当時、修理見積額を伝えて修理するかどうかの連絡もないまま
1ヶ月程を過ぎたので、再度連絡をした。
その時は「今度引取りに行きます」と言われたので
修理なしと理解し、待っていた。
そして月日は流れに流れて2年と8ヶ月が過ぎたある日、
何の連絡も無く「引き取りに来ました」と、一言。
「だいぶ前に預けたんですけどねぇ」と、預り証を提示された。
預かって2年ほどは店舗で保管していた。
データの復旧をする事も考えてハードディスクは別で保管していた。
しかし、2年が過ぎても連絡が無いため別の場所に移動していた。
そこへ「引き取りに来ました」と言われたので少し焦った。
とりあえずお客さんには「倉庫に保管しているので、
お返しできるようになって再度ご連絡を差し上げます」と伝え
その日はお帰り頂いた。
そのような出来事があった為、
このようなケースの対処について調べに調べて結論を出す事に決めた。
まずクリーニング屋さんに多い事例らしく、
クリーニング店では3ヶ月を過ぎたお預かりものは
処分させて頂きますと、店内に張り紙がされている事が多いのだとか。
ただ、過ぎたからすぐに処分するのではなく、
半年から1年は保管する店舗が多いもよう。
法律上、財産の所有権が消滅するには
20年を経過する必要がある。
なのに短期間で処分できるには理由があった。
それは保管料。
例えばクリーニングを長期間預かった場合、
保管料として月に数百円から千円程として計算する。
そうすると、いずれ預かった品物よりも高い金額になる事になる。
処分したとして損害を訴えられたとしても、
保管料があるため、相殺される事になる。
よって保管しなければならない期間は、
預かったものの大きさや保管時の手間で妥当な金額を計算し、
預かった物品の価値を確実に超えたと判断できる月日と言える。
クリーニング店では預かっている衣類の価値は
さほど高くないと考えられるので、
1年も保管すれば義務を果たしたといえるのではないだろうか。
それよりも、そのような物品が増えるにつれ
業務に支障が出てくる事を考えると、
早めに処分をする必要がある業種であると言える。
ただし、このように判断する為には、
ちゃんと預り証を発行しており、
引き取り催促の連絡を入れている事が望ましい。
連絡をしていない場合や預り証を発行し忘れている場合は、
基準となる年月が曖昧になり判断しずらくなってしまう。
なので、高価な物を半年取りにこられないからと処分してしまうと、
損害賠償になった場合、損害金を払わなければならない事にもなり得る。
で、今回の事例ですが、パソコンは当時新品でも5、6万円のもの。
それも故障している。保管料を月約千円と換算して、
3万円ほどはお支払い頂きたい計算になる。
今回の2年8ヶ月という期間はおそらく、
「処分しました」でも問題の無い期間であろうと推測はできる。
しかし、色々考えた結果、今回は無償で返却することに決めた。
修理はしません。保管料も頂きません。
その代わり、そのお客様のご依頼は今後受けません。
直接は言いませんが・・・。
決して人当たりは悪いお客様ではありません。
しかし、経験上、一度このような事があったお客様は、
経験則としてまた他で何か問題が起こる可能性が高い。
この保管期間の計算方法は修理業、
保管業務など幅広く当てはまるものではないだろうか。
自分が調べた折に参考になる記述がなかった為に、
少しでも参考になればとまとめる事にした。
今回の件を機に、預り証に無償保管期間とそれを過ぎた時の保管料、
廃棄についての記述を明記した紙を店内に貼るように考えている。
下記の文章の物品・期間を利用に応じて変更し、
タックシール印刷して預かり証に貼れば万全。
■保管について
修理や見積もり時にパソコンをお預かりした場合、3ヶ月間は責任をもってパソコンの保管をさせて頂きます。
お預かりして3ヶ月以上引き取りに来ていただけない場合は、1日あたり50円(税別)の保管料を計上させて頂きます。
また、お預かりして1年が経過した場合、こちらにて処分、又は保管料の請求をさせて頂く場合がございます。現在当店では、お預かりした物品を引き取りに来られないお客様が多くなり、倉庫が圧迫され、業務に支障が出ております。ご理解ご了承くださいますようお願いいたします。