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2021年04月18日

外務大臣任命?(四月十五日)



 ザオラーレク氏が、突きつけた条件は、ハマーチェク内務大臣兼暫定外務大臣にも、ゼマン大統領にも飲めるものではなかったようで、ザオラーレク氏の任命を諦めて、別な候補者を選定して代務大臣の地位にすえることにしたようだ。首相で内閣全体に責任があるはずのバビシュ氏は、外務大臣は社会民主党の担当だから、その決定を尊重するとほとんど他人事のような対応である。連立といいながらそれぞれの党が、好き勝手に振舞っているのが、バビシュ政権の最大の問題である。

 さて、新たに外務大臣に任命されたのは、クルハーネク氏。ニュースで使われた写真が、PCゲームに登場するキャラクターを思わせるもので、見た目で仕事をするわけではないとは言っても、期待よりは不安のほうが大きくなる。これまでは、内務省で次官(に相当すると思われる役職)を務めていたというから、ハマーチェク氏は部下を抜擢して大臣に就任させたわけだ。
 内務省の次官だから、ずっと内務省でキャリアを積んできたのかというとそんなことはなく、チェコでは政権交代や、大臣のクビの据え代えが起こると、新しい大臣が外から連れて来た人材を次官に据えることが多い。同じ省内でずっと仕事をして次官になる人もいるのだろうけど、そんな人でも政党に所属していることが多い。官僚なんだから特定の政党を支持することを表明するのもまずいのではないかと思うのだが、時に野党所属の時間まで登場するような気がする。

 このクルハーネク氏も、内務省で仕事を続けて次官にまで昇ってきたのではなく、ハマーチェク氏が内務大臣に就任してから、就任させた人物だということになる。その前は何をしていたかと言うと、いろいろある中で特筆すべき経歴は、最初に中国からチェコへの投資を担当していたが、社長が政治的な理由で粛清され、チェコから消えた中国の投資会社のチェコ支社で仕事をしていたことである。だから、中華帝国の忠臣であるゼマン大統領も、文句を言わずに任命に同意したのか。
 バビシュ首相も、以前のペトシーチェク氏より仕事がしやすいなどと述べていたけれども、その評価が外務大臣としての能力の高さを意味するわけではない。そもそも、内務省で仕事をしていて、突然、党内政治上の都合で外務大臣に就任させられた人物に多くを期待するのが間違いなのだ。ゼマン大統領は、ロシア、中国に対する外務省の対応が変わることを期待しているだろうけれども、EUの枠内でという制約がある以上、簡単ではあるまい。

 それで、新任の大臣を支援するためなのか、自分の業績にするためなのかはわからないが、ハマーチェク内務大臣が、モスクワを訪問して、ロシアのワクチンの購入の交渉をまとめてくると言い出した。ハマーチェク氏は、一度は外務大臣を兼任するとは言ったものの、任命はされていないはずだし、非常事態宣言が終了した結果、対策本部長の権限もないはずである。そんな内務大臣が外国に出かけてワクチンの購入交渉をするというのは、どういうことなのだろうか。それとも、クルハーネク氏はまだ大臣に任命されていないのか。
 ゼマン大統領が何も言わないのはわかる。かねてから主張し続けているロシアのワクチンの導入に向けてハマーチェク氏が動くのだから、歓迎はしても批判はするまい。不思議なのは、バビシュ首相が控えめに反対していることで、ロシアのワクチンが成功するなら自分の功績にしたがると思うのだが、失敗に終わると見ているのだろうか。

 ロシアのワクチンに関して、チェコの人たちがどのように考えているのかについては、さまざまな情報が錯綜していてどれが正しいのかわからない。バビシュ首相が商工会からはロシアのワクチンを従業員に接種したいという声が上がっていると言ったかと思うと、商工会の会長が即座に否定したし、ニュースで紹介された世論調査では、数パーセントの人しかロシアのワクチンを信用しないと答えていたのに、ロシアのワクチンの接種を受けるためにセルビアに向かうチェコ人が多いなんてニュースも見かけた。
 就任したばかりのアレンベルグル厚生大臣が、ロシアのワクチンを求める人もいると語ったのは事実ではあるのだろうけど、その数がどのぐらいなのかが問題である。本人が求めたからといって、EUでもチェコ国内の機関でも安全性が完全に確認できていないものを接種してもいいのかというのは、また別問題のはずなのだけど。一体に、この新大臣、言動がいい加減で、大丈夫かといいたくなることが多い。「わたしは政治家じゃないから、そんなこと理解できない」なんて台詞は、大臣が言っちゃあいけねえよなあ。
2021年4月16日24時30分。











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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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