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2019年01月09日

日本IWC脱退1(正月七日)



 日本が30年以上も前から機能不全を起こしていることを指摘されていた国際捕鯨委員会を脱退すると言うニュースは、チェコのニュースでも年末に報道された。ヨーロッパ的な価値観に毒されていることを誇りにしているチェコでも、多分にもれず否定的な、批判的な文脈での報道だったが、さすがはチェコテレビで、捕鯨というものが日本にとっては単なる水産業の一分野に過ぎないものではないことも付け加えていた。

 日本でもこの政府の決定を批判する向きが存在するようだが、その正気を疑う。IWCの実態が国際捕鯨委員会ではなく、国際捕鯨禁止委員会に過ぎなくなってしまっていることについては、すでに80年代の終わりから批判され続けていることである。ごり押しとごね得が支配する現在の国際関係の先駆をなしたのが、このIWCだったのだから、捕鯨国が付き合いきれないと脱退するのは当然のことであり、日本の国際関係にいては、近年まれに見る全うな判断だったと高く評価したい。
 しかも、脱退して商業捕鯨を再開するとは言っても、かつてのように世界中の海に出かけて行って捕鯨をするのではなく、日本の領海、排他的経済水域(EEZ)内においてのみ捕鯨を行うというのだから、反捕鯨国にも一定の配慮はしているし、内政干渉を許すいわれはない。反捕鯨のテロリストグループが捕鯨の妨害のために領海内に進入してきたら国際法に基づいて拿捕して、悪名高き日本の留置所に放り込んでやればいい。そこまでできるのかどうかは知らんけど。

 IWCの欺瞞に満ちた運営についてはいくつか本が出ていて、1992年に出た土井全二郎氏の『最近捕鯨白書』(丸善ライブラリー)と、2000年刊行の小松正之氏の『くじらは食べていい!』(宝島社新書)を読むと、関係者の努力と苦労に頭が下がる思いがするし、自らの正義を信じて疑わない反捕鯨団体、ひいては環境保護団体の実態には怒りさえ感じてしまう。この二冊の本を読んだことも、環境保護団体の主張に対して常に懐疑的になってしまう理由になっている。
 興味深いのはほぼ十年のときを経て書かれた二冊の本が、ともにIWCと捕鯨の将来に希望を持たせるような終わり方をしている点である。描かれた希望はどちらも結局は実現することなく、捕鯨国の絶望につながったからこそ、日本政府は今回の決断にいたったものであろう。仏の顔も三度までとはよく言ったものである。この交渉の経緯は北方領土を巡るロシアの詐欺めいた交渉を思い起こさせる。つまり、どんなに粘り強く交渉しようと、どんなに鯨の数が増えようと、捕鯨禁止委員会であるIWCでは捕鯨の再開は認められるわけがないのである。それを粘り強い交渉をなどというのは、泥棒に追い銭というものである。

 今回の政府のIWC脱退の決定を受けて、反捕鯨を強く主張するニュージーランドやオーストラリアなどとの関係が悪化することを懸念する違憲もあるようだが、シーシェパードのようなテロ組織としか言えないような団体を支援する国との関係など悪化してもかまうまい。いや、捕鯨ごときで悪化するような関係なら、それはそれでかまうまいと言うほうが正しいか。戦前の日本は、欧米の正義の押し付けにいやいや譲歩を続けて最後に爆発して戦争をおっぱじめてしまったけれども、その再現を防ぐためにも、ここらで日本にも譲れないものがあることを示しておくことは、国際関係上も悪いことではないだろう。交渉相手にずるずると譲歩することが、国際協調ではないのだから。

 惜しむらくは、他の捕鯨国、アイスランドやノルウェーと足並みを揃えられなかったことだ。アイスランドは1990年代の初めに一度脱退し、後に例外的に捕鯨ができるという条件付で復帰したらしいし、ノルウェーはIWCの枠内でなぜか商業捕鯨を行なえているらしい。これを捕鯨国をIWCにとどめておくため、そして捕鯨国陣営を分断するための反捕鯨国の策略だと考えるのは穿ちすぎだろうか。
 ナイーブな日本人は国際機関というと無条件で正しいもの、従うべきものだと考えてしまいがちだが、国連の安全保障委員会のように機能不全を起こして改善のしようもない組織も少なくない。そんな組織内で不毛な議論につきあう余力があるのなら、別のことに注力した方がはるかにましである。

 以上が日本を離れて欧米的な価値観に対する不信を禁じえなくなった日本人の目から見た今回のIWC脱退に関する意見である。
2019年1月7日23時30分。









posted by olomoučan at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言
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