2021年01月17日
小さな絆創膏(正月十四日)
チェコ語で、「マラー・ナープラスト」というと、絆創膏の小さなものを指す言葉だが、ときどき比喩的に、絶望を味わった後の小さな喜びをこの言葉で表すことがある。スポーツの試合なら、大惨敗をした試合で、最後に若手の期待選手がちょっとした活躍を見せたようなときに、その活躍をせめてもの絆創膏、つまりは心の傷をふさぐものだと比喩的に言うのである。
と書けば、おわかりであろう。絶望と共に始まった今年のハンドボール世界選手権を見ていて小さな、本当に小さな喜ぶべき事実を発見したのだ。ささい過ぎて中継される試合を全部見るぞという気合を入れることはできないのだけど、チェコと同グループになるはずだったスウェーデンを応援して、その試合はできるだけ見るようにしようと思うことができた。
今日もまた、6時過ぎに自宅に戻ってきてテレビをつけたら、オーストリアとスイスの試合が放送されていた。前半が終わった時点で同点で、オーストリアならチェコ代表勝てるはずだよなあとか、何でオーストリアとスイスは無事に出場できて、チェコはできなかったんだろうなんてことを考えてしまって、試合を見ていても、試合自体は互角の面白い試合だったのだけど、あまり楽しくなく、後半はまたニュースにチャンネルを合わせた。
そして、8時半からはスウェーデンとチェコの代理で出場している北マケドニアの試合の放送が始まることは知っていたけれども、北マケドニアのハンドボールは嫌いでチェコの代理に選ばれたことが許せないので、自らに観戦を禁じるためにその時間帯にシャワーを浴びることにした。当然、試合が終わるまでの間シャワーを浴び続けていられるわけがなく、寝巻きに着替えた後についついハンドボールにチャンネルを変えてしまった。
テレビ画面にハンドボールが映っていれば、ささいなわだかまりは捨て去って、見てしまうのは仕方がない。他のチャンネルで見るに値するものが放送されていれば話は違うのだろうけれども、チェコも日本よりはましだけど、テレビで放送されるものの多くは、あえて見る価値などのない暇つぶしにしかならない番組である。残念ながら今日も例外ではなかった。
後半開始から見始めた試合は、スウェーデンが大きくリードしていて、チェコだったらもう少しマシな試合をしているだろうと想像できただけでもちょっとした喜びではあった。ただ、点差がつくと、無観客の試合はどうしてもだれてしまうもので、途中からスウェーデンのプレーの質が北マケドニアと同レベルまで落ちて何ともしょうもない試合になっていた。途中、10分近くどちらも得点できない時間帯があったんじゃなかったかな。最終的にはスウェーデンが10点以上の差をつけて勝った。
喜びはその結果ではなく、スウェーデンのゴールキーパーの名前にある。以前の大会、ヨーロッパ選手権にも出場していたと思うのだが、アンドレアス・パリチカというのである。毛っこベテランだったと記憶するから、この大会にも出ているとは思わなかった。パリチカは父親がチェコスロバキアの出身だというから、チェコ代表のいない今回の世界選手権においては、チェコ代表の代わりのようなものだ。だから、チェコの代役としてパリチカのいるスウェーデンを応援するために、スウェーデンの試合はできるだけ見ることにしよう。ちょっとだけ楽しみが増えた。それにしてもチェコの代役がスロバキアにならなかったことが残念でならない。
ところで、大会のホームページを見ていて不思議なことに気づいた。国旗の代わりにシュートする選手をモチーフにしたマークが書かれている国が存在して、RHFという国名になっている。開けてみたらロシア代表のことのようだった。IHFのワイルドカードで出場というのだけど、ドーピング疑惑でオリンピックから除外されたロシアは、あらゆるスポーツで世界選手権などの国際大会に公的には出場できなくなっているのだったか。それを救済するためにRHF、多分ロシアハンドボール協会名義で、ワイルドカードで出場させたということか。やっぱ、IHFも腐ってるなあ。
三日連続ハンドボールねたで、同じような愚痴の繰り返し、絶望の大きさがわかってもらえるものと思う。
2021年1月14日24時。
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