2017年06月14日
ノルウェー対チェコ(六月十一日)
六月十日には、サッカーのロシアワールドカップの予選も行なわれ、チェコ代表はノルウェーでの試合に臨んだ。グループ三位に沈むチェコが、出場の現実的な可能性を残すためには勝つことが求められていた。直前の親善試合で、負けたとはいえ格上のベルギー相手に、それなりにいい試合をしたので、最近いいところのないノルウェー相手ならと期待したのだけど……。
一言で言うと、ひでえ試合だった。キーパーのバツリークの活躍で何とか負けはしなかったけれども、北アイルランドがアゼルバイジャンで劇的な勝利を収めたことを考えると、負けに等しい引き分けだった。ワールドカップの出場の可能性がなくなったほうが、中途半端に結果を求めず、若手に経験を積ませることに集中できると考えたら、負けてもよかったのかもしれないけど。
駄目かなという不安は先発メンバーを見たときに感じた。ベルギー戦の先発から二枚代えてきた。センターバックにカラスの代わりにベテランのシボク、トップ下にシクの代わりにドチカルが出場したのだけど、正直よりにもよってそこかよというのが感想だった。
ベテランでのわりには重大なミスをしでかすことの多いシボクと、中国移籍当初は試合に出ていたものの勝てない試合が続き、外国人枠の関係もあって完全にポジションを失って試合に出ていないドチカルの経験に期待するよりは、カラスやシクなんかの若さに期待したほうがいいと思うのだけど。去年のヨーロッパ選手権も、経験重視のベテラン重視の果てに惨敗に終わってしまったわけだし。
それでも、前半はまだましだった。予想外にノルウェーに攻め込まれる時間帯が長かったけれども、得点は許さなかったし。いや、ノルウェーのフォワードの選手が決定力に欠けていたおかげで失点しなかっただけだと言ったほうがいい。ベルギーとの試合以上に不安定で、相手にスペースを与える守備だった。
チェコがいい感じで攻め込んでも、シュートが相手のディフェンスに当ったり、トラップミスでシュートにいけなかったりというシーンが続いて、ストレスがたまった。ノルウェーを応援している人たちも、カウンターいけると思ったら……という場面が多くて同じような気持ちだったのだろうけど。両チームとも特に攻めているときに、肝心なところでミス連発という試合だった。その意味ではハンドボールのチェコ対トルコの試合に似ていた。
先制したのはチェコだった。相手陣内でのフリーキックから素早く右サイドにボールを出して、カデジャーベクがディフェンスに詰められる前に、ゴール前に送ったボールに、クルメンチークが相手のディフェンスと絡んでつぶれた後で、逆サイドから走りこんできたゲブレセラシエが、倒れこみながら見事にシュートを決めた。それまでは、本職とは逆サイドで、ボールの受け方なんかが、ちょっとやりにくそうに見えたけれども、さすがベテランである。
この得点の前だったか、後だったかに、ズムルハルが相手選手との接触で足を怪我して、一度は復帰したものの、すぐにヤンクトに交代した。そのヤンクトも、結構激しいタックルを受けて、一瞬また交代かとひやりとした。それだけノルウェーのディフェンスが激しかったということなのだろう。審判が、接触プレーをかなり流していたのも原因だろうけど。目の前で、倒れて起き上がれない選手がいても笛を吹かなかったし。
前半はそのままチェコのリードで終了したので、このまま試合が終わればよかったんだけどねえ。後半開始と同時にほとんどチャンスを演出できていなかったドチカルを代えてくるのではないかという期待もあったのだけど、交代はなし。
後半開始から10分ぐらいが、この試合でチェコが一番よかった時間帯だった。クルメンチークがディフェンスの裏に抜け出して、ゴールに向かったシーンは、前に出てくるキーパー、横から寄せてくるディフェンスの選手が気になったのか、反対側からゴール前に走りこんでいたダリダへのパスが、相手キーパーへのパスになってしまったけど、いずれ点が取れそうな感じがした。
さらに惜しかったのが、ソウチェクのシュートで、コーナーキックから、クルメンチークのトラップミスがたまたまソウチェクの方にこぼれて、ペナルティエリアの境目ぐらいから強烈なシュートがノルウェーゴールに向かい、キーパーも反応できていなかったのだけど、無常にもバーを叩いてしまった。ソウチェクは他にも惜しいヘディングシュートを打っていたし、けっこう掘り出し物かもしれない。
しかし、その直後にブラベツが自陣での競り合いにあっさり負けて、ボールを奪われ、シボクが相手のフォワードと一対一になって、ずるずるペナルティエリア内まで下がった挙句に、躱されかけて後ろ足で相手の足を引っかけてしまってPK。下がる前にファウルで止めろよ。仮に退場になったとしても、ノルウェーの選手の決定力のなさを考えれば、1点差を守り切れる可能性は高かったのだから。
PKをあっさり決められて同点に追いつかれた後のチェコ代表は、ほとんどいいところがなかった。守備陣がボロボロの分、バツリークの活躍が光ったぐらいである。シボクが最終ラインでボールを回しているときに、相手選手に見事なパスを通して、バツリークが1対2の状況でシュートを止めたシーンは、バツリークがすごかったのか、ノルウェーの選手のミスだったのか。バツリークの活躍がなければチェコが負けていたのは間違いない。
チェコがノルウェーのゴール前に攻め込むこともなくはなかったけれども、大抵はシュートに行く前に、パスミスをするか、ディフェンスにつぶされるかだった。ヤンクトのチャンスはあったけど、ボールが枠に飛ばなかったからなあ。期待のドチカルも、チャンスをほとんど演出できなかったし、負けなくてよかったというしかない。
この引き分けでロシアワールドカップ出場は、理論上は可能だけどというレベルになったので、残りの試合は、ヨーロッパ選手権が終わったら解散するU21代表から、選手を大量に引き上げて経験を積ませる場にしてほしいところだ。チェコ代表は、ワールドカップの予選とは相性が悪いんだから、最初から、次のヨーロッパ選手権を見据えたチーム作りをしていてもよかったと思うんだけどね。
6月13日15時。
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