民主化と自由経済の荒波を受けて、乗り切れずに倒産、あるいは他に吸収されたところと、波に乗って拡大路線を進んだところとに大別される。大半は前者の道を歩んだので、チェコ国内のビール醸造所の数は減少の一途をたどっていたらしい。それが2000年ぐらいから、いわゆる地ビール、普通の地ビール以上に地産地消である醸造所付きビアホールが増えはじめ、多少値段は高いが、各地でそこでしか飲めない個性的なビールが飲めるようになっている。これが多様化である。
 一方、寡占化というのは、大手のビール会社の合弁、買収が進み、チェコのビール市場でシェアと呼べるほどのものを持っている会社は数えるほどにすぎないからである。その中でも最も大きいのが、ピルスナー・ウルクエル社である。正確な数字は覚えていないが、市場の50パーセントぐらいを握っていたはずである。
 この会社は、本拠地である西ボヘミアのプルゼニュでは、世界中で生産されているピルスナータイプのビールの始祖とも言うべきピルスナー・ウルクエルと、最近までチェコのサッカーリーグのメインスポンサーとなっていたガンブリヌスを生産している。ちなみにピルスナー・ウルクエルは、嘘かほんとか、腎臓結石を溶かすといわれているので、以前結石で救急車を呼ばれたり入院したりしたときには、その話をするたびに、ピルスナーを飲めと言われたものである。もう一つのガンブリヌスの名前の由来は、ベルギーだかオランダだかのあたりでビール王と呼ばれた王様の名前から取られているらしい。
 また、ピルスナーウルクエル社は、ボヘミア地方のジョッキを手にしたヤギのシンボルマークもりりしいベルコポポビツキー・コゼル社と、シレジア地方のヒュンダイの工場ができたことで有名になったノショビツェのラデガスト社を傘下におさめている。コゼルはチェコの中では比較的黒ビールにも力を入れている会社で、ラデガストは、普通のビールだけでなく、ビレルというノンアルコールビールの評価も高い。私自身は以前チェコでノンアルコールビールを飲んで、普通のビールが飲みたくてたまらなくなるという経験をしたことがあるので、ビレルも含めてノンアルコールビールは飲まないことにしているのだが。
 とまれ、ピルスナー・ウルクエル社は、ビルスナー・ウルクエル、ガンブリヌス、コゼル、ラデガストという四つの銘柄を擁して、チェコのビール市場のほぼ半分を支配しているわけだが、残念ながら、すでに外資に買収されてしまっている。今はベルギーのインベブとの合併のニュースも流れたSABミラービールの子会社だったはずだ。
 そして、チェコビール好きにとっては、非常に悲しいことに、ピルスナー・ウルクエルのライセンス生産が行われるようになってしまった。SABミラービールには、プレミアビールといえるような高級ブランドビールが他にないため、ピルスナー・ウルクエルに白羽の矢が立ってしまったのである。その結果、輸出の拡大が求められ、プルゼニュではそれほど増産できないのか、同じく傘下におさめられたスロバキア、ポーランド、ロシアなどのビール会社で、現地の市場向けのライセンス生産が始まってしまった。水の硬度など、プルゼニュとできるだけ近いところを選んだ、とは言うものの、まったく同じものが作れるわけではないだろう。そんな細かい味なんて素人にわかりはしないだろうけど、スロバキア産とか、ロシア産とか書かれているだけで、あまり美味しくないような気がしてしまう。
 ピルスナー・ウルクエルは、以前はキリンビールが日本に輸入して販売していたはずだが、今でも買えるのだろうか。もし、日本で買えるものがポーランド産とかになっていたら嫌だなあ、日本でライセンス生産が始まっていたりしたら、もっと嫌だなあと考えてしまうのである。西ヨーロッパなどの戦略的に重要な市場には、ブランドイメージの低下を避けるためか、プルゼニュで生産されたピルスナー・ウルクエルが輸出されているようだから、日本市場も同じ扱いだと信じたい。チェコにいればいつでも本物が飲めるから、どうでもいいと言えば、どうでもいいのだけど。
1月12日23時









posted by olomoučan at 05:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Pivo
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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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