2021年04月06日
カカオ88%
「来ましたよ…。」
そう言って、私の研究室にT君がやってきた。
3月末から二週間近く会っていたなかったので、とても嬉しい。
「丹澤先生、数学の宿題の解答って、配りましたっけ?」
などと寝ぼけたことを言っている。
3月中にとっくに配ったていたのだが、本人は忘れているらしい。
解答がないものとして、懸命に解いていたようだ。
「まだ、全然終わっていないので、ここでやっていきますね…。」
いつもは遊びながら勉強しているT君だが、今日は真剣そのもの。
4月からはいよいよ高1なのだ。
「このチョコレート一人では消費しきれないので、一緒に食べましょ。」
「何だ、苦くて食べられないのか…。」
カカオ88%のチョコレートは、T君にはまだ少しずつしか食べられないらしい…。
「まだまだ子どもだなぁ…。」
「子どもですよ…。」
この時期の生徒は、都合のいいときだけ大人になったり子どもになったりする。
私の好きな、黒ごまきなこ牛乳を作ってみる。
いつもは、私がT君に作ってもらっているものだ。
「全然、甘くないんですね…。」
「そりゃそうだ。このきなこには砂糖が入っていないんだから…。」
「普段食べるきなこは、砂糖がドバドバ入っているんだよ。」
「知ってますよ。今度僕が作るとき、砂糖、入れましょうかぁ。」
T君は、たびたび私を助けてくる。
ほんとうにありがたい存在だ。
彼の両親が大切に育て、5月には十六歳になる。
あと三年、この学校で高校生活を送る。
新年度になって、またT君と関われることになったのは嬉しいことだ。
どんなことでも、T君は私に臆面もなく聞いてくる。
そのたびに私は正直に何でも答えている。
「丹澤先生は経験が豊かですからね…。」
彼とは何でも話をする。
そういう生徒は、数年に一度現れる。
T君もその一人だ。
生徒ながらも大人の会話ができるのが何だか面白いし、幸せな気持ちになる。
私は元来、寂しがり屋なのだろう。
ちょっと幸福になったひとときだった。
そう言って、私の研究室にT君がやってきた。
3月末から二週間近く会っていたなかったので、とても嬉しい。
「丹澤先生、数学の宿題の解答って、配りましたっけ?」
などと寝ぼけたことを言っている。
3月中にとっくに配ったていたのだが、本人は忘れているらしい。
解答がないものとして、懸命に解いていたようだ。
「まだ、全然終わっていないので、ここでやっていきますね…。」
いつもは遊びながら勉強しているT君だが、今日は真剣そのもの。
4月からはいよいよ高1なのだ。
「このチョコレート一人では消費しきれないので、一緒に食べましょ。」
「何だ、苦くて食べられないのか…。」
カカオ88%のチョコレートは、T君にはまだ少しずつしか食べられないらしい…。
「まだまだ子どもだなぁ…。」
「子どもですよ…。」
この時期の生徒は、都合のいいときだけ大人になったり子どもになったりする。
私の好きな、黒ごまきなこ牛乳を作ってみる。
いつもは、私がT君に作ってもらっているものだ。
「全然、甘くないんですね…。」
「そりゃそうだ。このきなこには砂糖が入っていないんだから…。」
「普段食べるきなこは、砂糖がドバドバ入っているんだよ。」
「知ってますよ。今度僕が作るとき、砂糖、入れましょうかぁ。」
T君は、たびたび私を助けてくる。
ほんとうにありがたい存在だ。
彼の両親が大切に育て、5月には十六歳になる。
あと三年、この学校で高校生活を送る。
新年度になって、またT君と関われることになったのは嬉しいことだ。
どんなことでも、T君は私に臆面もなく聞いてくる。
そのたびに私は正直に何でも答えている。
「丹澤先生は経験が豊かですからね…。」
彼とは何でも話をする。
そういう生徒は、数年に一度現れる。
T君もその一人だ。
生徒ながらも大人の会話ができるのが何だか面白いし、幸せな気持ちになる。
私は元来、寂しがり屋なのだろう。
ちょっと幸福になったひとときだった。
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