2019年09月17日
関ヶ原の結果は必然だったのか?
関ヶ原の布陣は西軍が上回っていた!
家康が三成を関ヶ原に誘い出した理由は、家康自身が野戦を得意としていることもありますが、大垣城を攻める籠城戦になると戦が長期化し、その間に畿内にいる西軍の諸将が集まってくる事態を避けたかったからと思われます。
家康の戦略によって野戦に誘い出される形になった三成ですが、関ヶ原に先に布陣したのは三成率いる西軍で、正面には主力である宇喜多秀家の1万7千と小西行長の6千に大谷吉継の4千、右の松尾山には小早川秀秋の1万5千、そして左の笹尾山の麓に三成の7千で、三成はこれらの軍勢で武田信玄が川中島で用いた鶴翼の陣を形成します。
さらに、南宮山には毛利勢1万6千が東軍の背後を突くような位置に布陣して、西軍の総勢はおよそ8万4千となりました。
一方の東軍は、最前線に福島正則の6千、その横に細川忠興5千と黒田長政5千、これらのすぐ背後に井伊直政3千6百などが主力で、家康率いる本隊3万はこれら先鋒隊の後方にあって桃配山に布陣しました。
東軍の総勢はおよそ7万5千です。
ここで東西両軍の布陣図を見ておきましょう。
※それぞれの武将が率いた部隊数・両軍の総数は諸説ありますのでご了承下さい。
この全体図と両軍の兵力を見てもわかるように、それぞれに配置された武将が自分たちに任された役割を果たせば、西軍にも十分勝ち目はあるのです。
前回のブログで、僕が何度も三成は敢えて家康の作戦に乗ったのではないか?と論じたのは、関ヶ原における西軍の布陣は東軍を凌駕しており、戦力的にも東軍を上回っていたからです。
つまり、たとえ家康得意の野戦になったとしても、三成の頭の中には上の図のような陣配置ができており、この形になれば必ず勝てると踏んでいたので、家康の望んでいた野戦に敢えて応じたのではないでしょうか?
三成は決して勝ち目のない無謀な戦に挑んだのではないと思うのです。
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決戦!関ヶ原
ここは時系列で戦闘の流れを見ていきます。
慶長五年(1600年)9月15日
午前8時 東軍の井伊直政が西軍の宇喜多秀家の部隊に発砲し戦闘開始
午前9時 三成軍の島左近が細川・黒田相手に奮戦する
午前10時 福島正則と宇喜多秀家が激しい戦闘を繰り広げる
三成は島津勢に援軍を求めるが、島津義弘はこれを拒否する
午前11時 ここが勝負どころとみた三成は、狼煙を上げ南宮山の毛利勢と松尾山の小早川勢に総攻撃を促すが、両陣営ともに動かず
午後12時 去就を迷っていた小早川勢に家康が決断を促す威嚇射撃を行なったことで、ついに小早川秀秋は東軍に寝返り、西軍の大谷吉継に襲い掛かる
小早川勢の裏切りをきっかけに脇坂安治、小川祐忠なども次々と東軍に寝返って大谷吉継を側面から攻撃し、大谷軍は壊滅する
午後1時 宇喜多秀家、小西行長の軍も崩れ、西軍は総崩れ状態となる
午後2時 三成が戦場から離脱し敗走する
午後3時 西軍で唯一残っていた島津勢が東軍の真ん中を突き抜ける敵中突破を敢行し離脱する
すべての戦闘が終了し、東軍が勝利する
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小早川秀秋はなぜ裏切ったのか?
三成が”勝てるはずだった”戦に負けたのは、家康の周到な準備と百戦錬磨の戦上手ぶりもありますが、最大の要因は間違いなく小早川秀秋の裏切りによるものでしょう。
秀秋は豊臣秀吉の妻・おね(北政所)の甥で、子のなかった秀吉の養子となり、将来は秀吉の後継者も嘱望される存在でした。
ところが、秀吉に子(秀頼)が生まれると一転、秀吉から疎んじられ小早川家に養子に出されてしまいます。
朝鮮出兵の際に秀秋は総大将を命じられ、自ら奮戦して敵の首級を多数あげる活躍をしたのですが、秀吉に「総大将にあるまじき軽率な行動だ!」と厳しく叱責された上、国替えまでされてしまいます。
この処分の裏には三成が秀吉に讒言したためという噂もありました。
しかし、この秀秋の窮地を救ってくれたのが家康でした。
家康は秀吉の死後、なんと秀秋の領地を元に戻してあげたのです。
この時から秀秋は家康に対して恩義を感じていたと思われ、逆に秀吉に讒言して自分を追い詰めた三成、そして秀吉から疎んじられるきっかけとなった存在である秀頼の豊臣家には少なからず恨みがあったので、迷いがあったにせよ最終的には家康に味方したのではないでしょうか。
まとめ
- 三成が家康に挑んだのは決して無謀ではなく十分な勝算があった
- 三成の西軍が敗北した最大の要因は小早川秀秋の裏切り
- 秀秋が裏切った動機は家康への恩義と自分を追いやった三成や豊臣家に対する恨みが根底にあった
歴史を語る上で「タラレバ」は禁物といわれますが、それでも(小早川秀秋が関ヶ原で裏切らなかったら、日本の歴史は大きく変わっていたかもしれない)と、つい考えてしまいますね。
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