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2016年07月15日

サマースクールの思い出(八)――二年目お世話になった人(七月十二日)



 一年目はスイス人のマティアスに勉強の面であれこれお世話になったのだが、二年目にお世話になったのはスロベニア人のターニャだった。リュブリャニャの大学でチェコ語を勉強していると言っていたから、上のクラスでも十分以上に勉強できただろうけれども、なぜかクラスが分けられたときに下のクラスを選んでいた。
 本人にそのことを言ってみたら、怠け者だから楽に勉強できるところでべんきょうしたいのよとか何とか言っていたけど、この人が怠け者だったら、怠け者でない学生など存在しないだろう。宿題をやってくるのはもちろん、予習復習などもしっかりしているようで、授業中に先生に聞くほどでもないちょっとわからないことなんかを質問すると、いつも親切に答えてくれた。

 何かの際に、スロベニアってことはユーゴスラビアだねと言ったら、ものすごく嫌な顔をされた。サラエボオリンピックの記憶から、第一次世界大戦後のウィルソンの提唱した民族自決という理念が理想的な形で結実したのがユーゴスラビアだと考えていたのだが、オリンピックの関連番組は所詮悪いところなど見せないプロパガンダに過ぎなかったということか。
 その後の内戦や、ユーゴスラビアについての本を読んで、理想は理想に過ぎなかったようだということはわかっていたのだ。だけど、チェコとスロバキアが分離したのは許せないと言うモラビアの人がいたように、ユーゴの人たちも一つの国であってほしかったと思っているのではないかと期待していたのだが、現実はまったく違った。スロベニアは、もともと旧ユーゴの中で最も西で、オーストリアとの関係も深かったため、ユーゴスラビアの一員と言う意識も持ちにくかったらしい。
 こんなことを、急進的なスロベニア民族主義者ではなく、理知的で理性的に話すターニャの口から聞いたことで、我がユーゴスラビアは終焉を迎えた。それまでは、セルビアだのクロアチアだのという呼称を使うことを拒否して、かたくなにユーゴスラビアと呼び続けていたのだ。ユーゴといえば、漫画家坂口尚の名作『石の花』を思い出すのだが、あの作品に描かれていた人々の苦難の道は、報われなかったらしい。

 それはともかく、この年も先生が前半と後半で代わったのだが、二人ともまだ若い女の先生で、去年の先生たちと比べると経験不足からか、説明が荒かったり、不親切だったりして、よくわからないことが間々あった。そんなときに、ターニャの説明には本当に助けられた。チェコ人よりも外国人の説明がわかりやすいのは変じゃないのかというとそんなことはない。チェコ人には当然で説明しようとも思わないから、説明できないようなことは、あれこれ考えて身に付けた外国人のほうが上手に説明できることも多いのだ。本当にターニャ先生と呼んでしまいたいぐらいには感謝していた。それを言ったら、拒否されたしまったけど。
 ポーランド人をはじめスラブ系の言葉を母語としている人たちに対して、お前ら普段から似た言葉を使っているのだから、できて当然だろうと、特に自分がわからなくて苦しんでいるときには、怒りのようなものを感じることがある。こちらが一生懸命考えて理解していることを、何も考えずに理解できてしまうし、苦労して覚えたことを覚える必要がない場合があるのだ。それで、わからないことを質問したときに、わかりやすく説明できるのなら、嬉しい限りなのだが、この連中の説明は意味不明なことが多い。だからこそ、スラブ系のスロベニア人でありながら、わかりやすく噛み砕いて説明してくれるターニャの存在は貴重だった。

 ターニャに助けられたのは私だけでも、同じクラスの連中だけでもなく、日本から来てチェコ語で教えるクラスで勉強していた人たちも、しばしば食事中などに質問に答えてもらっていた。ということで、サマースクールが終わるころにお礼をしようと言う話になったのだが、それについては次回に回そう。

7月14日17時。




石の花 (1)【電子書籍】[ 坂口尚 ]


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