その中に、「味噌汁一杯、三里の力」という一節があった。恥ずかしながら、この言葉は知らなかったが、宇多先生は、小さい頃、食事の時にぐずぐずしているとお母さまからこの言葉を掛けられ、食べなさいと促されたそうだ。お母さまの作る味噌汁は、具だくさんで、確かに三里を歩ける力になるような滋養にあふれたものだったという。
私も毎朝味噌汁を作る。季節や、冷蔵庫の在庫によって、何を入れようかと考えながら作る。基本は、冷蔵庫のストック食材の事情もさることながら、私の体が何を欲しているかという体の声に耳を傾けることを優先する。もちろん消費しなければいけない食材の事情が最優先ではあるが、自らの体の欲求も重要なポイントだ。
例えば、キノコを食べたいということがある。なめこ汁が食べたいなという日だったり、ヒラタケが美味しい季節にスーパーで特売をしていて思わず買ってきた日だったり、などなど。
今朝は、大根の切れ端が中途半端に残っていたのと、同じく食べきる必要のあった油揚げがあったので、一緒に味噌汁にした。(注:写真は、数日前のものです)先週は、大好きなヒラタケが格安だったので、買い求めて2日間味噌汁で食べた。
旬を食べる、ということがある。旬は、その食べ物が美味しい季節であることと、もうひとつ、その食べ物の持つ栄養が、その時期の体に必要なものであることの両方があるのではないか。季節の食べ物と体に必要な栄養とが結びついていることを、日本人の細やかな観察力が見つけ出した知恵なのだと思う。
西洋のスープにも、命のスープという言い方があるらしい。汁物は、体になじみやすい。
風邪をひきそうになると、私はいつもニンニクと生姜をたっぷり入れたキャベツのスープを夕食に作って飲んでいる。たいていは、それで抑え込める。父が体調を崩した時には、栄養のある汁物を出してやろうと真っ先に考えた。
さて、明日の朝は、何の味噌汁を作ろうかな。
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