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2019年04月19日

時間割作成から開放

「丹澤先生、ちょっといいですか? 時間割の件で、お話があるんです。」
と、教務主任に会議室へ連れて行かれた。

たいていそういう時は、私にとって都合の悪いときが多い。
前校長の時も、たいていは、私の心を揺さぶるほどの話が多かったと記憶している。

ただ、昨今は、何を言われても、あまり動揺しなくなった。
達観したと言えば、聞こえが良いが、ある意味こだわりがなくなったのである。

この世を去るときは、執着を捨てなければならないと言う。
有名な三途の川は、執着を捨てるための仕組みだ。
今の心境は、どちらかと言えば、そういう境地かも知れない。

「丹澤先生だけが、時間割を担当しているのは、よくないと思うんです。今回のようにお父様のこともありますし、ぜひ私に引き継がせて下さい。GW後には、何とか完成させたいと思うんです。ここまで作っていただきながら、そのままいただいてしまうのは、心苦しいのですが…。」

「それはそれはありがたいです。やっていただけるのなら、どうぞお願いいたします。私も今年限りにしたいと思っていましたので…。幸い、新しいバーションの時間割ソフトは、複数のコンピューターにインストールできますから…。」

「次年度からは、教科の代表者にも手伝っていただこうと思っています。」
「どうぞ、よろしくお願いします。」

と、言うことで、私は時間割係から解放された。
これで校務ソフトの設定に注力出来る…。
ほったらかしになっている、指導要録の所見にも取りかかれる。
少し数学の勉強時間も取れるだろう。

「ちょっといいですか。」
が、幸いした。

わがままで、思い通りに動いてくれない、初老の扱いにくい教員として、なんとか組織の中にいる。

老害にならないうちに、栄光がかすかに残っているうちに、職場を去ろうとも思ったが、退職金も次の仕事もない、ということが人質のようにのしかかっては来る。

一般的にも、たとえ60歳で定年退職しても、まだ二十年くらいは生きていることが多いのだから、その後、稼ぎもなく生活するというのは、とても困難なことだと思う。

二十年、遊んで暮らしてゆける収入など、そうそう得られるものでもない。

「やりがい」を感じられない仕事は続かない。

今回の出来事も、私への配慮だろうか。

まだまだ子どもたちへの情熱は失ってはいないはずなのだが…。














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