2016年06月18日
ハンドボール界の現実(六月十五日)
当初の予定では、本日分はハンドボールのチェコ代表がマケドニアに、勝つか、負けるか、惜敗するかで、プレーオフの勝ち抜けを決めたことを祝う記事になるはずだった。六点差あるから何とかなると思ったんだけどなあ。だからというわけではないけど、仕事の関係で日本から来た方々と飲みに出てしまって、リアルタイムで経過を追いかけるようなことはしなかった。チェコテレビが、サッカーのユーロを優先しているせいで、中継がなく、追いかけようと思ってもできなかったのだけど。
九時過ぎにうちに帰って、テレビをつけて、そういえばと思って、テレテキストでハンドボールの試合の結果を確認したら、マケドニア−チェコは34−27という結果だった。7点差での敗戦、つまりチェコはここで敗退というわけだ。たぶん、チェコの選手達が、ホームでの大差での勝利に油断してしまったいうことはあるまい。バルカンのチームとの対戦では何が起こっても不思議ではないことはわかっているはずなのだから。
結果を見ただけで言えるのは、相手に34点も取られてしまっているから、ディフェンスがあまり機能せず、ゴールキーパーも当たっていなかったということと、30点を越えるハイスコアの試合、つまりオープンに打ちあう点の取り合いになったようだから、やはりイーハとホラークという大砲がいないのはきつかったのだろうということの二つだけだ。それにしても、ちょうど7点というきっちり必要な点差で勝つ当たりマケドニアのチームもいやらしい。マケドニアの得点が一点少ないか、チェコの得点が一点多いかしていれば、チェコが勝ちぬけていたはずなのに。
サッカーの中継が終わったあとのスポーツニュースで、ある程度事情を知ることができた。ルーマニア人の審判が、完全にマケドニアよりの笛を吹いたらしい。ハンドボールでは、圧倒的に実力の差がない限り。ペナルティスローの数にも、退場の数にもそれほど大きな差が付くことはない。それなのにペナルティは12対3、退場は1対7と、どちらも圧倒的にマケドニアに有利な数字が出ている。これだけ差があったら、まともな勝負などできるはずがない。よく7点差で済んだものである。
残念ながら、この審判の問題というのは、ハンドボールに常に付きまとっている。日本でも、中東の笛という言葉が、俄に一般にまで広がったことがあったが、これにはハンドボール関係者が、昔から悩まされてきた。中東の笛を吹かれても勝てるだけの実力をつければいいのだろうが、中東の国々が強化にお金をつぎ込んでいる現在、それは困難きわまりない。日本を始めとしたアジア諸国が、アラブ諸国に遠慮して問題を先送りしてきた結果、アジアでの試合だけでなく、世界選手権でも中東の笛が吹かれて、世界に恥をさらすという結果になってしまったのだ。そのため、ハンドボールを見るのは好きだが、アジア諸国の試合を見る気にはなれない。
そして、ハンドボール発祥の地であるヨーロッパの中で、中東に近いのが、バルカン諸国である。バルカンの笛という表現があるのかどうかは知らないが、バルカン諸国での試合では、ホームチームに圧倒的に有利な笛が吹かれることが多い。もちろん、ドイツや北欧のきれいな折り目正しいハンドボールを称揚する国の審判の場合には、多少ホームに有利ではあっても、おおむね許容できる範囲におさまることが多いのだが、今回の審判は、同じバルカンの外れのルーマニアの人だった。この人選をしたヨーロッパのハンドボール協会も、アジアに負けず劣らず問題がありそうな組織である。
監督のクベシュは、こんな笛が吹かれたのは過去のことで、時代は変わったと思っていたのだがなんてコメントを残していたが、チェコがホームで6点差で勝ったことで、過去に戻る必要ができたのだろう。以前セルビアとのプレーオフで、奇跡のと言われた勝ち抜けをしたときには、二戦めがホームだった。初戦ではどれだけの点差をつけておけば絶対に勝ち抜けるかわからないし、あまり露骨にもしたくないだろうから、バルカンの笛も強烈には発動しづらいということか。今回は初戦で大差で負けたため、なりふり構わず発動させたのだろう。おそらく、ホームでの初戦で、五点差で勝とうが、十点差で勝とうが、最終的にマケドニアが一点差で勝ち抜けるのは決まっていたのだ。
こんなことがまかり通っているから、ハンドボールはコンテンツとしての面白さのわりに、メジャーになりきれないのだ。ドイツなどの国内リーグはかなり盛り上がっているようだけど、それが世界的に広がらないのは、怪しい判定が多すぎるからだ。カタール王家のハンドボールへの功績は非常に大きいが、不公平な笛が吹かれても当然だという風潮を作り出してしまった害悪はそれ以上に大きい。今回の件も、中東の笛という存在がなければ、ルーマニア人の審判もそこまで露骨にマケドニアよりの笛は吹けなかったと思うのだがどうだろうか。
一般に敗戦の原因を審判のせいにするのは、潔くないことだと考えられており、非難の対象となる。しかし、ハンドボールの場合には、審判のせいとしか言いようのない敗戦が多すぎる。残念ながら、これが我が人生のスポーツの実態である。サッカーの日韓ワールドカップの韓国びいきの笛に、サッカーの恥だとかなんだとか批判が降り注いだが、あんなのハンドボール界の抱える闇の深さに比べれば可愛いもんである。
6月16日23時30分。
ヨーロッパのプレーオフまで情報が乗っているとは思えないけど。6月17日追記。
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