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2017年06月16日

お酒の話2(六月十三日)



 チェコでビール、ワインに次ぐ三番目のお酒というと、何だろうか。ゼマン大統領の大好物だと言うベヘロフカ、モラビアの田舎の家庭で自家用に作られている蒸留酒なんかが頭に浮かぶ。ここは大統領に敬意を表してベヘロフカの話からはじめることにしよう。



 ベヘロフカは、名前からわかるようにべヘル社が造るお酒である。念のために、わからない人向けに説明をしておくと、チェコ語では人名や会社名などの固有名詞の後ろに接尾語の「オフカ」を付けて、その人、会社が作ったもの、関係するものを表す新しい名詞が作られることがあるのである。例えば、シュコダの自動車のことを「シュコドフカ」、タトラは「タトロフカ」というから、定着はしていなけれども日系自動車会社の「ホンドフカ」や「トヨトフカ」だって、ありえないわけではないのだ。特に「ホンドフカ」は、濁点をつければ、「ボンドフカ」になって、ジェームス・ボンドの映画を指す言葉になるから、使われやすそうだし。
 他にも、プラハのカレル大学のことを、「カルロフカ」ということがあるし、カルロビ・バリとの温泉つながりで言うと、ルハチョビツェのオットーさんが関係する温泉水は「オトフカ」と呼ばれる。固有名詞ではないけれども、鉄板を表す「プレフ」から、鉄板で作られた缶を意味する「プレホフカ」という言葉が作られるから、チェコ語で頻用される派生語の作り方の一つなのである。

 創業者のベヘル氏が、西ボヘミアのカルロビ・バリで、イギリス人から薬草を使ったリキュールのレシピを譲り受けて、お酒の生産と販売を始めたのが今のベヘロフカの前身らしい。ベヘル氏の名前を冠した工場は今でもカルロビ・バリにある。そのレシピは社外秘で、生産開始以来、全く同じレシピに基づいて同じ方法で生産されているという。ただしヤン・ベヘル社は、他のチェコの会社と同様外資に買収され、現在ではフランスの酒造メーカーの子会社になっている。

 全部で30種類以上の薬草や香辛料が使われていて癖のある味だが、知人は養命酒みたいな味だと形容していた。養命酒は飲んだことがないので、その言葉が正しいのかどうか評価できないけれども、ベヘロフカだけをたくさん飲むには甘みが強すぎる。日本にいたころは、輸入元に出かけていって、購入していたが、大風邪をひいたときにそのまま一口飲むとか、紅茶に入れて飲むとかしていた。濃く淹れた紅茶にベヘロフカとハチミツを入れて飲むと、仕事にならない状態から一時間ぐらいは仕事に復帰できたんじゃなかったかな。
 チェコでは、甘いものを口にできない糖尿病の患者向けに、砂糖を使わないベヘロフカが販売されているのも見かけるが、そこまでしてベヘロフカを飲みたいのかと思ってしまう。あのベヘロフカの味から甘さを抜いたら、今度は苦くてしびれるような味が残るような気がしてあんまり飲みたいとは思えない。チェコでは、何かの調子が悪いときに(具体的な例は思い出せないので省略)、ベヘロフカを飲めと言われることがある。民間療法における薬のようなものだから、糖尿病の人でも飲まなければいけない状況が出てくるのだろうか。

 以前、本来カルロビ・バリのヤン・ベヘル社でしか造れないはずのベヘロフカを造っている会社が他にもあって、商標とレシピの使用権をめぐって裁判になっているという記事を読んだことがある。共産主義の時代の国営化でカルロビ・バリ以外の酒造工場でも生産されるようになったことでレシピが流出し、そのレシピをもとに現在でも造っている会社があるのではないかと推測したのだが、そうではなく、ヤン・ベヘル氏からレシピを教えてもらって、生産する権利も譲られたのだという話だった。
 もちろん、カルロビ・バリのベヘル社の側は反論していたのだが、その裁判の結果がどうなったのかまでは知ることができなかった。たまたま目に入ってきた記事だったし、熱心に追いかけて記事を探すほどベヘロフカが好きだったわけでもない。かすかに覚えているのは、チェコ国内でベヘロフカを「不法に」生産していた会社は、裁判の結果生産できなくなったけれども、スロバキアにある会社との間の裁判がややこしいことになって長引いているとか書かれていたことぐらいである。
 ベヘロフカが入っている瓶も特徴的だから、ベヘロフカの名前で、同じような瓶を製造して販売するのは大変じゃないかと思うのだけど、ずっと以前と比べるとベヘロフカの瓶がごつくなっているのは、「偽物」との区別をはっきりさせるためだったのかもしれない。

 ベヘロフカで一本になってしまった。ちなみに社名の由来となっているヤン・ベヘルは、初代ではなくて二代目の名前らしい。レシピを手に入れた父親の後を受けて、会社を設立したのが二代目だったのだろうか。
6月14日8時。


 昔の話だけど、日本にベヘロフカを大量に持ち帰ろうとして成田空港の税関で引っかかって、お酒ではなくて水だとかなんだとか言って切り抜けようとした人がいるという話を聞いたことがある。もちろん没収されちゃったわけだけどさ。6月15日追記。



ベヘロフカ 38度700ml 正規品




posted by olomoučan at 06:48| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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