先日、電話であるパソコンについての問い合わせを受けました。
それはパソコンにパスワードがかかっており、
パスワードが分からなくなってしまったので起動できない状態である。
パスワードを解除してもらえないか。というものです。
結論から言いますと、80〜90%程の確率で解除できます。
また解除できない場合でも、マイドキュメント内のデータ等はほぼサルベージできます。
しかしながら、この問い合わせには「当方ではパスワード解除はできない」と伝えました。
稀にある問い合わせなのですが、このスタンスを今後も変える事はありません。
理由は簡単です。
トラブルになる可能性があるからです。
本人の持ち物ではないかもしれません。
それは例えご家族の物であったとしても、
見られたくないのでパスワードをかけている訳です。
もしデータを他人に見られたり、勝手にパソコンを扱われてしまえば、
持ち主は憤慨するでしょう。
その作業を行った者としても、その代償は大きなものになってしまいます。
家族の方が持ち込みされれば本人確認も無意味になってしまいます。
今から数年前に、ある初老の男性が同じように
パソコンを持ち込みされて、
「娘のパソコンなのだけれどもパスワードを解除してくれないか」とおっしゃいました。
私はいつものように解除できない理由を丁寧に説明をして、断りました。
それから1年程たったある日。
その初老の男性が再度来店されました。
最初はまったく気づかなかったのですが、
話しているうちに前回お断りした方である事が分かったのです。
またこのとき、そのパソコンは亡くなった娘さんの物である事が分かりました。
そして中のデータにこだわっている訳ではなく、
「パソコンを習い始めたので、
娘が以前使っていたこのパソコンを使いたい」とおっしゃるのです。
少し葛藤しましたが、私は「リカバリ作業であればできます。
その折にデータ等が復旧できればリカバリ後に戻します」と伝えました。
ハードウェアリカバリを実行する前にLinuxPCでデータを取り出しました。
いつもはサルベージ中のデータはなるべく開かない、
見ないようにしているのですが、
データの数があまりにも少なかったので、
その時は偶然目にしてしまいました。数枚の写真データとかわいらしい壁紙。
それから歌詞データ数個でした。
リカバリ後に壁紙をサルベージした物に変え、
データを戻して作業を終えました。
今でもこの作業は行って良かったのかどうかよく悩みます。
作業はできませんが、今は「Ophcrack」というフリーソフトがあり、
個人でも簡単に起動時のパスワード解析ができます。
100%解析できるわけではありませんが、
かなりの高確率で分かるようです。
このソフトウェアを使っても解析できないパスワードは
強固なものなので、そういった使い方にも良いのではないでしょうか。
Ophcrack公式ダウンロードページ
http://ophcrack.sourceforge.net/download.php
上記サイトの対応したOSのisoイメージをダウンロードして
CDにライティングすれば利用できます。