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2016年06月27日

サマースクールの思い出(六)――一年目残りの残り(六月廿四日)



承前

 サマースクールも終わりに近づくと、自分のクラスの人たちだけでなく、上のクラスの人たちと食事に行ったり、お酒を飲んだりする機会も増えた。たしか、最後の週の木曜日だったと思う。夜十時ぐらいにほろ酔い気分で寮に戻ってきたら、寮の前のベンチに座ってお酒を飲んでいる連中に呼び止められて一緒に飲もうと誘われた。初日に一番上のクラスにいた人たちだった。
 初日には何を言われているのか、理解できなかったことを思い出して、話せるかどうか不安だったのだが、一言二言言葉を交わしたら、意外とわかったので、誘いに乗った。話してみると、そこにいた全員が一番上のクラスに残ったのではなく、一つ下に移った人もいて、結局一番上のクラスは半分以上入れ替わってしまったらしい。サマースクール体験の豊富らしいアメリカ人の年配の男性が、ここまで入れ替わるのは珍しいねと言って、あのクラス分けのテストじゃ仕方ないかなというようなことを言っていた。
 甘ったるい変なお酒を飲まされながら、意外なことにあれやらこれやら話ができてしまった。もちろん、いくつかわからない言葉はあったが、話せてしまったのである。そして、彼らのチェコ語が、完全ではないことに気づいてしまった。ぺらぺら喋っているけれども、ところどころ発音がおかしくて聞き取りにくいところがあるのだ。
 チェコ人であれば、発音が多少おかしくても、問題なく理解できるのだろう。でも外国人には難しい。それが、四週間の時間を経て、同じクラスの同級生たちの決して流暢とはいえないチェコ語の発音を聞いているうちに耳が慣れてしまったらしい。だからといって、耳の問題さえなければ、一番上のクラスでがんばれたとは思わない。師匠の芸術的な発音のチェコ語を聞いてもわらからないことのほうが多かったのだから。ただ、初日にあそこまで絶望する必要はなかったのだなあと考えて、何とも言えない気分になった。あの絶望があったからこそ、ここまで頑張り通すことができたというのも事実なのだ。
 とまれ、この外国人の同級生のチェコ語が理解できないことを、自分のチェコ語の能力を判断する基準にはしないというのは、翌年以降のサマースクールに臨む際の基本的な態度の一つとなる。翌年も初日の授業では、一年目ほどではなかったにせよ、言葉が聞き取れない同級生が何人もいたのだ。しばらくしたら慣れたけど。

 あとは、特筆するようなこともなく、サマースクールは終わりを迎えた。また来年も来ようねえとか、来年は無理だから二年後に来るとか、そんなことを言っていた連中も結構たくさんいたけど、実際に再会できたのは、そのうちの何人かに過ぎない。夏のバカンスの習慣のあるヨーロッパとはいえ、毎年語学のサマースクールに通うわけにも行かないのだろう。私自身も四年しか続かなかったし。
 最後の試験や成績がどうだったかは、まったく覚えていない。チェコ語の勉強は試験に合格して何かの資格を取るために始めたわけではないのだから、それでいいのだ。大切なのは四週間みっちり勉強できたことである。久しぶりに高校時代の受験勉強のように重点的に、同時にあれよりは多少効率的に、強い意志を以て勉強できたことで、さらに本格的にチェコ語の勉強をしようと決意を新たにすることができた。その結果が、現在のチェコ在住十五年なんてことになるわけだけど、その辺の話はまたいずれ語る機会もあるだろう。

 そういえば、奨学金をもらったのだからと思って、サマースクールのレポートを、帰国後すぐチェコ語漬けの感覚が消えてしまわないうちに作成して、申請の際にお世話になった方に提出したのだった。もちろん、そのために大使館に行ったのではなく、大使館で開催していたチェコ映画の上映会に行った際に、御礼の挨拶をしたついでのことである。今から読み返したら、おそらく間違いと不自然な表現に満ち溢れていることに頭を抱えるのだろうけど、あのときはあれ以上のものは書けなかった。読んでもらえて、間違いのばかばかしさについてでもいいので、笑ってもらえていたら、幸せなのだけど。

 長きにわたってしまったサマースクール一年目の話は、これでおしまいである。二年目、三年目もあれこれ書くことはあるのだけど、ここまで長くはならないと思う。問題はいつ手をだすかだな。
6月25日16時。


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