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2021年01月14日

4格を取る前置詞2(正月十一日)



承前
Amimo
 二つ目の、同時に最後の4格しか取らない前置詞は「mimo」である。他にもあるかもしれないけれども、思いつかない。
 意味は簡単に言うと「外」。不思議なのだが、「外」を「そと」と読む場合でも、「ほか」と読無場合でも、「外す」と読む場合でも、「mimo」で表せてしまう。あまり使う言葉でもないのだけど、個人的に一番よく使うのは、「Byl jsem mimo Olomouc」という文である。具体的にどこにいたかは言いたくないときに「オロモウツの外にいた」で済ませてしまうのである。
 前の文を「オロモウツ以外の場所にいた」と訳せば、「ほか」につながるのだけど、「Je otevřen mimo sobotu」なんてのも例に挙げておこう。「土曜日のほかは開いています」という意味だが、この場合、「kromě soboty」を使うことのほうが多いかもしれない。というか自分では「kromě soboty」を使う。

 サッカーやハンドボールなどの試合の中継を見ていると、「Tato střela byla mimo」というのが聞こえてくることがあるが、これは「シュートは外れた」という意味である。もちろん、「mimo branku」が省略された形なのだが、「mimo」だけで「外れ」を表すこともできる。質問の答が、完全にずれているときや、話が本来のテーマと全く関係ないときなんかも、「mimo」で表現する。ずれが小さいときには「vedle(となり)」も使うかな。
 最後にもう一つ、よく目にするものを挙げておくと、自動ドアや駅の券売機、自動販売機なんかに注意書きとしてしばしば「mimo provoz」と書かれた紙が貼られている。「故障中」を意味するのだが、無理やり解釈すると「稼動状態の外にある」と言うことだろうか。


B時間を表す前置詞
 これについてはすでに時間を表す表現のところで詳しくまとめたので、簡単に復習しておく。
 先ず忘れてはいけないのは、曜日と共に使う「v + 4格」である。月曜日と火曜日は格がわかりにくいので、水曜日を使うと「ve středu」となる。ただし、形容詞や指示代名詞などが付くと、前置詞なしの4格だけで表現することが多い。
 それから、季節を表す言葉は、前置詞との組み合わせがめちゃくちゃなのだが、秋が「na podzim」と前置詞「na」に4格を付けた形で表される。

 最後に「za + 4格」を紹介しておく。4格となるのは時間の長さを表す名詞で、「za dva roky(二年後に)」などと、それだけの時間が経った後のことを指すのに使うのである。ただし、数字が5以上になると、数詞は4格だが、後ろに来る名詞は複数2格になるので注意が必要である。また「za」は場所を表わす場合の7格と共に使うという印象が強いためにしばしば混乱してしまうことがある。
 それから「za + 4格」は、後ではなく、その時間の間にという意味でも使われる。一番わかりやすいのは、時速をあらわすときに使う「100km za hodinu」などだろうか。これは別の表現では置き換えられないが、「Za tři roky jsem se naučil více než 1000 znaků(三年の間に1000個以上の漢字を覚えた)」の場合には、「během + 2格」を使いたくなる。


C方向を表わす前置詞
 これも一部は復習になるのだが、まずは「na + 4格」から。場所を表す名詞は、それぞれ「v」か「na」を取ることが決まっているのだが、場所で「na+ 6格」を取る名詞は、方向(向かう先)を表わす場合に自動的に「na + 4格」を取ることが決まっている。よく使うもので覚えておいた方がいいのは、駅(nádraží)、郵便局(pošta)、学校(škola)などだろうか。知らない人間には区別はつけられないので、覚えるしかない。また、動詞が場所を必要とするのか、方向を必要とするのかも気を付けたほうがいい。大抵は日本語と同じ感覚で行けるが、「置く」の場合には「položit」を使うと方向で、「nechat」は場所が必要になる。
 それから一部の動詞で、物を中に入れる場合と、表面に載せる場合で、「do」と「na」を使いわける。「dát」の場合に、「Dám ho do lednice」は冷蔵庫の中に入れることになるが、「na lednici」を使うと冷蔵庫の上に載せるか、外側に貼り付けることになる。

 次は一般には7格を取ると思われている前置詞の「před」「za」「nad」「pod」である。このよっつも、動詞が場所ではなく方向を必要とするときには、4格と共に使わなければならない。そしてこれがなかなかできるようにならない。「v」「do」「na」の場合には、最初から指摘されて、一生懸命覚えて、今でも間違えるけれども、意識して使い分けることはできるようになっている。
 それに対して、この四つの前置詞に4格を付ける形は、最初は7格を取ることしか勉強しなかったので、その思い込みが強すぎるのか、間違いを指摘されないとなかなか気づかない。それどころか正しく使っているのに何か変な感じがして無駄に修正してしまうことさえある。
 「Pošlete ho před sebe(後ろに送ってください)」「Půjdeme pěšky za hranice(国境の向こうまで歩いて行こう)」「Dejte pravou ruku nad sebe(右手を挙げてください)」「Schovejte se pod stůl(机の下に隠れてください)」なんてのは時間をかけてゆっくり考えたら、正しいことが理解できるし使えなくもないのだが、とっさの場合には、どれもこれも7格にしてしまいがちなのである。
 以下次回、じゃなくてその次。
2021年1月12日23時。










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