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posted by fanblog

2018年01月25日

二格の使い方5(正月廿二日)



 予定の倍を越えてしまった二格の使い方だけれども、今日でお仕舞いである。前回も書いたけれども、二格をとる動詞がいくつかあるのである。そのうちの重要な、いやぱっとその場で思い出せるものを紹介する。日本語の「の」には全く対応しないので慣れるまでは大変である。

 日本語だと、形容詞で表現するけれども、チェコ語では動詞を使うというものがいくつかあるが、そのうち
のひとつが「怖い」である。三人称では、動詞の「怖がる」を使うこともあるけれども、チェコ語では、「bát se」である。その一人称単数は「bojím se」で、過去のL分詞は「bál se」となる。この動詞が、なぜか怖がる対象を示すのに二格をとるのである。
  Bojím se psa. (犬が怖い)
  Bojí se psa.(あの人は犬を怖がっている)

 二つ目は、「聞く」である。「音楽を聞く」の「聞く」ではなく、「質問する」という意味の「zeptat se」が、質問する相手を二格で表現する。男性名詞場合は、聞く相手は必ず活動体になるので、二格と四格は同じになるが、日本語で「誰々に質問する」と助詞「に」を使うところから、三格を使ってしまいがちなので注意しなければならない。
  Zeptal jsem se učitele/učitelky, odkud je.
  先生にどこの出身か聞いた。

 三つ目は「参加する」という意味の「zúčastnit se」である。これも日本語だと助詞「に」を取るので三格だと思いがちだけれども、二格をとるのである。念のために例文を上げておこうか。
  Nemohl jsem se zúčastnit olomouckého maratonu.
  オロモウツのマラソンに参加できなかった。(理由は省略)

 以上三つとも「se」を取るのだが、二格が必要な動詞に共通の特徴であるというには例が少なすぎる。ただチェコ語を勉強するうえで大切なのは、動詞が何格をとるかを全部覚えるのではなく、日本語の感覚とずれがある部分をしっかり覚えることである。
 日本語では「誰々を助ける」という「助ける/手伝う」に当たる動詞「pomoct」は、チェコ語では四格ではなく、三格を取るなんてのは、覚えなければどうしようもない。反対に「誰々にあげる」という場合の「dát」は、チェコ語でも三格なので頑張って覚えなくても自然に使えるようになる。だから、日本語の感覚で、一格=が、二格=の(ただし後ろから)、三格=に、四格=を、五格=よ、六格=×、七格=で、と考えて使えばそれほど間違いは多くならないはずである。間違いだと言われたらそれを重点的に覚えていけばいい。


 話は変わるけれども、ふどばさんのコメントの「ドイツ語やっていると格を数字で表すのが便利ですが後々日本語でない教材を使うことを考えると 7や造でなく最初からInstrumental、NGDAVLIで覚えればよかったと後悔しています」というのは、どうなんだろう。こっちに来てから頑張って覚えたけどあんまり役に立った記憶はない。
 日本語の教科書で、ある程度格変化や、前置詞や動詞の取る格を覚えておけば、最初に見たときには「ダティフって何だっけ」と思うかもしれないけれども、周辺の変化の形や前置詞を見ていけば、「何だ三格なのか」と理解できるはずだし、「ダティフ」だのなんだのは、普通のチェコ人、言語学を専攻しているわけでもないチェコ人に質問をするときに使えないのである。チェコの人は、チェコ語で「ブルブニー・パート」なんて言うか、「co」「kdo」の変化形を使うことが多いので、上の「zeptat se」だと、「zeptat se koho」と口の中で言ったあとしばらく、二格だっけ四格だっけと悩んだりすることもある。

 日本人でも、日本語について質問されたときに、中学高校で勉強した国語文法の終止形だの五段動詞だのは覚えていて何とか使えても、外国人向けの日本語の教科書で使われている日本語の文法用語なんか知らないなんてことは多いはずである。それと同じで、チェコ人が高校までのチェコ語の勉強で使うのはラテン語起源の格の名前ではなく、「co」「kdo」の格変化、もしくは順番を表す数詞を使った表現なのだろう。
 以前も、確かサマースクールのことを書いたときに、触れたと思うけれども、日本の教科書だとあんまり重視されていない感のある「co」「kdo」の格変化は絶対に覚えておいた方がいい。そして、チェコ人に「zeptat se koho na co」でいいんだっけ? なんて質問できると素晴らしい。「co」「kdo」の代わりに、「ně」を付けて「něco」「někdo」にしてもいいと思うけど。

 とりあえず念のために格変化を示しておく。

1格 co   kdo
2格 čeho  koho
3格 čemu  komu
4格 co    koho
5格 co   kdo
6格 čem  kom
7格 čím  kým

 「co」は不活動体で一格と四格が同じ、「kdo」は活動体で二格と四格が同じなのである。五格は入れたけど使う機会はあるのかな。大声で「ツォ」なんて叫ぶのが呼格ってことになるのかね。


 ふどばさんが「7格は便利なものでジョーカー扱いにしている」という七格については、また機会を改めることにする。二格が予想外に長引いて、ちょっと疲れてしまった。二格を取る前置詞で、「podle(によって/よれば/したがって)」「místo(の代わりに)」なんかを取り上げるのを忘れたのもそのせいである。
2018年1月23日10時。







この記事へのコメント
はじめまして。ブルノに住み始めてもうすぐで1年になります。
文法の説明、ありがたく読ませていただいています。

最近丁度、日本語だと「〜に」と表現するのに、チェコ語だと「〜の」と言わなければいけない動詞があることに戸惑っていました。
こればっかりは使って慣れていくしかないな…、と思っていました。
こちらで日本語の解説を読ませてもらえて頭が少し整理されました。

例文付きでとてもわかりやすいです!ありがとうございます。
Posted by moeko at 2018年02月02日 17:36
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