2018年10月08日
寒い?回目(十月四日)
寒い暑いは、子供のいうこと。それでも、やっぱり寒いと言いたい。すでに何度も寒さについては愚痴をこぼしているわけだけど、今年の愚痴はちょっとばかり違う。気温自体はそれほど低くないのだ。最低気温が5度以下で、最高気温が10度ちょっとというのは、九州の人間にとっては完全に冬の気温だが、チェコの十月初めだと考えればそれほど低いものではない。
問題は、気温の上下動の激しさで、つい最近まで30度近くまで気温が上がっていたのが、突然15度以上も落ちてしまったのだから、体が反応しきれないのも当然である。この気温の変化の激しさについても、すでに何度か愚痴ったかな。
今年は、それに加えて夏が暑かった。暑かっただけではなく長かった。八月が終わり九月に入ってもなかなか気温が下がらず、チェコらしからぬゆっくりとした気温の下がり方だったのに安心してしまったのがよくなかった。日本を離れて十何年にもなろうというのに、何となく日本の夏と秋の狭間にいるような錯覚をしていたのだろう。寒くなるという情報は得ていて、頭ではわかっていたのに、体が付いてこなかったというか、ついつい、ちょっとだけしか厚着をしなかったというか……。
とまれ、うちのが風邪を引いたのに続いて、こちらも引いてしまった。前回の八月の終わりの場合はこっちが先だったから順番が逆になった形である。二人して風邪を引いた原因の一つは、住んでいる建物のボイラーは給湯はできているから故障はしていないのだろうけれども、お湯が暖房に回ってこず、室内の気温も低下したことだった。気温が下がってすぐは、夏の暑さを建物が取り込んでいたのか、それほど気にならなかったのだが、二三日すると、堪えられなくなり、電熱線を使った暖房器具を引っ張り出して、スイッチを入れてしまった。
ここでふと、この前の地震で完全に停電したという北海道のことを思い出した。大規模な停電が起こって電気が使えなくなった場合、暖房も使えなくなると書かれていたが、チェコで完全に停電して電気が使えなくなった場合、今回程度の気温なら、最低でも0度まではいかなかったから寒さで亡くなるってことはないだろう。しかし、こちらの家庭の多くは、ガスコンロは持っておらず、お湯を沸かすのにも電気を使うしかないから、ものすごく不便な生活を強いられることは間違いない。
そして、これが真冬だったらと考えると、うちの建物に入っているボイラーは安全のためにあれこれセンサー何かの機器がついているはずだから、電気が通じていなければ自動的に停止するはずである。発電所兼熱湯生産施設からパイプラインで給湯されているところも多いはずだけれども、所謂ブラックアウトが起こった場合に、給湯し続けられるのだろうか。室内は屋外ほど気温は下がらないとはいえ、外が氷点下の日が続けば、いずれは室内も同じような温度になってしまう。そうなると寒さに弱い九州の人間に堪えられるとは思えない。
一度建物が冷えてしまったら、暖房が復旧してもしばらくは寒さに悩まされることになる。以前、今とは別なところ、古めの石造りの建物に住んでいたときに、しばらく部屋を空けるというので、暖房をできるだけ弱めて出たことがある。久しぶりに戻ってきて外と変わらない部屋の寒さにはそれほど驚かなかったが、暖房を強めても全く暖かくならないのには閉口した。いや、その日だけでなく、それからしばらくは部屋の中で凍えることになったし、昼間は仕事に出ていたからまだましだったけど、二度と体験したくないと思うぐらいには辛かった。
こちらの暖房は、ストーブのように火を焚いて直接空気を暖めるのではなく、部屋の中のラジエーターに熱湯を通すことで空気を暖める方式だからか、部屋自体が冷え切っているとなかなか室温が上がらないようのである。暖房用の強弱の調整はしないほうがいいのである。暖房が効きすぎて暑くかんじるようなときには、換気をかねて窓を開ければ室内の温度を下げることができる。室内では思い切り薄着をするなんて手もあるんだけどね。
だから、北海道の人たちの今回のような大停電が真冬に起こったらという不安はよくわかる。そして、何万年に一度来るか来ないかの大地震のリスクと、100パーセントやってくる冬のリスクを比較して、原子力発電所の再稼動を求めているのもものすごく理解できる。理解できないのは、政府も、一部を除けばマスコミもその声を無視しているように見えるところで、原子力発電所の再稼動を推し進めてきた政府としてはここが推しどころだろうになどと考えてしまう。
長くなったので一旦切る。こんな話になるはずじゃなかったのに。
2018年10月6日23時。
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