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2019年03月01日

七回目の卒業式

中2にとっての高3は、少し遠い存在なのかも知れないが、答辞でY先輩が話をし出すと、皆が彼の話に注目した。モニター会場で、それまでうとうとしていた生徒も、彼の話が始まると、ピリッとした。

淡々と話をする中に、人を引きつけるものがある。
「私たちは、これまであまりに多くの『愛』を与えられてきました。」
この言葉に誰もが「はっ」とする。

「だけど、私たちは、時々調子に乗って。その『愛』が当然のことのように、好き勝手に過ごしてきましたが、今、受けてきたすべての『愛』に重い責任を感じます。」

「そしてこの責任を、世界の未来のために発揮していきたいという思いが、心の底から湧いてきます。」

「新しい時代のロマンと夢を作るのが僕の夢です。」

「どうかもっと強くなれますように。どうかもっと優しくなれますように。どうか世界の希望となって、願いを叶えていけますように。」

我々中1と中2は、会場前に移動。一年に一度だけ開けられる青銅の扉が開けられ、そこから敷かれた赤絨毯を卒業生が退場してくる。その両脇に立ち、卒業生を祝福するのだ。

彼らの姿を見ると、これまでの思い出が走馬灯のように思い出される。

私は、カメラを構え、彼らと目を合わせないようにした。
見たら泣いてしまいそうだからだ。

夕方、最後のHRを終えた卒業生が訪ねて来た。
中学野球部でかかわった生徒だ。

「中学野球をやり切ったから、今の僕があります。」
と、涙を浮かべながら語ってくれたI君の活躍を祈りたい。

「君たちの活躍が、風の便りに聞こえてきたならば、俺はそれだけで幸せなんだ。」
そう言って送り出す。

私の学校の場合、中学の卒業式よりも高校の卒業式の方が華やかだ。
親たちはこれが学校に来る最後になるのだろう。
保護者会長の、「お疲れ様でした」、という親たちへのねぎらいの言葉が、すべてを語っている。

とにかくおめでとう。
来年は、中学時代に私が担当した学年の卒業式だ。












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