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2017年06月13日

チェコ対トルコ(六月十日)



 北ボヘミアのモストで、ハンドボール女子世界選手権出場をかけたプレーオフの第一戦が行われた。相手はハンドボールがそれほど盛んとはいえないとはいえ、ホームでは侮れないトルコなので、チェコでのこの試合では単に勝つだけではなく、出来るだけ大きな点差をつけて勝つことが求められていた。トルコもバルカンの国と言えば言えるから、トルコでの第二戦で審判の問題があってもひっくり返せないぐらいの点差はつけておきたいところである。
 問題は、チームの大黒柱とも言うべき、ベテランのルズモバーが怪我で出場できないことである。国内でプレーする若手も成長しているとはいえ、攻撃が行き詰ったときに個人で何とかしてくれるルズモバー不在という状況の下、この大事な試合で実力を発揮できるかどうかは、ふたを開けてみないとわからない。

 試合開始直後は、ミハエラ・フルプコバーの活躍で、一気に5対1と4点差をつけた。この時点で、今日は安心してみていられると思ったのだけど、全く甘い見通しだった。6点目、7点目がなかなか取れず、同点に追いつかれ、逆転されてしまった。
 フルプコバーは、以前はハンガリーのほうでプレーしていたのだが、いつの間にかドイツに移籍して、今シーズンは、最優秀選手に選ばれている。それほど背が高いわけではなく、ディフェンスでは一番外側で相手のサイドプレーヤーと対峙しているのだが、攻撃になるとセンターの一角に入る。ルズモバーがいないこの試合では、攻撃の中心的な役割を果たすべき選手である。そのフルプコバーがチェコの7点のうち6点とったのは悪くなかったが、そのうち半分がペナルティスローからの得点だったのは、あまり歓迎できることではなかった。 
 さらにキーパーのサトラポバーは、全く当たっておらず、トルコのシュートをほとんど止めることができていなかった。攻撃でもポストの選手はいたけれども、ポストプレーは皆無に等しかった。両サイドのクネドリーコバー、サルチャーコバーのシュートがなかなか決まらなかったのも、大きな問題だった。無駄なミスも多かったし、相手に退場が出たときのプレーもよくなかった。

 前半の半ばに逆転されて、最大で3点差つけられると、あとは前半終了まで追いかける展開が続いた。前半終了直前に何とか同点に追いついた。前半の途中から出場したミルネロバーが当たっていたのが大きい。ただ、試合前にはまったく予想もしなかった大苦戦にいらいらしながら見ているしかなかった。
 後半も、前半と同じような展開で始まった。チェコが一気に4点差をつけたのだ。その後同点に追いつかれるところまで同じ。ただ逆転はされずに踏ん張った。そして、最後の十分で何とか点差をつけて、最終的には4点差で勝利した。5点差にするチャンスはあったもののことごとくつぶして、この日は、4点差以上には開かないことが決められていたかのようだった。勝利の功労者は、前半の途中から出場して、決定的なシュートを何本も止めたキーパーのミルネロバーだろう。

 チェコ代表が、ここまで苦戦した原因は、トルコの頑張りもあったけれども、やはりシュートを外しすぎたことにある。ディフェンスもトルコのポストプレーに対応できていなかったし、パスのミスも多かった。負けなかったから自滅というのは言いすぎであるにしても、その一歩手前にあったことは否定できない。最後の最後に帳尻を合わせることは出来たけれども、こんなできの悪いチェコ代表は久しぶりに見た気がする。
 トルコでの試合は、男子の代表も負けたことがあるので、簡単にはいかないだろうけれども、チェコ代表が今日の試合ほど出来が悪いというのは想定できないので、負けることはないと信じたい。でもトルコって半分バルカンで、半分中東なんだよなあ。トルコの女子代表は、まだ世界選手権にも、ヨーロッパ選手権にも出場したことがないらしいから、今回も、中東の笛もバルカンの笛も発動しないことを願っておこう。
6月11日22時。





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