2018年05月27日
映画「かもめ食堂」の感想…フィンランドでレストランではなく食堂を出すとは、フィンランドで邦画を作るという事。
今日は映画「かもめ食堂」の感想です。
後輩からオススメされた映画で、
オススメされたからには観ない訳にはいかないという事で。
レンタルDVDでの鑑賞です。
映画「かもめ食堂」は2006年公開の荻上直子監督作品。
荻上直子監督作品の映画「トイレット」もオススメされたのですが、
こちらはレンタルショップで見つけられず。
他の映画も未だ観ていないのでこういう監督ってのは分からないのですが、
この映画を観ただけで、ああ、なんとなくこういう人なのかなと思ったりしたが、
観もしないでそんな事を書いてはいけないので、
他の映画を観てからにしたいと思います。
原作は映画のために書き下ろした同名の群ようこ著の小説。
簡単なあらすじですが、
フィンランドのヘルシンキで食堂を開いているサチエ。
全くお客さんがいなかったが、日本かぶれの男がお客第1号として来店。
その客からガッチャマンの歌を教えてと言われたのだが思い出せなかった。
その後、たまたま日本からフィンランドに来ていたミドリに会い、
ガッチャマンの歌を知っているかと話しかけたのであった…みたいな感じかな。
キャストですが、
かもめ食堂を営むサチエを演じるのは小林聡美。
いらっしゃい、良い味だしてると思う。
フィンランド語も違和感なく話しているのはさすがだ思った。
サチエに話しかけられるミドリを演じるのは片桐はいり。
この人はいるだけで存在感が出せる人だけど、
今回は三人の中でもわりと普通な感じのポジション。
良いと思う。
かもめ食堂に立ち寄る旅行客マサコを演じるのはもたいまさこ。
ある種、不気味な雰囲気を醸し出すが、
それがこの3人だとなんか良い感じになる。
その他、マルック・ペルトラ、ヤルッコ・ニエミなどが出演。
さて、映画「かもめ食堂」の感想ですが、
これは確実に好き嫌い分かれるだろうなと。
まず映画に何を求めるかってところで、
例えば映画を観て、
「物語」によって感情を揺さぶられたいって人が観た場合、
「えっ?」って肩透かしをくらうと思う。
以前、映画「劇場版 零〜ゼロ〜」の感想で書いたのですが、
ホラーで恐がるのを期待してみたらガッカリするだろうなと。
ジェットコースターだと思って乗ったら観覧車だったらガッカリするでしょ、みたいな。
ちょっとそれに近いものがあるのですが、
全くこの映画の内容を知らずに観た場合、
こういう映画が好きな人はたぶんすっごい好きだろうし、
こういう映画が嫌いな人はたぶんすっごい嫌いだと思う。
これは映画の良し悪しじゃなくて、もう合うか合わないか。
もちろん、全ての映画についても最終的には合うか合わないかってところだけど、
この映画「かもめ食堂」はその比重が大きすぎると思う。
ハッキリ言って面白いか、と言われれば面白くはない。
何かハラハラするような大きな事が起きるか、
腹を抱えて涙がでるような笑える事が起きるか、と言えば起きない。
まず、これはいわゆる「邦画の正統な1つの型」であって、
人間の何気ない普段の生活を描く、
特に事件というほどの大きな事は起こらない展開。
そのタイプの中でも、結構に薄口に当たる。
もちろん、日々の生活の中の浮き沈みというか、
些細な感情の変化を感じるもので、
一応の物語もあり、変化も描いているので「何もない訳では無い」のである。
映画が始まった時は自分以外1人もいなかったかもめ食堂に、
映画が終わる時にはどうなっているのか。
そういう部分には変化はあるんだけどね。
それにしても薄口…もちろん、それを意図して作っているのだが。
ただフィンランドの景色に邦画テイストが見事に合っているので、
悪い気はしない。
フィンランドでレストランではなく食堂(和食)を出すってのは、
フィンランドという土地で邦画を作るというこの映画メタファー。
食堂で売りたいものはおにぎりってのも、
この映画で伝えたいことは邦画的なところって事なんだと思う。
食卓の長尺ショットとかワンカットの長さが、もう「ザ・邦画」だと思うし、
ミドルとロングで映像を構成する感じも邦画だなって。
ただ、土地が日本でなくても、これが合うんだなと。
悪い気はしないどころか、面白くないって言ってばかりですが、
ずっとあの3人を、ずっと「かもめ食堂」を観ていたくなる。
そんな気持ちも湧いてくる映画でもある。
なぜかと言えば、フィンランドと邦画の組み合わせが合っているからである。
本当フィンランドのロケーションは魅力的で、
あの景色も良いし、市場の生活感というか雰囲気も良い。
フィンランドの市場で野菜とか買いたいわあ。
またフィルムの質感はやっぱりいいね。
前に映画「劇場版 屍囚獄 起ノ篇」の感想で、
画のビデオ感ガンガンの質感で損してると書いたのですが、
この映画を観て、やっぱそこって大事だなって思った。
とりあえず、フィンランでのああいう生活に憧れるとか、
そういう気持ちがある人ならこの映画は好きになるだろう。
そんな感じかな。
本当に好きな人は好きっていう…裏を返すと…ね。
ニャロメとか絶妙なラインだと思うし、
ずっと入らなかった現地のババアをシナモンロールを使って店内入れるとか、
わざわざコスケンコルヴァって酒の名前を出すところとか、
色々考えて作られている。
そうそう、「コピ・ルアック」っておまじないを教えてもらうところで、
印象をつけるためにドリーで寄って行くカットとか、
もたいまさこのアップのうなずきとか、
ロングとミドルショットだけでなく、
そういうフックの画もちゃんとあるのも良いと思う。
おにぎりの試食の時の手持ちは、
ちょっと遊びすぎな気もするけど。
映画途中で「ずっと同じではいられない」と言葉でも出してるし、
現実はそんなに良い時間がただ続くって事はないってのは、
作り手も分かっているのだと思う。
それでも「この展開」を選んで、この映画を作った訳で。
そこについて、こんなの全くリアリティがないとか、
ストーリーに葛藤がないとか、主人公の成長が薄いとか、
何も起きなくてつまらない…というのは無粋ではあると思う。
まあ…分かるけどね。
大事なもの何が入ってたかしら、
というマサコの人物について、
色んな事を考えれる余地があるのは、
この映画を楽しめる部分でもあると思う。
そんな感じかな。
ここまで書いて、なんなんだけど、
個人的にはあんまり好きなタイプの映画ではない。
後輩からオススメされた映画で、
オススメされたからには観ない訳にはいかないという事で。
レンタルDVDでの鑑賞です。
映画「かもめ食堂」は2006年公開の荻上直子監督作品。
荻上直子監督作品の映画「トイレット」もオススメされたのですが、
こちらはレンタルショップで見つけられず。
他の映画も未だ観ていないのでこういう監督ってのは分からないのですが、
この映画を観ただけで、ああ、なんとなくこういう人なのかなと思ったりしたが、
観もしないでそんな事を書いてはいけないので、
他の映画を観てからにしたいと思います。
原作は映画のために書き下ろした同名の群ようこ著の小説。
簡単なあらすじですが、
フィンランドのヘルシンキで食堂を開いているサチエ。
全くお客さんがいなかったが、日本かぶれの男がお客第1号として来店。
その客からガッチャマンの歌を教えてと言われたのだが思い出せなかった。
その後、たまたま日本からフィンランドに来ていたミドリに会い、
ガッチャマンの歌を知っているかと話しかけたのであった…みたいな感じかな。
キャストですが、
かもめ食堂を営むサチエを演じるのは小林聡美。
いらっしゃい、良い味だしてると思う。
フィンランド語も違和感なく話しているのはさすがだ思った。
サチエに話しかけられるミドリを演じるのは片桐はいり。
この人はいるだけで存在感が出せる人だけど、
今回は三人の中でもわりと普通な感じのポジション。
良いと思う。
かもめ食堂に立ち寄る旅行客マサコを演じるのはもたいまさこ。
ある種、不気味な雰囲気を醸し出すが、
それがこの3人だとなんか良い感じになる。
その他、マルック・ペルトラ、ヤルッコ・ニエミなどが出演。
さて、映画「かもめ食堂」の感想ですが、
これは確実に好き嫌い分かれるだろうなと。
まず映画に何を求めるかってところで、
例えば映画を観て、
「物語」によって感情を揺さぶられたいって人が観た場合、
「えっ?」って肩透かしをくらうと思う。
以前、映画「劇場版 零〜ゼロ〜」の感想で書いたのですが、
ホラーで恐がるのを期待してみたらガッカリするだろうなと。
ジェットコースターだと思って乗ったら観覧車だったらガッカリするでしょ、みたいな。
ちょっとそれに近いものがあるのですが、
全くこの映画の内容を知らずに観た場合、
こういう映画が好きな人はたぶんすっごい好きだろうし、
こういう映画が嫌いな人はたぶんすっごい嫌いだと思う。
これは映画の良し悪しじゃなくて、もう合うか合わないか。
もちろん、全ての映画についても最終的には合うか合わないかってところだけど、
この映画「かもめ食堂」はその比重が大きすぎると思う。
ハッキリ言って面白いか、と言われれば面白くはない。
何かハラハラするような大きな事が起きるか、
腹を抱えて涙がでるような笑える事が起きるか、と言えば起きない。
まず、これはいわゆる「邦画の正統な1つの型」であって、
人間の何気ない普段の生活を描く、
特に事件というほどの大きな事は起こらない展開。
そのタイプの中でも、結構に薄口に当たる。
もちろん、日々の生活の中の浮き沈みというか、
些細な感情の変化を感じるもので、
一応の物語もあり、変化も描いているので「何もない訳では無い」のである。
映画が始まった時は自分以外1人もいなかったかもめ食堂に、
映画が終わる時にはどうなっているのか。
そういう部分には変化はあるんだけどね。
それにしても薄口…もちろん、それを意図して作っているのだが。
ただフィンランドの景色に邦画テイストが見事に合っているので、
悪い気はしない。
フィンランドでレストランではなく食堂(和食)を出すってのは、
フィンランドという土地で邦画を作るというこの映画メタファー。
食堂で売りたいものはおにぎりってのも、
この映画で伝えたいことは邦画的なところって事なんだと思う。
食卓の長尺ショットとかワンカットの長さが、もう「ザ・邦画」だと思うし、
ミドルとロングで映像を構成する感じも邦画だなって。
ただ、土地が日本でなくても、これが合うんだなと。
悪い気はしないどころか、面白くないって言ってばかりですが、
ずっとあの3人を、ずっと「かもめ食堂」を観ていたくなる。
そんな気持ちも湧いてくる映画でもある。
なぜかと言えば、フィンランドと邦画の組み合わせが合っているからである。
本当フィンランドのロケーションは魅力的で、
あの景色も良いし、市場の生活感というか雰囲気も良い。
フィンランドの市場で野菜とか買いたいわあ。
またフィルムの質感はやっぱりいいね。
前に映画「劇場版 屍囚獄 起ノ篇」の感想で、
画のビデオ感ガンガンの質感で損してると書いたのですが、
この映画を観て、やっぱそこって大事だなって思った。
とりあえず、フィンランでのああいう生活に憧れるとか、
そういう気持ちがある人ならこの映画は好きになるだろう。
そんな感じかな。
本当に好きな人は好きっていう…裏を返すと…ね。
ニャロメとか絶妙なラインだと思うし、
ずっと入らなかった現地のババアをシナモンロールを使って店内入れるとか、
わざわざコスケンコルヴァって酒の名前を出すところとか、
色々考えて作られている。
そうそう、「コピ・ルアック」っておまじないを教えてもらうところで、
印象をつけるためにドリーで寄って行くカットとか、
もたいまさこのアップのうなずきとか、
ロングとミドルショットだけでなく、
そういうフックの画もちゃんとあるのも良いと思う。
おにぎりの試食の時の手持ちは、
ちょっと遊びすぎな気もするけど。
映画途中で「ずっと同じではいられない」と言葉でも出してるし、
現実はそんなに良い時間がただ続くって事はないってのは、
作り手も分かっているのだと思う。
それでも「この展開」を選んで、この映画を作った訳で。
そこについて、こんなの全くリアリティがないとか、
ストーリーに葛藤がないとか、主人公の成長が薄いとか、
何も起きなくてつまらない…というのは無粋ではあると思う。
まあ…分かるけどね。
大事なもの何が入ってたかしら、
というマサコの人物について、
色んな事を考えれる余地があるのは、
この映画を楽しめる部分でもあると思う。
そんな感じかな。
ここまで書いて、なんなんだけど、
個人的にはあんまり好きなタイプの映画ではない。
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