2021年02月11日
監督交代(二月八日)
エジプトで行われた世界選手権に出場できなかった責任を問われて二人の監督クベシュとフィリップが解任されたハンドボールの男子代表だが、後任が決まったようである。どこかで見たことがあるような顔だと思ったが、以前も代表監督を務めたことがある人物だった。2000年代の初め、クベシュやフィリップが代表で活躍していたころの監督である。あの頃は黒かった髪や髭が真っ白になっていて時代の流れを感じさせる。
名前を書いても誰も知らないだろうけど、ラスティスラフ・トルティーク。ドイツリーグで二部のチームを率いて一部に昇格させたりはしているから、ドイツハンドのマニアなら聞いたことがあるという人もいるかもしれない。もともとは、1990年代後半にチェコ最強を誇り、ヨーロッパのチャンピオンズリーグでも頑張っていたカルビナーの監督を務めていた。その後、フリーデク・ミーステクに移って、チームを優勝に導いたのである。
2004年から2年代表の監督を務めたのだが、同時期にドイツの二部のチームの監督に就任している。2007年にカルビナーに戻ってきてまたチェコリーグで優勝させた後は、スロバキアやポーランドで監督を務め、2020年からはチェコのハンドボール協会のモラビアシレジア地方担当の監督を務めているらしい。これは若い才能を発見するために各地に設置されたハンドボールのアカデミーみたいな施設で若い選手だけではなく、コーチ、監督なども指導する役割と考えてもいいのかな。
代表の監督としては、2004年のヨーロッパ選手権、2005年の世界選手権と、担当した予選をどちらも勝ち抜いて本戦に進出している。本戦でもグループステージ全敗ではなかったようだから、過去の代表監督の中では成功を収めた監督である。協会が政治に走らず、現時点で最高の人材を選んだことは素直に高く評価しておこう。専業のハンドボールの監督というのは、実はあまり多くないようだから、他に引き受けられそうな人がいなかったという可能性はあるけど。
トルティークが以前監督を務めていた頃と比べると、平均的な選手層は厚くなっているかもしれないけれども、ヨーロッパのトップリーグで主力として活躍する選手は減っている。クベシュたちが鍛え上げた代表候補をどこまで生かせるかお手並み拝見というところである。幸いなことに、これまでの代表選手のほとんどは、代表活動を継続したいと考えているようだし、ガリアが選手とコーチを兼任することになっているから、戦力の低下はなさそうだ。
トルティークの契約は、とりあえず来年のヨーロッパ選手権に向けた予選限定だという。一月の試合が中止になったフェロー諸島、ロシア、ウクライナと同組で、上位二位に入ればいいんだったか、三位でも出場の可能性があるんだったか。世界選手権もそうだけど、ヨーロッパ選手権も出場国の数を増やす傾向にあって、本戦出場へのハードルは以前に比べると下がっている。ロシアには勝てそうもないし、ウクライナとは前回の予選で1勝1敗だったと記憶するから(2勝だったとしても接戦だったのは間違いない)、簡単に勝ち抜けとはいきそうもない。
おまけに、1月に予定されていたフェロー諸島との試合は開催ででておらず、代替の開催日も目処が立っていない。このまま感染状況が改善しなければ、この二試合が没収試合扱いにされて、開催できなかった原因を作ったチェコの不戦敗扱いになる可能性も残っている。ロシアもウクライナも、この手の感染症対策ではあんまり信用したくない国だし、これ以上選手たちから感染者が出ないことを祈るしかない。
そういえば、来週サッカーのヨーロッパリーグの試合で、イングランドのチームがチェコに来るのだが、入国して試合をしてもいいという許可はでたものの、チェコ国内での滞在時間が24時間に制限されるという話もある。なんともまあ、困ったものである。
2021年2月9日23時30分。
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