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2022年09月26日

マラソンの授業

この時期体育の授業はマラソンになる。ほんの3回だけなのだそうが、学校内の特設ルートが彼等のマラソンコースになる。

概して生徒たちはマラソンが嫌いである。普段の体育の授業のように、「楽しい」という感情を抱く生徒は少ないはずだ。そればかりか、走れば「つらい」、「疲れる」というのが実情で、通常人気があり、楽しみな体育の授業の中では、きわめて嫌われる存在であると言える。

私は、授業をしながら彼等の走る様子をのぞき見る。

先頭集団は、マラソンに命をかけている生徒たちだ、日々ベストタイムを更新すべく、意欲的に走っている。恐らくは、この先思われる地区の駅伝の選手になるような生徒だろう。

次に走っているのは、いわゆる「真面目」な生徒たちである。彼等は、「めんどうだ」と思いながら、曲がりなりには走り、時に友だちと談笑しながらも走り去っていく。それでも、つらくなれば、途中で友だちを誘いつつ歩いてしまうのだ。

私は、よく「歩くな」と言っているが、どうやら体育科の先生たちは、「つらくなったら歩いていいよ。倒れても困るから…」などと言っているらしい。

だから生徒たちは、心おきなく歩くのである。本当は歩いた後に、再び走り出す方が、ずっと走っているよりも遥かにつらくなるにもかかわらず、一時の誘惑に、彼等は負ける。

次のグループは、端からやる気のない生徒たちである。彼等は初めから歩く。一人では恥ずかしいのか、必ずつるんで歩く…。いわゆる体育の授業泣かせの生徒たちである。

こうした事態にさすが体育科の先生たちも業を煮やしたのか、昨今、授業に学年の先生たちの参加を求めることになった。

一緒に走るもよし,写真を撮りながら励ますもよし、はたまたやんちゃな生徒たちと関わるもよし、と言った具合である。

やる気がないとは言え、もとより不真面目というわけではないので、そうした先生たちの目が彼等の刺激にもなる。だから、「つらいけど、ちょっとは走ってみるかな…」、という具合に、少しやる気を促すことになった。

先日、学校説明会で高校二年生が学年合掌を披露した。「高校生でも皆で歌うことができるんですね」と感動されていた参加者がいた。

マラソンでも、そう思われるような、そんな授業になればいいな、と私は思って老いるのだが…。
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