2019年10月16日
戦国の名言集・女性編
名家を生かすも殺すも妻次第 !?
日本は伝統的に「男尊女卑」の風潮が根強く残っているといわれています。
先進国の中でも会社組織における女性役員の割合が低かったり、政治の世界でも女性の閣僚は他国より少ないのが現状です。
我々一般人の目線でみると電車に女性専用車両があったり、ホテルに女性専用ルームがあったりと様々な場所で女性の立場が優遇されていて、男どもの方が隅に追いやられているような気がしますが(笑)、女性の社会的地位という公の場では日本はまだまだ後進国のようです。
それでも歴史的にみれば、現代の日本女性の立場は飛躍的に向上したといえます。
古代まで遡ると、邪馬台国の女王・卑弥呼の存在があったり、古代には女性の天皇が多かったりと女性が崇められていた時代もありますが、武士政権が誕生すると、“力の強い者が権力を握る” 時代となり、腕力の弱い女性が必然的に社会的弱者に追いやられてしまったと考えられます。
しかも、その“力の時代”がこの国では700年も続いたこと(10月14日付ブログ参照)が、日本に男尊女卑の風潮を深く根付かせた原因といえます。
とは言うものの、武士の世にあっても男だけでは歴史は作れず、表舞台には現れない女性による“内助の功”があったからこそお家の繁栄があるわけです。
というわけで、今回は戦国武将を支えた妻の名言について語りたいと思います。
「この刀はいつか父上に向けられるかもしれません」
帰蝶(濃姫)〔織田信長の妻、斎藤道三(4月20日付ブログ参照)の娘〕の言葉
美濃(岐阜県)の斎藤道三は尾張(愛知県)の織田信秀と争ってましたが、ある時信秀が道三に和睦を申し入れてきました。
和睦の証しとして、信秀の嫡男・信長に道三の娘・帰蝶を嫁がせることを提案し、道三もこれを受け入れます。
かねてから信長は「大うつけ」(大バカ者)だという評判を耳にしていた道三は、帰蝶輿入れの際、
「もし信長が噂通りのうつけなら、この刀で信長の寝首を欠いてこい」と小刀を渡すと、
帰蝶は
「この刀はいつか父上に向けられるかもしれません」
と答えました。
それを聞いた道三は「それでこそ我が娘じゃ!」と喜びました。
あわよくば信長を殺して尾張を乗っ取ってやろうと考えていた道三に、帰蝶は(うつけを侮ってはいけません)と警告したのかもしれませんね。
濃姫の名は、「美濃から来た姫」という意味で信長が名付けたともいわれますが、実は濃姫については信長に嫁いだ後のことがほとんどわかっていません。
父道三の死後に美濃に帰されたとも、本能寺で信長と運命を共にしたとも、あるいは大坂の陣の少し前くらいまで生きていたともいわれ、その消息は不明のままです。
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「金銀に槍を使わせたらいかがですか?」
松(芳春院)〔前田利家の妻〕の言葉
若い頃、貧しい暮らしをしていた前田利家は普段から蓄財ばかりに励み、積極的に家臣を雇い入れようとはしませんでした。
そんな時、越中(富山県)の佐々成政が前田領の末森城を攻めてきたので、利家は急ぎ援軍に駆け付けようとしましたが、思うように兵が集まりません。
利家が途方に暮れていると、妻の松は金蔵から取り出した金銀の入った袋を夫に突きつけ、
「このような時のために、普段からもっと家臣を雇い入れるよう言っておいたではありませんか!」
「いっそのこと、金銀に槍を使わせたらいかがですか?」
と、皮肉交じりに夫を叱りつけたそうです。
“槍の又佐”の異名を持つ利家にはこの上ない皮肉だったかもしれませんね。(笑)
利家の死後、松は出家して芳春院と名乗ります。
利家の死を契機に徳川家康は前田家潰しを図り、前田家に謀反の嫌疑をかけてきましたが、芳春院は自ら人質になることを申し出て江戸に赴き、亡き夫が礎を築いた“加賀百万石”を守りました。
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「鬼の妻には蛇が似合いでしょう」
玉(ガラシア)〔細川忠興の妻、明智光秀の娘〕の言葉
絶世の美女といわれた玉を熱愛していた細川忠興は異常に嫉妬深く、玉が他の男の目に触れることさえ嫌い、屋敷から一歩も出そうとしませんでした。
そんなある日、忠興が玉と食事中に屋根職人が足を滑らせて庭に落ち、何気なく玉を見ました。
すると、激怒した忠興はなんと屋根職人を刀で切り殺してしまいました。
しかし、こんなショッキングな場面に遭遇しても玉は眉一つ動かさず食事を続けています。
この様子を見た忠興は「目の前で人が殺されたというのに平然と食事を続けられるとは・・・お前はまるで蛇のような女だ」と言いました。
すると、玉は
「こんな酷いことができるあなたは鬼です 鬼の妻には蛇が似合いでしょう」
と言い返したそうです。
この場面を想像すると、玉はかなり胆の据わった女性だったのでしょうね。
その後、キリスト教に深く傾倒していった玉は洗礼を受け、洗礼名・ガラシアを名乗りました。
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まとめ
「この刀はいつか父上に向けられるかもしれません」
(織田信長の妻・帰蝶)
「金銀に槍を使わせたらいかがですか?」
(前田利家の妻・松)
「鬼の妻には蛇が似合いでしょう」
(細川忠興の妻・玉)
これらの言葉は後世の創作かもしれませんが、違和感をあまり感じないところに言葉の説得力がありますね。
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