2021年04月23日
世界選手権予選プレイオフ(四月廿日)
去年の十二月のヨーロッパ選手権では、スウェーデン、ロシア、スペインというハンドボール大国相手に善戦はしたものの、一勝もできずにチェコに帰ってきたハンドボールの女子代表だが、今年の十二月にスペインで行われる世界選手権の予選のプレイオフで、スイスと対戦した。スイスはこれまでヨーロッパ選手権にも、世界選手権にも出場したことのない国なので、チェコがあきらかな勝ち抜け候補と見られていた。
このプレイオフ、第一戦はチェコのズブジーで行われたのだが、事前の準備段階からニュースになっていた。一月の世界選手権に出場できなかった男子チームの失敗を教訓に、本来の代表チームとは別に、もう一チーム分選手を集めて予備代表チームを召集したのである。もちろん練習は別の場所で行われ、本代表が試合会場でもあるズブジーで事前合宿をしていたのに対して、予備代表は山をひとつ越えた温泉街のルハチョビツェを拠点に、本代表と同じコンセプトで練習をしていたらしい。
幸いなことに、チェコチームの選手、関係者からは、定期的な検査で陽性者が出ることなく、土曜日の試合を向かえたのだが、チェコ代表大苦戦だった。試合開始直後から若手の有望選手をそろえたスイス代表にリードを許し、試合終了間際まで追いかける展開が続いた。同点までは行くのだけど、逆転のシュートが決まらず、見ているほうをやきもきさせてくれた。経験不足のスイスチームがチェコ代表のミスに付き合ってくれることも多く、点差が最大でも前半は3点、後半は2点までしか開かなかったのは幸いだった。
残り2分で、チェコが26−26の同点に追いつき、残り15秒ぐらいで、コルドフスカーのシュートが決まって、チェコ代表がこの試合初めてリードを奪ったときには、これで勝てたと思ったのだが、スイスの速攻にディフェンスが対応しきれず、同点に追いつかれてしまった。もったいない引き分けだったけれども、負けてもおかしくない試合だった。全体的に攻撃がうまく行っていない印象で、コレショバー(旧姓ルズモバー)の不在と、イェジャープコバーのシュートが決まらないのが痛かった。
そして第二戦がスイスで行われたわけだが、キーパーのクドラーチコバーが日曜日の検査で陽性判定が出たため出場できなくなった。月曜日に行われた確認のための検査では、陰性の判定が出たというからいわゆる偽陽性だったのだろうが、スイスに向かうには遅すぎた。チームはすでに代理代表からキーパーを一人合流させて出発した後だったのである。
もう一人の主力キーパーであるサトラポバーは、怪我のためにこのプレイオフには召集もされておらず、この大事な試合でゴールを守るのは、まだ代表経験もそれほど多くないハナ・ムチコバーということになった。そのムチコバーが、スイスのシュートを何本求めて、勝利の立役者の一人になるのだから、わからない。もう一人の立役者はズブジーではあまりシュートが決まらなかったイェジャープコバーでチームの得点の半分以上となる15点をたたき出した。
この試合も、スイスに先制点を許し、0−3とリードされたときには、初戦の再現になるのかとげんなりした気分になったのだが、15分過ぎには逆転に成功して、14−11と3点リードで前半を終えた。後半開始後もチェコがリードを広げ最大で7点差をつけることに成功した。その後スイスが持ち直して4点差まで詰められたけれども、再度突き放して28−22と6点差で勝って、世界選手権の出場を決めた。
この試合、スイスが予想外の健闘を見せて、チェコ代表は苦戦したけれども、最後は実力の差を見せ付けたとまとめると、ちょっとスイスを見下ろしすぎだろうか。チェコではあまり見かけない大型のセンタープレーヤーが、9メートル、10メートルの距離からロングシュートを決めているのを見ると、当然外すこともあったわけだけど、このスイス代表は今後強くなりそうである。オランダの例もあるしさ。
さあ、次は25日から始まる男子代表のヨーロッパ選手権の予選三連戦である。ウクライナには何とか勝てると思うのだけど、現在の状況では何が起こっても不思議はない。残念なのはチェコテレビで放送してくれるのが、最後の5月2日のブルノでのウクライナ戦だけだということ。他のウクライナとフェロー諸島での試合は、有料テレビが放映権を持っているようである。
2021年4月21日24時。
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