2017年06月15日
お酒の話(六月十二日)
チェコのお酒というと、真っ先に思い浮かぶのは、ビールである。ただ、ビールなんか水と同じで、酒じゃねえという友人もいるし、ビールについてはすでにあれこれ書き散らしたので、今日の記事ではビール以外のチェコで作られているお酒について、あれこれ書くことにする。
ビールを除くとなると、ワインから話を始めるべきなのだろうが、ワインの味に関しては、プラハ人並みなのである。つまりよくわからんのである。ビールも、味についてあれこれ薀蓄たれられるような舌は持っていないが、ワインはさらにひどく、自分に「飲める/飲めない」、「美味しい/まずい」、もしくは、「また飲みたい/もう飲みたくない」の裏か表か式の評価しかできない。
ワイン通の知人の話では、日本でもミクロフのワインが人気だという。でも、ミクロフのワインについていえるのは、飲んだことがあるかもしれないということぐらいである、ミクロフの街についてならいえることは増えるけれども、ワインの話にはならない。
プラハの北にあるリトムニェジツェのワインを褒めている人もいるらしい。飲んだことはないし、評判も聞いたことはないけれども、飲みたいとは思えない。それは、確かここのワインはロプコビツが関係しているはずだからである。ビールでもワインでも、ロプコビツには、できるだけ手を出したくない。ワインについてだと、所詮こんなことしか書けないのである。
上にプラハ人並みだと書いた理由は紹介しておく必要があるか。これも、ワインの本質とは直接関係はないのだけど、南モラビアのワイン生産地域では、プラハ人は、ワインやワインの味について、うるさいぐらい薀蓄をたれるくせに、味も含めてワインのことは全くわかっていないと馬鹿にされることが多いのである。
昔聞いた冗談を、うろ覚えで紹介しておくと、
ある男が、南モラビアのワインを生産しているワイン蔵に試飲つきの見学に行ったときのこと。蔵の主人に出迎えてもらってあれこれ話しながら蔵の中に入ると、入り口近くの目立つところに新しく立派な樽がおいてあり、試飲の準備も整っているように見えた。そこで飲めるのかなと思っていたら、あんたはこっちだと、奥の薄暗いほうに連れて行かれた。
古びたワインの樽から、ワインに関する話を聞きながら次々に試飲させてもらって、十分に満足したのだけど、どうしても入り口近くの樽が気になる。それで思い切って、あれも試飲させてくれないかとお願いしてみた。
「あれはあんたのような人には飲ませられねえ」と主人。何故だと重ねて問うと、ぼそっと「あれはプラハに奴ら向けだ」と。
こんな南モラビアの田舎にまでプラハ優遇の気風がはびこっているのかの嘆いて、思わず主人に、見損なったなどと批判の言葉を投げてしまう。
「違うよ。あの樽に入ってんのは、ちょっと出来に問題のあるクズワインさ。あんたみたいなワインの味のわかる奴に飲ませるのは、俺の恥ってもんだ」と言う主人に対して、怪訝な顔をすると、
「クズワインったあ言っても飲めねえわけじゃねえからな。味もわかんねえのに、薀蓄たれてるプラハの連中にゃああれで十分なんだよ。こっちが何も言わなくても、勝手に納得してあれこれほめてくれるしな」とかなんとか。
この話に出てくるプラハ人並みにワインの味のわからない人間としては、笑っていいのかどうか微妙である。
そういえば、ビールに関する冗談もあったなあ。
あれはまだ共産主義の時代、チェコスロバキアの技術支援を受けてビール醸造のレベルの向上を図っていたソ連のビール会社で、自信作が出来たので、チェコのビール研究所に、分析と評価のためにビールを送った。
予定よりも長い時間がかかって帰ってきた評価には、「ご安心ください。御社の馬の健康状態には何の問題もありません」と書かれていたのだとか。
ソ連のビールなんて馬の小便と同じだと言うことなのだろう。それを直接口にするわけにはいかないから、こんな冗談が出来上がったというところか。ピルスナーウルクエルを買収したアサヒビールを筆頭に、日本のビールがこんな評価を受けていなければいいのだけど。
とまれ、予定に反して、ワインとビールの話でここまで来たので、以下次回ということにする。
6月13日23時。
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